秋田県では早くも住宅地などでクマの出没が相次ぎ、4月の目撃件数は全国最多となった。専門家は昨秋に人里のエサを学んだ「学習グマ」が春先に現れた可能性を指摘する。各地で市街地出没が増えるなか、兵庫県の科学的データに基づき個体数を管理する取り組みが注目されている。
4月の目撃数が278件と全国最多の秋田県
「あっ、いた!草食べてる!」これは、きのう、秋田市内の高齢者施設で撮影された映像。
ガラス1枚を隔てた目の前に、大きなクマが! 悠然と草を食べている。
「怖い!怖い!・・・怖い!怖い!」
人を怖がる様子もなく、逃げ出そうともしない…ゴールデンウィークを目前に各地で相次いでいる“春グマ”の出没。
なかでも秋田県では、4月の目撃件数が278件と全国最多。
これは、4月14日、秋田市の新屋地区に現れたクマの映像。
通りをゆっくりと横断し…民家の間に入っていった。
目撃した女性:
びっくりしたよね、結構大きかったよね。
目撃した男性:
ここを通ってて体長は1m50㎝近くありました。
こちらは、同じ14日、新屋地区の別の場所で撮影された写真。
住民:
ちょうどあそこの角っこにある建物の間から出てきて、洗濯干してる時だったんですけど、もう大きくて本当にいるんだと思って。
さらに18日にも、民家の庭先に出没。
住民:
(住み始めてから)50年くらい。クマなんてそんなもの全然なかったもの。人ごとと思ってたんだけど
別の住民は2025年との違いをこう口にする。
住民男性:
去年はね、こう畑の端の方歩いたんですけど、この間出たのはもうすぐうちから5メートルぐらいの近いところに出てました。
人間が暮らすエリアに、より近づいているというクマ。
実は、ここ新屋地区の目撃情報は4月に入り、27件と秋田市内でも突出している。
いったいなぜ、この地区で多く出没しているのか?
取材班:
秋田市内の中でも、クマの出没が突出して多い新屋地区。25日も午前6時30分頃、こちらの公園でクマ1頭が目撃されました。
公園のブランコ付近で目撃されたという。
兄妹の母親:
(子供を外で)遊ばせられないですね。なるべく外では遊ぶ時は必ずついていきますし。
妹:
クマいるから園庭で遊ぶのなしって言われてる。
なぜ、この地区で多く出没しているのか?クマの生態に詳しい岩手大学の山内准教授は…
岩手大学・山内貴義准教授:
(新屋地区の)南の方にはかなり深い森があって、いわゆる山奥があって、緩衝地帯があって住宅地があるっていうような景観ではなくて、もう山があってすぐ住宅地。確かに、新屋地区には山林から住宅エリアまでの間に田畑のような緩衝地区はない。
さらに、目撃現場近くの山林をドローンで探索してみると…
取材班:
あっ!なんか歩いている!あっ、ほんとだ!・・・・・・キジだね。雄のキジ。
引き続き、夜も捜索したものの、クマの存在は確認できなかった。
この地区に現れたクマは、いったいどこに行ったのか?
山内氏によると、町を流れる川や川沿いの木々もクマの移動ルートになるという。
宮城県ではクマの目撃数が2025年の2.6倍に
クマの変化は、出没エリアだけではない。
宮城県では、3月1日から4月24日までのクマの目撃数が、2025年の2.6倍に…
「いたいた…いたいたいたいた!!」
1週間ほど前、仙台市の中心部に突如出没した“巨大グマ”。
マンションの敷地内を歩き、ライトの光にも全くひるまず、車が後ろから追ってきても堂々と歩き、犬が吠えても、何事もなく通り抜けて住宅の庭に侵入し居座った。
ドローンで撮影された映像には、茂みの中でうずくまり、じっとしているクマの姿が…。市街地を騒然とさせたクマは、約19時間後、緊急銃猟により駆除された。
これは、駆除されたクマの写真。

体長は1.5メートルのオスの成獣で、重さはなんと125キロもあった。
このクマに庭を通られたという住民は…
住民:
あのタンポポの咲いてるあの辺の草の上にコンモリと黒い糞が。ビックリしますでしょう、こんなところに。
住民:
これすごいでしょ。(爪で)ガリガリやったんですね。引っ掻いたの分かるでしょ。
さらに…
住民:
これがこう曲がってるでしょ。というのはここに乗っかったんですね。手ですよ。クマの手型です。
取材班:
確かに。上の方にもありますね。
クマは、大胆にも庭を通り抜け2メートルもの柵を乗り越え、移動していったという。
岩手大学・山内貴義准教授:
やっぱり何回かそういう人の生活音のある場所に出没してるかなり慣れた個体かなと思ってます。
それにしてもなぜ、冬眠明けの時期に巨大なクマが現れたのか?
岩手大学・山内貴義准教授:
3月の気温の上昇によって冬眠明けが全体的に早まっている。冬眠明けしてから何かしら人工的なエサ資源に執着して食べたんじゃないかなと。一時的に体重が急激に増加して100kg以上になってしまう。
背景にあるのが“エサの記憶”だという。
岩手大学・山内貴義准教授:
昨年の秋、街中のエサ資源にかなり依存してしまった。学習してしまった個体が春先に出てきているんじゃないかと。
2025年秋、市街地にエサがあることを学んだたクマが春先に再び現れている…いわば“学習グマ”だという。
クマの人的被害を抑えた兵庫県の取り組み
その連鎖を断ち切ることはできないのか?Mr.サンデーが向かったのは、兵庫県丹波市。
のどかな田園風景が広がるこの場所に、日本のクマ対策をけん引する施設「兵庫県森林動物研究センター」がある。
2025年“史上最悪”と言われたクマ被害。そんな中、兵庫県は人的被害を1人に抑えている。
いったいどうしているのか?
兵庫県森林動物研究センター・横山研究部長:
野生動物の科学的な情報を収集して分析して、科学的な管理を行っていく。あくまでもデータに基づいて意思決定をしましょうと。
そう語るのは、横山研究部長。そのデータ収集の方法は…
兵庫県森林動物研究センター・横山研究部長:
(捕獲したクマに)マイクロチップを挿入して個体管理とデータベースに記録していくということをしてきました。
25年の歳月をかけて捕獲したクマ、延べ1122頭にマイクロチップを装着。個体を識別し、その数を把握してきたという。すると判明したのは…
兵庫県森林動物研究センター・横山研究部長:
(年間)大体15%ぐらい増えていると。捕獲をしないと5年で2倍になります。
想定を超えるクマの繁殖力。そこで…
兵庫県森林動物研究センター・横山研究部長:
何頭まで増えたら施策を変えようかという議論をして、その中で、ルールとして決めたのが…
推定生息数800頭というラインを決め、この頭数を上回っている場合には、集落から200メートル圏内に出没したクマを積極的に駆除。
超えなければ、捕獲し調査を継続するという対応で、現在も個体数を維持しているという。
さらに、一部のクマに首輪型のGPSを装着し、追跡調査を実施。あるオスのクマの動きを約10カ月間分析したところ…
兵庫県森林動物研究センター・横山研究部長:
いっぱい山があるんですけど、こういう所よりは、人の生活圏の近くで行動していたっていうのが分かりました。もし、人里に誘因物がいっぱいあれば、もし、おいしいものがいっぱいあるような環境があれば、そこに居座り続けます。クマは賢いので、餌がない山にずっといないわけですね。田んぼや畑、それから果樹園ゴミも落ちてるし、人家近くには、柿がいっぱいあるしというのを発見して、そこを「餌場」という学習をしてしまった。
こうした兵庫県の取り組みもあり、国も4年ぶりに「保護」から「管理」へと方針を変えた。
一筋縄ではいかない“学習グマ”の存在。ゴールデンウィーク以降、クマへの警戒が一層必要だという。
岩手大学・山内貴義准教授:
初夏がちょうどクマの繁殖期になります。特にオスはメスを追い求めて行動域が一気に広くなります。やっぱり凶暴化。クマ自体が非常に興奮状態になりやすい季節にはなっていくので 。
(「Mr.サンデー」4月26日放送より)
