■「2年経ちましたが悲しみは当時のまま」廷内に響く遺族の泣き叫ぶ声
北海道旭川市で2024年、当時17歳の女子高校生を橋から落下させ殺害した罪などに問われている女の8回目の裁判員裁判が6月8日に旭川地裁で開かれ、検察側は懲役27年を求刑した。
被害者遺族の意見陳述から始まった6月8日の裁判。
橋から転落して亡くなった女子高校生の母親の手紙が代理人によって代読された。
「見るものすべてが娘を思い出させ、身をそがれるような感覚に陥ります」
「夜中に目が覚めるたびに、娘の苦しめられる姿を想像すると日々、絶望感にさいなまれる」
「何を思えばこんなに卑劣で残酷なことができるのか」
最後には「極刑を望む気持ちもあります」と綴られていた。
その後、出廷した女子高生の父親は、自ら泣き叫ぶように手紙を読み上げた。
■被害者の父親は「どうかどうか、あいつを私の娘が望む判決を下してください」
「娘のことが心から大好きでした。2年経ちましたが悲しみは当時のままで、つらく悲しい日々が続いています」
そして最後に内田被告を指さすと
「裁判官、裁判員の皆様、どうかどうか、あいつを私の娘が望む判決を下してください。よろしくお願いします」
静まった廷内ではいたるところから、すすり泣く声が聞こえていた。
内田被告は遺族の叫びを聞いても表情を変えることはなかった。
裁判を傍聴した女性はその時の内田被告の様子を「聞こえていないかのように落ち着いていて、謝罪しようという気が表情から全く感じられなかった」と語った。
■検察の求刑は懲役27年…内田被告は表情変えず
論告求刑公判では検察側から事実関係の確認が行われた。
争点となる殺人の実行行為性については「直接の理由が何であるにせよ、転落による女子高校生の死の結果は、内田被告らの行為が招いたもので、被告人が殺人の実行行為を行ったと認められる」と指摘。
また、情状に関しても以下5点の指摘がされた。
1・犯行様態が女子高校生の人格の尊厳を踏みにじるきわめて残酷なものであって悪質である
2・犯行に至る経緯及び犯行動機は身勝手極まりなく、酌量の余地が一切ない
3・被害結果があまりにも重大である
4・証拠隠滅行為に及ぶなど、犯行後の情状も悪い
5・被告人が首謀者かつ主犯であり、共犯者の中でも最も重い責任を負うべきである
これらを指摘した上で、これまでの裁判の事案や共犯の女の懲役23年とのバランスを考慮すべきとして検察は懲役27年を求刑した。
■無期懲役を求刑しなかった検察の理由
殺人罪と不同意わいせつ致死、今回争われている2つの罪。
2つの罪は行為としては同じなのでこの場合は1つとして捉え、より重い方を基準として量刑が検討される。
検察は、殺人罪は成立するとしており、殺人罪の有期刑は最長20年。
そこに監禁罪の上限である7年を合わせて懲役27年の求刑となる。
無期懲役を求刑しなかった理由の一つとして、検察はこれまでの裁判例を見て総合考慮して判断したとしている。
■「すべて被告人の責任とは言えない」弁護側はあくまでも殺意を否定
午後には弁論が行われ、弁護側は改めて殺意や殺害の実行行為を否定し、共犯の女の食い違う証言についても「信用できない」と主張した。
「神居古潭の橋の上でテレビ電話をしていた少年は「キャー」「ダン」という音を聞いていない。共犯の女が欄干の外にいる女子高校生の背中を内田被告が押したと言っているが、その場にいれば少年がその音を聞いているはずです」
「共犯の女は内田被告の調書について『最初から最後まで全部ウソ』などと極端な表現をしていて、反発やよからぬ感情を持っていることがあらわになっています」
「共犯の女は検察の質問には明瞭に答えるのに、弁護人の質問には『覚えていない』と答える。検察に教育された証人です」
弁護側は最後に「適切な時期に社会復帰できる場を見つけてあげたい」と話した。
■内田被告「今後も反省、謝罪、償いの日々を送ります」
最終陳述のため証言台に立った内田被告。
遺族と正面に向けて深く頭を下げると、3秒ほどの沈黙の後…
「今日まで8回の裁判を通して改めて結果の重大さをみに沁みて感じました。今後も反省、謝罪、償いの日々を送ります。以上です。」
最後まで表情を変えることなく退廷した内田被告。
注目の判決は6月22日に言い渡される。