東日本大震災の発生からわずか1カ月後に石巻市に設置されたのが、「がんばろう!石巻」と書かれた看板です。4月11日、地元の中学生が制作した新しい看板に掛け替えられました。
被災した人を励まし続けた看板は、設置から15年が経ったいま、違う役割を担っています。
石巻市に住む本間英一さん、77歳です。地区の町内会長を務め、地域のつながりを守るために、住民同士の交流の場を積極的につくっています。
本間英一さん
「まち自体がもっと発展していくのは難しいが、ずっと長く続いてほしいまちですね」
15年前、何も無くなった古里の中で、ある看板が目につきました。
本間英一さん
「何もないところに『がんばろう!石巻』の看板が立ってくれたおかげで復興の第一歩だと感じました」
「がんばろう」というその5文字に、本間さんの心は奮い立たされました。
本間英一さん
「できればずっと…何年か先に無くなるのではなくてずっと伝えていってほしい」
震災前、およそ1800世帯、4500人が暮らしていた石巻市南浜地区。
しかし、津波で甚大な被害を受け、人が住むことができない「災害危険区域」に指定されました。
南浜地区で暮らしていた黒澤健一さん。津波で流された自宅と仕事場の跡地に震災発生の1カ月後、看板を設置しました。
黒澤健一さん
「自分の決意表明ではないが、ファイティングポーズの意味と、これを見て元気になってもらえる人が、一人でもいれば良いという思いがあって、負けたくないので。この看板も立てたので、絶対立ち直っていきたい」
その後、毎年3月11日を含めて、多くの人が訪れ、追悼の祈りを捧げる場所になりました。
看板がある南浜地区で自転車店を経営している熊谷義弘さん、53歳です。看板は地元の人にとっても大切な存在だと話します。
熊谷義弘さん
「車とか山積みになっているし、家はないしみたいな感じ。これ元通りになるのかな。何年で元通りになるのかじゃなくて、(元通りに)なるのかなと思っていました。そんな中でも、看板最初に作ってくれたわけですからね。すごいですよね(地区の)象徴なので、役割的には大きい」
黒澤健一さん
「これに水入れて、ちょっとだけ足して、塗り始めましょう」
3月、石巻市内の中学校で、新しい看板をつくる作業が行われました。看板は、5年に1回、作り替えられていて、今回が4代目です。
黒澤さんは、震災の記憶を若い世代につなごうと、2代目の看板から、中学生と一緒に作業を行っています。
この日、参加した中学生は全員が震災を経験していない世代です。
中学生
「震災の後に生まれた私たちだからこそ、震災のことを次の代にも伝えていって、乗り越えて生きているということを伝えたいので看板作りをしています」
「震災の時にいろいろな人をたくさん支えてきた看板なので、絶対に台無しにしないように頑張っています!」
そして、看板の設置からちょうど15年が経った4月11日、中学生たちも参加して看板の掛け替え作業が行われました。
中学生
「震災に対してのがんばろうだけじゃなくて、普段の生活でも少しでも前を向けるようなきっかけになる看板だと思っている」
「この看板があることで、震災を経験していない世代に伝承をより多くできると思う」
黒澤健一さん
「次の世代につなげていくための装置の一つ。子供たちに次々バトンタッチしていく思いで作り替えていくことが、次の犠牲を出さないための活動の一つになると思ってるので、肩肘張らずにできる範囲でやっていきたい」
『震災から絶対に立ち直る…』多くの人の背中を押し続けた励ましの言葉はいま、震災の記憶を次の世代に伝える言葉として、多くの人の心を動かしています。