プレスリリース配信元:株式会社エフアンドエム
株式会社エフアンドエムが運営する中小企業総合研究所によるレポート

賃上げへの社会的期待が高まる中、従業員の昇給は、採用力や定着率に直結する経営上の重要課題として位置づけられるようになっています。物価上昇や最低賃金の引き上げが続く環境では、昇給対応の可否が従業員の生活水準に直接影響するだけでなく、企業の人材確保戦略全体を左右しかねません。
特に中小企業では、大企業と比べて昇給原資の確保が容易でなく、業種・規模・地域によって対応状況にも幅があります。
本調査は、こうした実態を定量的に把握し、今後の経営判断や人事制度設計に資する基礎情報を整理する目的で実施しました。
1.調査結果
本調査は、エフアンドエムクラブ会員企業を対象にアンケート調査を実施したものである。調査期間は2026年4月1日から4月30日、有効回答数は2,705社。設問は単一回答および自由記述で構成しており、未回答は集計から除外している。
約8割の中小企業が正社員への昇給・賃上げを予定しており、昇給対応は規模・業種を問わず広く定着している。一方、従業員0~10人規模では約2割が「実施しない」と回答しており、小規模企業ほど対応が難しい実態が示された。


正社員の平均昇給率は「2%以上3%未満」が最多となり、「3%以上」の合計は約4割に達した。月給をベースとした昇給額では「5,000円以上10,000円未満」が最も多く、中小企業の昇給額におけるボリュームゾーンとなっている。


パート・アルバイト等への昇給実施率は約4割にとどまり、正社員への対応と比べて対応状況にばらつきが大きい。業種によって雇用形態の構成が異なるため、対応状況にも差が生じている。

昇給率の決定要因として「物価上昇」と「人材確保」が広く挙げられた一方、取引先への価格転嫁の困難さや、最低賃金上昇による賃金体系の歪みを懸念する声が多くの業種から寄せられた。
2.まとめ
昇給対応は広く定着、ただし規模・業種で温度差
約8割の中小企業が2026年度の昇給・賃上げを予定しており、昇給対応は規模・業種を問わず標準的な経営行動として定着しつつある。昇給率・昇給額ともに企業によって幅があるものの、月5,000円以上・昇給率2~3%台が中小企業の中心的な水準として浮かび上がった。一方で、小規模企業ほど「実施しない」割合が高く、医療・福祉では昇給率が他業種を下回る傾向が見られた。昇給対応の広がりと、規模・業種による実施水準の格差が同時に確認された結果となった。
パート・アルバイトへの対応は企業によって分かれる
パート・アルバイト等を雇用している企業の中でも、昇給を実施する企業が過半数を占める一方、実施しない企業も一定数存在しており、正社員への対応と比べると対応状況にばらつきが大きい。宿泊業・飲食業や医療・福祉では実施率が高い一方、情報通信業では実施しない企業が多数を占めるなど、業種の性質が非正規従業員への処遇方針に強く影響していることが示された。物価上昇と賃金体系のひずみが経営現場を圧迫
自由記述では、物価上昇やコスト増が続く中で取引先への価格転嫁が進まず、昇給原資の確保に苦慮しているという声が製造業・建設業を中心に広く寄せられた。また、最低賃金の引き上げへの対応を優先すると新入社員と中堅・ベテラン社員との賃金差が縮小し、賃金体系全体の見直しを迫られるという指摘も多かった。昇給に伴う社会保険料の増加によって従業員の手取りが思うように増えないという声も複数確認されており、昇給しても効果が実感されにくい構造が現場の負担感を高めている。昇給を続けるための基盤整備が次の課題に
「人材確保のために昇給せざるを得なかった」という声が多数寄せられており、業績の裏付けよりも離職防止を優先した昇給が広がっている実態が見えてきた。こうした状況を続けるには、人件費増加分を価格に反映できる取引環境の整備が不可欠となる。また、昇給額の決め方に明確な基準がなく、毎年の判断に苦慮しているという声も多く確認された。評価制度や賃金テーブルといった社内の仕組みを整えることが、従業員が納得できる昇給を実現し、継続的な賃上げを支える土台になる。
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https://www.fmltd.co.jp/info_cat/chushou
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