月4,000件…知らぬ間に大量送信されるSMS

きっかけは、突然跳ね上がった携帯電話の料金だった。

被害者:
先月の携帯電話の料金が1万2,000円~3,000円高くなっていた

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不審に思った男性が利用明細を取り寄せたところ、そこには驚きの記録が残されていた。

ーーSMSというのは…

被害者:
ショートメール

ーー違う番号に立て続けに…

被害者:
1回3円、約4,000件発信されていた

携帯電話の番号を通じ、メッセージを送信できる「ショートメール」。
それが、知らぬ間に大量に送信されていた。
件数は7月以降、月を追うごとに増え、9月には4,000件に上った。1日平均で130件以上の計算だ。

被害者:
11時ぐらいから夕方の5時~6時までに全部集中している。仕事してるので、こういう時間にこれだけやるのはあり得ないし、そもそもこれだけの番号知らないしですね

自ら送ったわけではなく、料金は負担できない。男性は、携帯電話会社に相談した。
ところが、会社側は、間違いなく男性の番号から送信されているため「料金を請求せざるを得ない」との立場だった。

携帯電話会社:
ご納得いただきがたい回答であることは、私どもも重々承知している

被害者:
どうしても料金を支払うというのは納得いかない部分もあるし、ある意味詐欺に遭ってるような感じじゃないですか

携帯電話会社:
同様の状況であるお客さま、誠に不本意ながらこのようなご案内を全ての方に申し上げている

被害者:
他のお客さん、納得してる?

携帯電話会社:
人それぞれ

被害者は不在通知装ったSMSのURLにアクセス

今相次いでいるショートメールの不可解な大量送信…

(ツイッターより)
ショートメール通信料の請求額が2万円近くになりました。本当に迷惑してます!!

(ツイッターより)
海外にショートメールをしてたとのこと。そんな覚えない

(ツイッターより)
携帯会社電話しても警察に届けて金額はそのまま払ってもらうようになるって え、勝手に使われてるようになっとっても払わんといけんの?

なぜ、こんなことになるのか? 見えてきたのは、被害者に共通するこんな「過去」だった。

被害に遭った宮川紗矢香さん:
「荷物を宅配したが不在だったため持ち返った」というショートメール。ちょこちょこ注文するので、その関係なのかなとクリックした

携帯電話画面(ショートメール):
お荷物のお届けにあがりましたが不在の為持ち帰りました

そう、宅配した際の「不在」を通知するショートメール。皆一様にその添付されたURLにアクセスしていた。

被害に遭った宮川紗矢香さん:
一応、電話番号を検索したりとかは。「迷惑メールだよ」とかネットとかでは出てきたりするので気をつけていたが、今回はその電話番号で被害は書いてなかったので、やっぱり宅配の人の仕事用の携帯なのかなと、あまり疑わなかった

だが、この不在通知が紛れもなく「詐欺メール」だったのだ。
URLにアクセスすると…宅配業者を装った偽サイトだった。
しかし、公式サイトと正直、見分けがつかない。
そしてその偽サイト上で…

ITジャーナリスト・三上洋氏:
「荷物の追跡アプリを入れてください」と言われる。実は、これが遠隔操作の犯人が情報を抜くためのアプリで、スマートフォンの情報を盗み取ることでお金に換えようとしている

送信者は“被害者”…スマホ乗っ取られ“加害者”に

記者:
これですよね、「不在のためお荷物を持ち帰りました」

宅配の詐欺メールを受け取った人は、テレビ西日本の社内でも多数いた。

TNC報道部・新垣泉子アナウンサー:
私にも届いた。どこの宅配便かも書いてないし、おかしいなと思って

送信元の電話番号に直撃すると…

ーーそちらから宅配の不在通知が来ていたが…

「詐欺ショートメール」の送信元:
毎日100件ぐらい入る。そういう問い合わせが。申し訳ないです。関係ないです。誰かがいたずらというか、詐欺でやってるみたいです。悪用されて困ってます

一体どういうことなのか? 
裏には、とんでもない“わな”があった。

ITジャーナリスト・三上洋氏:
1台のスマートフォンに不正アプリ、この遠隔操作アプリを入れたら、そこの情報を盗んだあとに、さらにそのスマートフォンを使って他の人に電話番号のショートメールを大量送信することもできてしまう

実は、詐欺メールを通じ不正なアプリが入ると、スマートフォンを乗っ取られ、そこから同じ詐欺メールを送信されてしまうのだ。
つまり、取材班が電話した男性、そしてインタビューした2人も、知らぬ間に詐欺に加担していたことになる。

同じように乗っ取られた人の中には…

被害に遭った玉川淳也さん:
悪いことをしてるので、弁護士を使ってあなたを訴えるみたいなメールが来た。こちらも被害者だが、加害者にもなってしまったということ

被害者が加害者となり、新たな被害者を生む。その負の連鎖を犯人は今どう見ているだろうか?

ITジャーナリスト・三上洋氏:
被害者の方のスマートフォンを利用する形で、さらに詐欺のショートメールを送る。これによって、コストをかけずにショートメールを送ることができる。
さらにもう1つ。遠隔操作しているので、被害者のスマホがクッションになって、自分たちの身元を隠すことにも利用できる。犯人にとっては非常に都合の良い方法

あなたの携帯は大丈夫?

(テレビ西日本)

テレビ西日本
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