本土から船で約15分。三原市沖に浮かぶ佐木島で、島民の暮らしを支える商店が新たな一歩を踏み出した。大手メーカーと手を組み、品ぞろえを強化した背景には、離島ならではの切実な事情があった。

リニューアル初日、島の商店に行列

穏やかな瀬戸内海に浮かぶ人口約560人の佐木島。2月16日、島内で食料品を扱う商店がリニューアルオープンした。開店前から約30人が集まり、扉が開くと同時に来店客が次々と商品を手に取っていく。

2月16日にリニューアルオープンした佐木島の商店
2月16日にリニューアルオープンした佐木島の商店
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取材した毛利祥子記者が店内の様子を伝える。
「まだオープン直後なんですが、レジには長い列ができています」

買い物客は「豆パンと豆のお饅頭を買いました。弁当やサンドイッチのコーナーが、ちょっとコンビニ風で新しいなと思います」と笑顔を見せた。

大手の供給力で存続へ 決断の背景

島唯一のガソリンスタンドの隣にあるこの店は、これまでJAひろしまが独自に運営していた。
しかし、納入業者の一部が撤退。このたび大手パンメーカーの山崎製パンと契約し、ヤマザキショップとして再出発した。

背景には離島の物流事情がある。配送コストが高いため、島内で食料品を扱う店はわずか2店舗。JAひろしま・田中義彦代表理事組合長は「存続していくためにヤマザキさんの品ぞろえに期待した」と決断の理由を語る。

コンビニ運営のノウハウが生かされた品ぞろえ
コンビニ運営のノウハウが生かされた品ぞろえ

大手ならではの安定した供給力やコンビニ運営のノウハウを活用したことで、豆腐や牛乳など賞味期限の短い商品も安定して入荷できるようになり、商品の種類は従来の約1.5倍に増えた。
一方で、店内には農作業用の帽子や生活雑貨が並び、離島の暮らしに寄り添ったサービスも継続されている。

「大事な大事なお店」高齢化の島支える

佐木島では65歳以上が島民の約7割を占める。船で本土に渡るには運賃も時間もかかり、買い出しは簡単ではない。

リニューアル初日に店を訪れた佐木島の住民
リニューアル初日に店を訪れた佐木島の住民

客の一人はこう話す。
「船の運賃も高いし、三原に行ったら一日仕事になるんですよ。大事な大事なお店なんです。どうしても続けていただきたい」

店を運営するJAひろしま・田中義彦 代表理事組合長
店を運営するJAひろしま・田中義彦 代表理事組合長

田中組合長は「地域に密着した活動という観点からも、お客さまの希望を聞いて充実した品ぞろえを展開していきたい」と今後を見据える。

離島で持続可能な運営を目指す商店。島民の暮らしを支える“インフラ”とも言え、その存在はさらに重みを増している。

(テレビ新広島)

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