筋力の低下や活力の減少など高齢化にともなって、体は変化していきます。
日頃、気づきにくい変化ですが、実は、意外と早い時期から、始まっていると言われています。

今年、企業が主催して、開催された川柳のコンクール。
グランプリ受賞した作品には、日々、感じる思いが込められています。

川柳のテーマは、「50歳からのフレイル」。
フレイルとは、加齢に伴い、筋力の低下や精神的な活力などが減少する事で、健康と要介護の中間に位置する状態をいいます。
フレイルと言えば、高齢者のイメージがありますが、現役世代と言われる50代にも、その傾向があると、専門家は指摘します。

【産業保健相談員 広島栄養士会会長 木村 要子さん】
「実は50代の働き盛りから調査をしてみると、フレイルに該当する人が60代と変わらないだけいる事が分かってきた。もしかしたらみなさんもはっきりは意識しないが、あれって思う場面があるのではないかと思う」

フレイルの大きな特徴に、筋力の低下があります。
日常生活では気付きにくいポイントですが、判断する方法があると言います。

【産業保健相談員 広島栄養士会会長 木村 要子さん】
「簡単に見ようとすると握力。これが全身の筋力と相関している事が分かっているので、今はペットボトルチェックと言って、ペットボトルのふたを開けるのにちょっと難しくなっていたら要注意」

そして、皆さんも、こんな経験は、ありませんか?

【産業保健相談員 広島栄養士会会長 木村 要子さん】
「歩行速度の減少、普通に歩く通常速度が1秒間で1メートル以下だと(平均速度以下)と言われる。横断歩道で青の間に渡り切れない、ちょっと難しいと要注意だと言われています」

そして、筋力とバランス感覚のテストとして行われるのがこちらです。
10代の若者が簡単に立ち上がるのに対し、60歳を過ぎた私は、立ち上がるのが、精一杯。
「片足立ち上がりテスト」は、腕を組むか、手を前に伸ばし、反動をつけず、片足で立ち上がります。
立ち上がったあと、3秒間キープできれば合格。

転倒リスクの目安となり、できない場合は、筋力低下のサインとなります。
フレイルは、適切な対策で、元の健康な状態に戻る事ができるとされています。
また、フレイルの状態にならないためには、何が大切なのでしょうか?

【産業保健相談員 広島栄養士会会長 木村 要子さん】
「よりよい生活習慣を、ひとつでも身につけられるものから早く身につけた人が、人生100年時代をより幸せに生きることが出来る」

栄養学の専門家は、食事の面から、生活習慣の大切さを指摘します。


【広島大学 栄養学 田原 優准教授】
「健康寿命を延ばすためには、最後まで動ける体でいるという事。そのベースにあるのが筋肉だと思う。そこにはたんぱく質が一番な栄養素だと思う」

朝食に、卵や豆乳など、たんぱく質を摂ることを推奨する「朝たんぱく協会」。
フレイルに繋がる、「サルコペニア」という症状を予防することが大切と有識者の一人、広島大学の田原准教授は言います。

【広島大学 田原 優准教授】
「サルコペニアというのは筋肉が衰えていって、だんだん体の活動が落ちていってしまう事なのですが、筋肉が衰えていって更にフレイルという体の虚弱につながっていく。そこを食い止める、いかに予防していくことが大事で、その先には健康寿命を延ばすという事につながっていく。筋力を維持するためには、運動習慣も欠かせません」

フレイル川柳の審査員で、フレイルを研究する東京大学の飯島教授は、生活の中の動きが、フレイル対策に有効と指摘します。

【東京大学 飯島 勝矢教授】
「午前中に庭の掃除をして、家の中も掃除機をかけて、今日1日運動は全くやっていないがかなりバタバタせわしなく動いた。こういう人を私は「ちょこ活」と言っています」

こまめに家事をしたり、近所に買い物に出かける。
このような生活習慣は、フレイル対策に、意外な効果をもたらしていると言います。

【東京大学 飯島 勝矢教授】
「この『ちょこ活の人』は運動習慣バリバリの人と大規模調査研究で比較しても、新規の要介護認定のリスクがほとんど同じ」

ーー筋力を維持するには、運動や食事以外の方法はないのでしょうか?

【東京大学 飯島 勝矢教授】
「今の段階で飲み薬や注射で筋力が急激に戻る、という事はまだそこまではいっていない」

しかし、飯島教授は、このような方法もあると言います。

【東京大学 飯島 勝矢教授】
「気持ちが前向きにならないから、日常生活の活動のレベルが低くなる人がいる。そういう方には漢方などをうまく使ったりすると少し気持ちが前向きになる」

間接的なフレイル対策として、日常生活の活動を活発にするために必要な体調を整えるという考え方です。

【東京大学 飯島 勝矢教授】
「日常生活のコンディション作り、そこに一役買うという事はあり得ると思う」

【産業保健相談員 広島栄養士会会長 木村 要子さん】
「今の生活習慣は、ここをちょっと意識して少しでもいいものに変えられれば、それは長い人生、これからをとても豊かに生きられる」

テレビ新広島
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