私たちの食生活に欠かせないお米。
2026年は新米の価格が安くなるかもしれません。
一般的にスーパーなどで売っているお米の価格は、JAから前払いで生産者の皆さんに支払われる概算金などが影響するとされています。
価格は米の在庫状況や生産コストなどを反映して決まるのですが、九州など米づくりが盛んな地域では全国に先駆けて概算金が出そろってきました。
関係者によりますと、宮崎県で玄米60kg当たり1万8000円と2025年よりも4割を超えて値下がりし、鹿児島県では2万540円前後と2025年より2割ほど安くなりました。
そして、収穫時期が早い宮崎県や鹿児島県などの地域の価格は、秋ごろ収穫される他の産地の新米価格の目安となりますので、2026年は全国的に新米が安くなる可能性があるというのです。
では、新米の価格はどこまで下がるのでしょうか。
米の価格が値下がり傾向を見せていることで、収穫を一部取りやめることを検討している農家も出始めています。
23日、東京・足立区にある「スーパーさんよう」に陳列されていた米の値段を見てみると、茨城県産コシヒカリが5kg3218円(税込み)で売られていました。
スーパーさんよう・阿部芳邦取締役:
毎月のように今安くなってる。(高い時期から)肌感で1000円ほど安くなってる。
全国のスーパーで販売された5kg当たりの米平均価格は、2026年初めに4400円台だったものがどんどん下落し、7月に入るころには3500円を切りました。
米を安く提供できる理由について、スーパーさんようの担当者は「問屋さんの話を聞くとお米が今余ってる。早めに在庫をなくさないと新米が入れられない。(今後も)多少下がる可能性はあるかなと」と話します。
農林水産省によりますと、全国の米の民間在庫量は5月末時点で2025年の同じ時期より74万トン多くなっています。
こうした、米が余っている状況にスーパーさんようの担当者は新米も安く販売できるのではと期待を寄せています。
スーパーさんよう・阿部芳邦取締役:
今のところ豊作と聞いているので、値段はちょっと安くなるかなと。
一方、米価格の低下を嘆いているのは生産側の農家です。
千葉・いすみ市の田んぼで収穫が始まったのは、暑さに強く一般的な品種よりも出荷時期の早い「五百川」の新米です。
ここでは、これから収穫のピークを迎えますが、育てた米の収穫を一部取りやめることも検討しているといいます。
新田野ファーム・藤平正一社長:
経費がマイナスになるなら(収穫)やらないほうがいい。
こう話す背景にあるのは、全国に先駆けて九州などで収穫が始まっている新米が、値下がり傾向にあることです。
JAが農家に示す概算金は、鹿児島県では2025年と比べて2割程度、宮崎県では4割ほど下落。
23日に取材した千葉県の農家「新田野ファーム」では2025年、令和の米騒動の影響で米価格が高騰し、民間の集荷業者からの買い取り価格が60kg3万5000円でしたが、2026年は業者から「(60kgで)1万5000円出さないんじゃないか。(去年の)半分以下」と伝えられたといいます。
従業員の給料をまかなうため収穫を続けていますが、収穫を行うたびに燃料費や人件費などがかさみ、頭を悩ませています。
新田野ファーム・藤平正一社長:
これ以上(コメの買い取り価格)下がるなら(来年の生産)やめちゃう。机上の計算でやられたんじゃ現場の人間はみんなまいっちゃう。
では今後、米の価格はどこまで下がっていくのでしょうか。
まず「イット!」取材班は現在の米の販売価格を正確に知るために、東京・品川区のスーパー6店舗を独自に調査。
23日、各店舗に並んでいた最も価格の安い令和7年度産の「コシヒカリ1袋5kg」がいくらで売られているのか比較しました。
まず、A店のコシヒカリ1袋5kgの価格は3780円(税込み)でした。
さらに、A店から数百メートルほど離れたB店では3561円(税込み)、C店では4190円(税込み)でした。
ここまで、A店からC店で売られていた最も安いコシヒカリ1袋5kgの価格の平均は3843円(税込み)で、次に訪れたD店ではそれを少し上回る3974円(税込み)でした。
そして、6店舗中一番安い値段だったのがE店の3314円(税込み)、一番価格が高かったのがF店の4318円(税込み)でした。
榎並大二郎キャスター:
品川区で2km圏内の6店舗を調査したところ、23日、店頭に並んでいた最も低価格のコシヒカリ1袋5kgの価格は平均で3800円ほどだったんですね。一番安かったE店は5kgで3314円、一番高かったF店で4318円とその差額が1004円でした。
安宅晃樹キャスター:
一時期5000円台とかあったのを考えるとだいぶ下がってきましたけど、ただまだ結構ばらつきがありますね。
山﨑夕貴キャスター:
この値段がもっと下がってくるということなんですか。
榎並大二郎キャスター:
まさに九州の主要地域での概算金が下がったとお伝えしましたが、気になるのは今後、私たちの食卓に並ぶ2026年の新米の価格ですよね。今後の予測をお二人の専門家に聞きました。
ニッセイ基礎研究所・小前田大介准主任研究員は2026年の新米の店頭価格は5kgで税込み3000円前後になって、2025年から3割から4割ほど下落しそうだという見立てでした。
そして、流通経済研究所・折笠俊輔主席研究員は、新米価格5kg税込みで3000円から3200円と2025年よりも1000円以上安くなるのではないかということだったんですね。
遠藤玲子キャスター:
2025年が高すぎたのもありますが、だいぶ安くなるなという印象がある一方で、ちょっと前までは5kg2000円台が普通だったので、それに比べると高止まりなのかなという印象もありますね。
山﨑夕貴キャスター:
私たちとしてはうれしいですけど、生産者の皆さんへの影響も気になりますし、それが今後、私たちの食卓にどう影響するのかも気になりますよね。
榎並大二郎キャスター:
短期的に見ると今、新米価格が下がるのかよしよしと思うのですが、現場の声はどうなのでしょうか。
千葉県内の農家「新田野ファーム」の藤平正一社長は、米問屋の買い取り価格が2025年は3万5000円ほどだったのに対し2026年は1万5000円ほどで約半分だったということで、「経費がマイナスになるなら稲刈りをやらない方がいい」と話していて、収穫を一部取りやめることも検討しているということでした。
では、仮に農家が価格の下落などを理由に米の収穫量を減らしてしまった場合、どんな影響が考えられるのでしょうか。
流通経済研究所の折笠氏は「2026年は米が余っているのでいいんだけれども、価格の変動に生産者の皆さんが疲弊することで、農家の皆さんが減少してしまう。これが加速する懸念がある。そして数年後、米が不足してしまった際にまた価格が高騰するような事態につながる恐れもある」と指摘していました。
ただでさえ高齢化などで農家のなり手不足が叫ばれる中で、いかに農家の皆さんが安心して米を生産できるか、課題はまだ残っています。
