聞こえのいい言葉が飛び交うウェブセミナーで呼びかけられていたのは、いま需要が高まるデータサーバーへの投資だった。

数カ月で10%という高い利回りをうたいながら、「払い戻しが行われなくなった」と訴える声が全国各地で続出。その被害は全国で約5000人、250億円にのぼるとみられている。

この“投資話”の真相を追った。

■「返金がない。トータルで1000万円近いです」

「サーバー」とは、私たちがネット検索やSNSへの投稿を行う裏で、膨大なデジタル情報の保管や処理を行う機器のこと。快適なネット空間を支える、この時代になくてはならない重要インフラだ。

今回問題となっているのは、京都のデータ管理会社「クリアースカイ」が提供するデータサーバーの売買契約。

仕組みはこうだ。

クリアースカイが製造するサーバーの費用を客が一口100万円から支払う。クリアースカイが第三者の企業などにそのサーバーをレンタルし、そこで得た収益をもとに数カ月後に10%の利息をつけて、客から買い戻すというものだ。

データサーバーの売買契約の仕組み
データサーバーの売買契約の仕組み
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■「高齢者がこんな契約をするはずがない」

親族が被害にあったと訴えるAさんは、去年12月に70代の親族が「ブレードサーバーの製作物供給契約」を結んでいることに気づいた。

Aさんは「高齢者がこんな契約をするはずがない」と感じたという。

親族はおよそ4年前から契約を継続していたが…

親族が被害にあったと訴えるAさん:ことしの1月下旬から2月上旬になって、クリアースカイからの返金がない。トータルで1000万円近いです。

親族が被害にあったと訴えるAさん
親族が被害にあったと訴えるAさん

■「老後の資金としておいておきたかったお金だった」同様の被害訴える人も

40代のBさんも同様の被害を訴える。

被害を訴えるBさん(40代):これが12月15日に契約したもので、償還の記載がここに書いてあります。『3月15日までに買い戻します』と、買い戻すことを確約しますと書いています。3月15日過ぎているんですけど、まだ返金されていないです。

Bさんがクリアースカイと契約したのは総額880万円で、初めに330万円を振り込んだという。

被害を訴えるBさん(40代):老後の資金として、おいておきたかったお金でしたね。

(Q.資産の中でどれくらいを占めてる?)
被害を訴えるBさん(40代):かなりの割合を占めてますね。9割ぐらいですかね。これからどうしようかっていうふうに考えてましたね。地道に働くしかないかなっていう。

Bさんの契約書
Bさんの契約書

■「国策」という誘い文句で勧誘か

なぜ、多くの人がクリアースカイに大切なお金を託してしまったのか。

被害を訴える人たちに共通するのは、「国策」という誘い文句だ。

クリアースカイは契約者を集めるためのセミナーで、「アメリカ一国依存から脱却して、日本独自でサーバー対策を急げ。これをクリアースカイがやっています。サーバーを作ることにお力を貸していただくことで、日本が元気になる」などと説明。

自民党の資料まで持ち出し、まるで国の事業を進めているかのような説明だ。

「国策だという印象を持っていた」
「国策だという印象を持っていた」

■セミナーなどに参加していた元阪神タイガースの関本賢太郎さんは活動を自粛

さらに、クリアースカイ側からBさんのラインに届いたのは、警察とのセミナーの案内。

しかし警視庁に問い合わせると、「警視庁は同社と連携しておらず、同社の事業を推奨したことは一切ありません」と回答。

また、国会議員や有名スポーツ選手との関係も宣伝材料にしていた。

元阪神タイガースの関本賢太郎さんはセミナーやパーティーに参加していましたが、今回の事態を受け活動を自粛。

所属事務所は「『広告塔』として関与していた事実はございません。結果として第三者の皆様に一定の信用を与える形となってしまった可能性については、真摯に受け止めております」とコメントした。

LINEで警視庁との「セキュリティー勉強会」を案内
LINEで警視庁との「セキュリティー勉強会」を案内

■弁護団によると被害は「5000人、250億円程度」

4月、弁護団がクリアースカイの投資勧誘は法律に違反するとして、業務停止命令や検察への告発を消費者庁に求めた。

弁護団の加藤博太郎弁護士は「5000人、250億円程度の被害が広がっているのではないかなと。今後、弁護団等でも、大阪府警本部や警視庁に対して、今回、詐欺及び預託法違反の容疑で告訴していきたい」と話している。

被害弁護団の加藤博太郎弁護士
被害弁護団の加藤博太郎弁護士

■「何十億あったものは、今ないという状態です」

客から集めた金はいったいどこに…。

ことし2月、返金が行われなくなった直後の、経営陣が参加する会議の音声を手に入れることができた。

クリアースカイ 経営陣(会議の音声):サーバーの高騰での、利益ってのがほぼないので、ぎりぎりの状態で運営してる状態で、実際その何十億あったものっていうのは、もう実際には今ないっていうような状態です。

今後の対応について問われると、こんな発言も…。

クリアースカイ 経営陣(会議の音声):時間があれば、切り抜ける策はあると思ってますので、警察となればもちろん僕たちは拘束されるわけで、そうなるとね、僕たちとしても何もできない状態あるんですが、それまでは絶対お客さんに返すってのは、やっぱり一番考えておりますんで。逃げも隠れもするっていうところは絶対ない。

警察の捜査を意識した発言。違法性の認識があったのか。

経営陣の会議音声を入手
経営陣の会議音声を入手

■「新規のサーバーは、実際には立てていなかった」

また、クリアースカイの代理店として、投資の勧誘をしていた人物に話を聞くと資金繰りが悪化する直前の衝撃的な状況が明らかに…。

勧誘役:12月ぐらいから『直近のもの(サーバー)は本当に立てたんですか』と声かけたところ、『返済にまわしていた』っていう会長の言葉がありまして。自転車操業に結果的になっていた。

(Q.新規のサーバーは?)
勧誘役:新規のサーバーは、実際には立てていなかった。

つまり、サーバーを作っていないにも関わらず、客に架空の投資話をもちかけ、その資金を他の客への返済に充てていたというのだ。

さらに、契約書には「大阪府吹田市のデータセンターにサーバーが保管されている」と書かれていたが、別の関係者によれば「吹田は2年前に解約している」とのこと。

取材班が関係先に問い合わせたところ、クリアースカイと吹田のデータセンターの契約は2024年3月に終了したことが分かり、資金繰りが悪化したとされる去年12月よりも前から、サーバー自体が存在していなかった可能性が出てきた。

投資勧誘を行っていた人物
投資勧誘を行っていた人物

■経営陣は沈黙 事務所には「通知が遅れている」の張り紙

取材班は、経営陣に直接話を聞くべく、京都駅から徒歩5分ほどの場所にあるクリアースカイの事務所を訪れた。

しかし、返答はなく、人の気配もない。事務所の扉には「専門の弁護士に相談していて、通知が遅れている」という張り紙が。

複数の関係先を回り接触を試みたが、4月30日時点で経営陣と直接話すことはできなかった。

親族が被害にあったと訴えるAさん:人生のかかったお金を受け取ったんですよ。それを返さないとか許されない。とにかく返せと。

被害を訴えるBさん(40代):あれだけいいことを言ってたのに、こんな会社だったのかっていう。信用できないですね、今はもう。

いまだ沈黙を続けるクリアースカイ経営陣。契約者への真摯な説明が求められる。

(関西テレビ「newsランナー」2026年4月30日放送)

京都駅から徒歩5分ほどの場所にある事務所
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関西テレビ
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