気になる疑問やニュースの「ナゼ」を解き明かす「どうなの?」です。
日本時間の12日に開幕したFIFAワールドカップ2026。
ここでも中東情勢の影響が広がっています。
開催国の1つであるアメリカで初戦を迎えるイランの代表は、試合前から苦戦を強いられているといいます。
山崎夕貴キャスター:
まさに渦中の2カ国がこのワールドカップでというのは異例中の異例ですよね。
そうした両国の対立の影響というところが、試合に臨むイランの代表選手たちにも多大な影響を及ぼしているんです。
12日のどうなの?は「孤立無援のイラン代表 揺らぐワールドカップの中立性」について見ていきます。
安宅晃樹キャスター:
まずは、ワールドカップを巡るこれまでのアメリカとイランの対立の経緯を見ていきたいと思います。
2月28日にアメリカはイスラエルとともにイランの攻撃を開始しました。するとこれに対応してイラン側はホルムズ海峡の通航を禁止。その後イランも報復攻撃を開始してここから中東情勢が一気に緊迫化していきます。
3月12日にはアメリカのトランプ大統領が自身のSNSで、イランのワールドカップへの参加は「安全上適切ではない」と投稿しました。するとその4日後、イランのサッカー連盟の会長が試合会場をアメリカからメキシコに変更するようにFIFAに要求すると表明したわけなんです。ただ、ここから1カ月ほど時間がたちまして、会場変更の要請というものが却下されたとメキシコ大統領が明らかにしました。
そして4月22日には、アメリカのトランプ氏の側近がイランの代わりに予選で敗退したイタリアを参加させるようFIFAに提案したと、イギリスのフィナンシャル・タイムズ紙が報じたわけなんです。その後、FIFAの会長が「イランはワールドカップに出場する」そして「アメリカでプレーする」と発言したということで、開催までにこれだけの経緯があったということです。
榎並大二郎キャスター:
紆余(うよ)曲折あったなという感じですが、トランプ大統領が参加が適切ではないというふうにつぶやいたのは、アメリカ国内で反イランデモが行われる懸念もあってというところももちろんあってのことだと思うんですよ。それにしても、開催国の大統領の発言としては驚きですよね。
安宅晃樹キャスター:
この2カ国の対立というのが今後の終戦の見通しが立たないなか、イラン代表はさらなる苦境に立たされているんです。5月の末、ビザの問題などを理由にキャンプ地を当初予定していたアメリカ・アリゾナ州からメキシコ・ティフアナに変更しました。大会前の調整をトルコで行っていたんですが、なかなかアメリカへの入国ビザが下りず、6月6日にようやくイラン代表選手全員にビザが発給されましたが、運営スタッフなどイラン代表団の10人以上にビザが発給されていないとして、イランサッカー連盟がアメリカ政府を非難。FIFAに対応を求めました。そして開幕の4日前にキャンプ地のメキシコ北西部ティフアナにようやく到着できたんです。
遠藤玲子キャスター:
今までのワールドカップでも、ビザの問題で事前のキャンプ地も変更になるといったことも聞いたことないですし、イランの選手からすると調整への影響が多大ですよね。どうするんでしょう。
安宅晃樹キャスター:
大変な中でメキシコのキャンプ地を拠点にすることとなったイランですけども今後、どのような試合のスケジュールなのか見ていきたいと思います。
イランは日本時間の6月16日にニュージーランドと、そして22日にはベルギーと試合を行います。どちらも会場はロサンゼルス・スタジアムで行われます。27日にはエジプトと試合をするんですが、これはシアトルのスタジアムで行われます。
先ほどお伝えしたとおり、拠点を変更したことで、試合のたびにメキシコからそれぞれの会場へ行き来することになるんです。イランが入っているグループG、他の3カ国はキャンプ地がアメリカ国内なんですね。イランだけがメキシコという状況で、ちなみに初戦は前日入りして、あとの2試合については規約どおり2日前に現地入りするということです。
移動ですけども、FIFAがチャーター機を用意するということなんですが、「イット!」が調べたところティフアナからロサンゼルスまでは約30分、シアトルまでは3時間かかる。これを行き来しながらのスケジュールを縫って戦っていくということです。
山崎夕貴キャスター:
基本的には規約どおり2日前入りということですが、国境をまたぐっていうことは手続きも大変でしょうし肉体的、精神的にも負担がかかるかもしれないですね。
安宅晃樹キャスター:
一方で、イランの政府側もこのように発信しているんです。イラン国営通信によりますと、イランのスポーツ・青年相がイラン代表の試合中にイラン国旗以外のものが掲げられたり、規範に反するスローガンが叫ばれたりした場合には、FIFAに是正を求めて是正されなければ試合を中断する可能性もあるという発言がありました。
榎並大二郎キャスター:
これも物々しいですし、開幕前にこういう議論があるのも異例ですよね。
安宅晃樹キャスター:
ただ、これだけではないんです。さらに選手にとっては孤立を深めるこんな出来事もあります。
ワールドカップは、自国の代表が出場する試合のチケットというのが約8%割り当てられて、それをサポーターに販売できる仕組みです。なんですが、イランサッカー連盟は割り当てられていたチケットが取り消されたと明らかにしました。イラン国内ではチケット販売を開始していたんですが、これによってサポーターはアメリカで観戦することが難しくなったということで、選手たちを後押しするこのサポーターの存在が得られないことになるんです。
こうしたイラン代表の置かれた状況について、国際紛争に詳しい国際ジャーナリストの千田善さんはこのように指摘します。まずは、ワールドカップで優先されるべきことはフェアかどうかということで、国籍や出自で入国制限をするというのは開催国としてはふさわしくないと。また、主催するFIFAに対しては中立を保つべきであってアメリカに寄っていると指摘しています。
ということで12日のどうなの?は「孤立無援のイラン代表 揺らぐワールドカップの中立性」について見てきましたが、アメリカとイラン両国の対立の影響で今、選手たちは十分なサポートが得られない状況に置かれています。
また、専門家からは今回のイラン代表への対応を巡って、きちんと出場国の公平性を担保するべきとの声も上がっています。
榎並大二郎キャスター:
イラン代表の選手の皆さんも他の選手たちと等しく大変な努力、苦労をして切符を勝ち取っていますから、ベストパフォーマンスをしてもらいたいと思います。