発生から10年が経った熊本地震。

今週お届けしてきたシリーズ企画は今回が最終日です。

当時、由布市湯布院町では観光業も大きな打撃を受けました。

地震で被災し建て替えを余儀なくされた旅館の今を取材しました。

◆山荘わらび野 高田淳平代表
「従業員を(営業が)続けられないからと解雇する時が一番きつかった」

10年前の4月16日、地震で被災した旅館「山荘わらび野」の代表、高田淳平さんです。

由布市では、別府市と並び県内の観測史上最大となる震度6弱を観測。住宅など2450棟に被害が出ました。観光面でも地震直後の5月の宿泊者数がおよそ2万3000人と前の年のおよそ5万7000人から半数以下にまで減少し打撃を受けました。

「山荘わらび野」も瓦が落ちたり、母屋が傾くといった被害が出て営業を続けることはできませんでした。

高田さんは建て替えを決意します。

◆山荘わらび野高田淳平代表
「建て替えをする時に更地にしたが当時からこの木とかその奥の木とか大きな木は残ったまま。植えられたものが残っている」

地震から3年後、木造だった和風旅館はモダンで耐震性のある鉄筋コンクリート造りに生まれ変わりました。地震で、ゼロどころか、多額の借金を抱えるマイナスからの再出発となりましたが高田さんは、あの苦しんだ経験があるから今の自分があると振り返ります。

◆山荘わらび野高田淳平代表
「(地震が)すごく転機になったと思っていてプラスでしかないと言ったら語弊があるかもしれないけれどあの建て直しがなかったら僕自身も人として成長できていなかった」

高級感のある室内に源泉かけ流しの温泉。リニューアルした旅館には今、国の内外から多くの観光客が訪れています。

◆山荘わらび野高田淳平代表
「観光は水物ではないけれど生き物なので本当にネガティブになっている町だとお客さんは絶対にこない。だからそこはポジティブにいるようにしている」

由布市を訪れた観光客数は2024年の時点で年間およそ429万8000人と過去最多となっていて受け皿となる宿泊施設では、10年前の地震の経験が生かされていると言います。

◆由布院温泉観光協会太田慎太郎代表理事
「震災というものがどこか遠い存在のような感覚でいたものが現実として自分たちの身に降るということを本当に感じた経験だった。 これに対する備えは考え方が大きく変わった。これはプラスのメリットではないか」

また、地震などの際は観光客はもちろん地元の住民の安全安心のためにも町全体で取り組むことが大事だと話します。

◆由布院温泉観光協会太田慎太郎代表理事
「お客様をいち早く被災地から離し、 リソースの全てを住民の皆さんに注いで 安心安全を確保する。住民の生命財産を守ることに観光も寄与しなければいけないというところはこの10年間の 中で考えられて議論されてきた中の1つの大きな結論だ」

あの地震から10年。被災した観光地・湯布院は当時の経験を忘れずに歩みを進めています。

テレビ大分
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