各地で深刻化する放置船問題が、いま新たな局面を迎えている。神奈川・川崎市で長年放置されていた遊覧船の解体が進む一方、静岡・下田市では無数の船が港を埋め尽くす異様な状況も明らかになった。景観や防災、環境への影響が懸念される中、所有権や費用の壁が撤去を阻んでいる。
女神像外され…川崎の“海賊船”解体進む
約8年ぶりに解体作業が進む、まるで海賊船のような遊覧船。
こうした放置船を巡り、いま各地で対応が迫られる事態となっている。

上段部分は完全になくなっていて、かろうじて船の原形をとどめている程度だ。

神奈川・川崎市で放置された海賊船は、23日も重機による解体作業が進められ、船首部分にあった女神像は、きれいな状態で取り外されていた。

解体作業が始まり約1週間、徐々に姿を変えつつある海賊船。
川崎市によると、現時点では7月末までに解体作業を終える予定だという。
下田の港に異変 無数の放置船
こうした長年にわたる船の放置。
問題となっているのは、川崎市の海賊船だけではない。

「イット!」が向かったのは、幕末にペリー艦隊が黒船で来航した“開国のまち”静岡・下田市。
港には異様な光景が広がっていた。
大型の船舶が4隻並んでいるが、この4隻すべてが放置船舶だという。
周りを見てみると、確かに配線などがボロボロになっていて、ごみなども散乱している。
さらにその奥を見てみると、船体が半分沈んでいるものもあった。
無数の船が無残な姿で放置されていた。
さび付いてボロボロになった船や、陸の上にも放置船が。
周囲に生い茂る草が時の流れを感じさせる。

航空地図で見てみると、港を埋め尽くすように無数の船が止められていた。

港を管理する県に話を聞くと、下田土木事務所維持管理課の福井哲也課長は「係留が認められていない船が90隻ほどありまして、10年ほど前からここに放置されている船になります」と話す。

約10年前から船が放置され、今では90隻ほどに。
そのうち40隻は、もう運航することができない船だという。

そんな中、特に県が問題視している場所が、河口付近にある“放置船密集地帯”だ。

下田土木事務所 維持管理課・福井哲也課長:
川の河口ということで、景観上、防災上問題があるということで、大雨が降ったときに上流から流木が流れてきてここでせき止めてしまうとか。
さらに、船が往来する時の妨げになる懸念もあるという。
火災・水害リスクも「所有権」の壁で撤去進まず
日本一のキンメダイの水揚げで知られる下田市。
漁業関係者は、放置船による影響について、さらなる悪影響に懸念を示していた。

漁業関係者:
引き上げてそのままになっているので、ゴミを捨てて行ってしまう人も結構いたりするので不法投棄で困っている。

また、災害への不安について、「どうしても抜ききれない油があり、そういうものがタンクから漏れてしまって。(Q. 引火とかになったり?)そうですね」と話す。

実際に2024年、沖縄県では放置船が原因の火災も発生している。

さらに、住民からは「川の一番河口で水害があった時、やはり障害になりますので、やっぱり住民としては心配」といった不安も聞かれた。

台風などにより水位が上がることで、放置船が陸に打ち上げられてしまう危険もあるという。

放置船問題による不安が広がる中、2025年に撤去できたのはわずか2隻だけ。
なぜ撤去が進まないのだろうか――。
下田土木事務所 維持管理課・福井哲也課長:
基本は所有者さんの方で撤去、陸揚げしていただく形になるもの。

放置船の“所有権問題”。
県によると、所有者が分かる放置船は約25隻にとどまる。
たとえ危険があっても、自由に撤去できないのが実態だ。

また、90隻の船を全部撤去すると費用は1億円規模にのぼるといい、1隻当たり100万円以上もかかる見込みだ。

県は、判明している所有者へ撤去指導していくとともに、引き続き、放置船の所有者の調査を進めていくとしている。
(「イット!」6月23日放送より)

