J2・J3百年構想リーグで、全40クラブ中3位と快進撃をみせたテゲバジャーロ宮崎。力を注いでいるのが、次世代を担うJリーガーの育成だ。テゲバジャーロ宮崎の育成組織「アカデミー」では、幼稚園年中からスクールに所属できる。小学生年代「U-12」の監督には、昨シーズン限りで現役を引退した魚里直哉さんが新たに就任。クラブはトップチームも導入している「個別育成計画(IDP)」などで、選手一人一人の課題や目標を明確化することで成長を促している。宮崎から次世代のスターを輩出するため、クラブが描く壮大な育成ビジョンと、現場での熱き挑戦を追った。

U-12 監督に元Jリーガー・魚里直哉さん就任

テゲバジャーロ宮崎アカデミーには、現在、小学生から高校生まで合わせて65人が在籍。

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幼稚園の年中からスクールへ通うことが可能で、その後は小学生年代のU-12、中学生年代のU-15、高校生年代のU-18がある。

子供たちの夢は“Jリーガー”だ。

U-12に所属する小学生:
大きくなってテゲバの選手になりたい。

今シーズン、小学生年代のU-12の監督に就任したのが、魚里直哉さんだ。魚里さんは俊足のミッドフィルダーとして、J2・藤枝MYFCやJ3・ガイナーレ鳥取などでプレーし、2024年にテゲバジャーロ宮崎に加入。

魚里さんは「苦しいことが9.5割、嬉しいことが0.5割ぐらいの感覚だった」と語る。

その言葉には、プロになってからも高校時代に負った右ひざの半月板損傷の痛みに苦しんだ日々がある。医師から「このひざでは、90分サッカーはできない」と宣告されたことも。それでも、治療やリハビリを続けてピッチに立ち、持ち前のスピードとチームのために走り続ける献身的なプレーで勝利に貢献した。

テゲバジャーロ宮崎では、チーム最年長として、ピッチ内外で仲間からの信頼も厚かった。

そして昨シーズン、現役を引退する決断をし、8年間のプロ生活に幕を下ろした。

藤松舞アナウンサー:
引退後も宮崎に残る決断をした思いは?

魚里直哉監督:
引退を決めたクラブは特別で、違うかたちで貢献できたらと思って残らせてもらった。

魚里さんをU-12の監督に起用したのは、テゲバジャーロ宮崎の宮本功社長だ。

「温厚で明るい彼の性格が宮崎の子どもたちからすると良いのではないか。彼が宮崎の中でテゲバジャーロ宮崎の価値を上げていくことができる存在だと思う」と期待を寄せる。

魚里さんの原点でもある「アカデミー」

実は魚里さん自身もアカデミー出身だ。兵庫県の淡路島で育ち、中学3年生の時にJ1・セレッソ大阪のU-18へスカウトされた経歴を持つ。

声をかけたのは、当時、セレッソ大阪の育成部長を務めていた宮本功社長と、セレッソ大阪U-18で指揮を執っていたテゲバジャーロ宮崎の大熊裕司監督だった。

魚里さんは、「地元で就職すると思い描いていたが、セレッソ大阪U-18へ行くことが決まって、そこから本気でプロを目指そうという気持ちになった」と話す。

現役引退のセレモニーでは、目に涙を浮かべながら「宮本社長、大熊監督、淡路島の15歳をこのサッカーの世界に呼んでいただき、夢のような景色を見させてくださり、ありがとうございました」と感謝を伝える魚里さんの姿があった。

アカデミーがプロへの原点となった魚里さん。今度は自らが子供たちを夢の舞台へと導く架け橋になれるようにと指導にも熱が入る。

個別育成計画「IDP」の導入

指導において大切にしているのは、“個別”に育成を行うことだ。

練習中、魚里監督は選手一人一人に目を配り、具体的なアドバイスを送る。

また、テゲバジャーロ宮崎では、アカデミーからトップチームまで「IDP」という個別育成計画を導入している。成長スピードを最大化させるため、課題や明確な目標を定め、選手本人と監督が評価をすり合わせながら育成を進める仕組みだ。

宮本社長は、小学生からプロになるまでの数多くの課題に対し、選手自らが解決策を見い出せるように育てていく方針を示している。

また、アカデミーに通う選手の保護者からも、体制の充実ぶりや「IDP(個別育成計画)」を通じて個人が成長できる環境を高く評価する声が上がっている。

公式戦初陣でつかんだ確かな手応え

4月29日、魚里監督は就任後初めての公式戦に臨んだ。

試合前、 円陣を組んで「絶対勝つぞ!」と気勢を上げる選手たち。

前半は0対0で、魚里監督はハーフタイムに選手たちへ指示を送った。相手の背後を狙う動きを徹底して、チームのために走ることで勝利をつかもうと鼓舞。

すると、後半開始早々、魚里監督の作戦が的中し、待望の先制ゴールが決まる。さらに、試合終了間際に追加点を奪い、初陣を2対0の完勝で飾った。

「ここにいる選手をトップチームで活躍できる選手に育てていくことが一番の夢」と話す魚里監督。

魚里 直哉 監督:
小学校の数年だが、その間で一番選手たちのポテンシャルを引き出してあげられるように選手を見て、しっかりアドバイスしていきたい。

育成がもたらす経営的価値の向上

Jリーグは5月26日、選手の育成に関わる補償金の拡充や助成金制度の新設を発表した。

宮本社長は、アカデミーは「ファン獲得」と「経営面」で重要だとし、アカデミーから選手を育てることの価値は、数年後にはさらに高まると語る。

宮本功社長:
アカデミーは、選手を育てていくという過程の中から、テゲバジャーロ宮崎を応援しようという人たちを増やしていくためのとても重要な役割を持った組織。一方で、競技者を高いレベルに育てていくことによって、経営的な面からもすごく重要な効果を発揮する。

選手の育成がクラブの経営的な面からも欠かせないものになってきている日本のサッカー界。宮崎の地から次世代のスターを生み出す挑戦は、今後も続いていく。

(テレビ宮崎)

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