若田博さん夫妻は2010年に広島県北広島町の吉木へ移住し、「まるみど農園」を営んでいる。川の流れと地域の人々に支えられながら、多品目の野菜を育て、採れたてを届ける暮らしを続けてきた。日々の仕事と地域との関わりを、静かに伝える。
偶然が繋いだ出会い
吉木の川沿いには「西日本一のそばの里 豊平」という看板があり、春には鴨が泳ぐ風景が見られる。散歩の途中に地元の電気店・大坪正憲さんと出会い、その父・信昭さんの勧めで若田さんを紹介され、取材の縁が生まれた。日常の立ち話からつながる地域の関係が、暮らしの入口になっている。
移住の経緯と暮らし
若田さん自身は熊野町出身、妻は横浜出身であるが、2010年に吉木へ移住した。「農業がしたくてここを選んだ」と話す若田さんは、移住してからおよそ15年、家族と共に畑に向き合ってきた。気候など地域事情に適応しながら、畑仕事を生活の中心に据えてきた。
ハウスの作物と栽培への思い
ハウス内にはいろいろな品目の苗が並ぶ。トウモロコシの苗や各種の葉物など、季節に応じて顔ぶれが変わる。若田さんは「効率を考えれば1品目に絞る方がいい」と述べつつ、多品目を育てることによる気づきや楽しみを大切にしている。
土と水が支える味
吉木は水のきれいな土地で、そばの里としての風土がある。並べられた野菜の中で、九条ネギは葉がやわらかく「ほにゃほにゃ」と表現される食感が特に目を引く。極早生の新玉ねぎは甘みが強く、採れたてならではのやわらかさがある。こうした味わいは、土地の水や土、日々の手入れが結びついた結果だ。
直に届けるかたち
まるみど農園では、収穫した野菜を詰め合わせて消費者に直接届けている。品目が多い分だけ手間はかかるが、若田さんは「お客さんに直接届けて、喜んでもらえるから続けている」と語る。
地域との相互関係
吉木には移住者が多く、若田さんのように「ここがいい」と感じて移り住んだ人が根を張っている。古くからの住民と移住者が日常のなかで交流し、互いに支え合う関係ができている。地元の電気店とのやり取りや、地域でのちょっとした会話が暮らしを支える一部になっている。若田さんはこれからの営みにおいて効率化も考えながら、栽培方法を模索中だと言うが、畑での手間や近所との関わりが日々の営みと味の基礎になっている。
テレビ新広島
