明治期以降、日本画の新たな可能性を切り拓いた横山大観や菱田春草などの名作を展示した企画展「日本画とらべる」が富山県水墨美術館で開かれています。
まるで近代の日本美術史を旅するように様々な視点から楽しむことができる企画展、5日から3回シリーズで見どころをお伝えします。
西洋文化が急速に流入する中で、日本の伝統的な絵画はその存在意義を問われていました。
こうした状況に危機感を抱いたのが、美術思想家の岡倉天心(おかくらてんしん)でした。
*茨城県近代美術館 中田智則企画課長
「岡倉天心が日本美術院を設立します。当初は順調に活動を行っていたんですけど、次第に彼らの絵が売れなくなっていくんですね。そういう中で五浦に岡倉天心が日本美術院の研究所を建ててですね、そこで天心のもとで日本画の研鑽に努める、そういう時代がやってきます。」
天心に招かれ現在の茨城県北茨城市の五浦(いづら・イントネーション平板)を訪れた、横山大観(よこやま・たいかん)や菱田春草(ひしだ・しゅんそう)たちが自然豊かな環境で日本画の制作に没頭します。
*茨城県近代美術館 中田智則企画課長
「横山大観においては、この時期を境に結構海の絵を多く描くようになりますけど、横山大観の画業においても五浦の地というのは大きな転換点になったというふうに言えるかと思います。」
こうして五浦で生み出された作品は、横山大観の「流燈」をはじめとして文展で受賞するなど高く評価されます。
さらに、新しい日本画を生み出すために切磋琢磨する大観らの姿勢は他の画家たちにも影響を与えます。
「安田靫彦だとか今村紫紅らが、彼らの姿を見て、自分たちの製作の姿勢の甘さ、これにしっぽを巻いて逃げ帰るわけですよ。4人の姿を見た若手の画家たちがその後どう成長していたか、そこには大きな役割というか日本美術院の五浦時代の役割というのがあったかと思います
*富山県水墨美術館学芸棟 小松原椿学芸員
「日本近代美術の中でも語るのに外せない作家さんの作品たちを多く借りております。良い作品を富山の皆さんにもご覧いただけるかと思いますので私も非常に楽しみにしております。」
県水墨美術館で開かれている「日本画とらべる―茨城県近代美術館・珠玉のコレクション」展では、五浦(いづら)で生まれた作品など近代日本画の発展に大きく貢献した作家たちの作品を見ることができます。
*茨城県近代美術館 荒屋鋪透館長
「富山の風土の中で、うちの美術館の作品を見ていただける。それぞれ鑑賞者の方の中での“とらべる”を膨らましてほしいなと思います。」