離脱企業が続々…「Tポイント」が崖っぷち? 利用者の“今後の賢い選択”を専門家に聞いた

カテゴリ:ビジネス

  • 業界トップを誇った「Tポイント」から離脱する企業が相次いでいる
  • 逆風の最大の要因は「ポイ活」!?
  • 続けた方がいい人、見切りをつけた方がいい人の行動パターンを聞いた

相次ぐ提携企業の離脱

皆さんの財布の中には「ポイントカード」が何枚か入っているだろう。
そんなポイント業界のトップを走り続けてきたと言われるのが「Tポイント」
青地に黄色いTが書かれたカードは誰もが知っているだろうが、今この「Tポイント」に逆風が吹きつつあるという。

その一つが提携企業の離脱で、このところ相次いでいる。
去年3月31日、三越伊勢丹グループは百貨店での「Tポイント」付与・利用を終了。
今年3月31日にはスポーツ用品店大手のアルペンが、4月19日にはドトールコーヒーが「Tポイント」サービスを終了している。

またネット大手のヤフーは、キャンペーンなどで付与していた期間固定Tポイントを8月から「PayPay」のポイントに変更する。
さらに全国のお店で「Tポイント」が使えたファミリーマートは、5月31日で「ファミマTカード」の店頭発行を終了。
その後も引き続きTポイントは使えるが、11月からNTTドコモの「dポイント」や「楽天スーパーポイント」も使えるようにするという。

消費者にとって選択の幅は広がるが、Tポイントを使う人は減ってしまうとも考えられる。

そもそも「Tポイント」は、TSUTAYAを運営する株式会社CCC(カルチュア・コンビニエンス・クラブ)が、ビデオレンタルの会員証を複数の店で使えるよう共通化するのと同様に、ポイントも他店や提携先で使えるように共通化したことから始まった。
還元率は提携企業によって変わるが、おおむね100円・200円で1ポイント付与され、1ポイント1円として使う事ができる。
2003年10月にサービスを開始した「Tポイント」は、2014年4月に会員数が6,928万人に到達し、「最も成功を収めた共通ポイントカード」とも呼ばれていた。

そんなTポイントからの提携企業の相次ぐ離脱で、今後はどうなっていくのだろうか?選択肢が増える中で、Tポイントからの乗り換えを考えるべき人もいるのではないか?
青山企業分析研究所代表でマーケティング戦略コンサルタントの青山烈士さんに聞いてみた。

Tポイントは「負のスパイラル」が懸念されている

――Tポイントは、なぜ大成功した?

Tポイントはプラットフォーム型のビジネスモデルです。
共通ポイントのパイオニアとして、プラットフォーム効果を有効に働かせることで、多数の加盟企業と消費者の流入を実現させました。
結果として国内最大規模の共通ポイントプラットフォームの構築につながり、膨大な顧客情報(購買履歴などの顧客を理解する上で有効な情報)を得たことがCCCの成功要因と考えます。

【プラットフォーム型ビジネスとは?】
商品やサービス提供者と利用者をつなぐ基盤(プラットフォーム)を提供するビジネス

【プラットフォーム効果とは?主な例】
1、一方のユーザーグループが増えれば増えるほど、もう一方のユーザーグループが増える効果(相互ネットワーク効果
2、利用者が流出しにくくなる効果(リテンション効果


――どうしていま「逆風」と言われているの?

上記の成功要因に「ほころび」が見えることが要因です。
加盟企業の離脱が見られるということは、リテンション効果が弱まっていることが伺えますし、相互ネットワーク効果が逆に働くことが懸念されます。
つまり、使えるお店が減ってしまうことは、ユーザーにとっては不便につながりますので、より便利な別のポイントサービスを使うようになることも考えられます。
Tポイントを使うユーザーが減ることで、加盟企業にとっての魅力が薄れ、Tポイントから離脱を検討する企業が出てくるといった形で負のスパイラルに陥ってしまうことが懸念されているのです。

上手なポイント活用が「Tポイント」を追い詰める

これまでもTポイントから大手の提携先が離脱するニュースが報じられているが、そのたびに多くの人がコメント欄やSNSなどでTポイントに逆風が吹く原因を指摘している。
その一部をまとめてみた。

・提携先のマルチポイント化
・(母体CCCが運営する)TSUTAYAの閉店
・TSUTAYAが扱うビデオレンタル市場の変化
・ポイント還元率の低さ
・今年1月、会員情報や利用履歴を令状なしで警察に提供していたことの発覚


どれもなるほどと思ってしまうが専門家はどう見ているのだろうか。

――青山さんが考える「Tポイント」逆風の最大の要因は?

CCCにとって最も大きな影響を与えると考えられるのは、消費者の変化です。
世の中に様々なポイントサービスが普及したことで、複数のポイントを使い分ける消費者が増えてきており、「ポイ活」と呼ばれるポイントを効率よく貯めて、節約に役立てる活動も話題になっています。

これらの消費者の動きは、CCCにとっては、Tポイントの価値低下につながる要因となります。
なぜなら、Tポイント会員がある特定の店舗、例えばファミマでしかTポイントを使わなければ、加盟店への相互送客につながりませんし、会員の購買データも限定的な情報しか得ることができませんから、顧客ニーズをより深く把握することも難しくなるためです。

さらに、マルチポイント化が進むことで、同じ店舗でも、ある時はTポイント、またある時はdポイントといった形で、消費者が使い分ければ、共通ポイントサービスを提供する各社が取得できる購買データがより限定的になることが懸念されます。
これらの消費者の変化は、CCCの成功要因でもある膨大な顧客情報(購買履歴などの顧客を理解する上で有効な情報)の質が低下することにつながりますので、CCCとしては、影響が大きいと考えています。

Tポイントに見切りをつけた方がいい人は?

――Tポイントの今後はどうなるの?

競合他社に押されている印象はありますが、これまで築いてきた会員基盤、加盟店基盤はありますし、現在でも最も身近なポイントカードという位置づけは保持していることから、まだまだ優位性はある(Tポイントの魅力は大きい)と考えます。


――Tポイントを使い続けた方がいい人、見切りをつけた方がいい人は?

家の近くにもオフィスの近くにもファミリーマートがあり、よく買い物する方など、Tポイントが使える・貯められる店舗に行く頻度が高い方は、今後も利用を継続したほうがよいでしょう。

一方で、見切りをつけた方がよい方は、Tポイントが貯まるお店よりも、他のポイントが貯まるお店に行く頻度が多い方です。
例えば、ドコモユーザーでよく行くお店がマツキヨ、マクドナルド、ドトールなどであれば、dポイントの方が持つ価値が高いですし、ネット通販サイト「楽天市場」でよく買い物をする方であれば、楽天スーパーポイントローソンや高島屋で買い物をすることが多い方はPontaカードといった形で、自分がよく行くお店に対応しているポイントカードを使った方が得をします。


――Tポイントを貯めている人へのアドバイスは?

上記のとおり、Tポイントカードを使った方が得をする方に該当するのであれば、継続して使うことをお勧めします。
さらに有効に利用するのであれば、店舗によってポイント還元率が異なることを把握することが大切です。
多くの加盟店で200円の買い物で1ポイントという還元率ですが、例えばドラッグストアのウエルシアでは、税込108円の買い物で1ポイント貯まります。
また、より効率的に貯めるのであれば、クレジットカード「Yahoo! JAPANカード」でTポイントを貯めるのがお得です。
年会費無料で還元率が1%、つまり100円の買い物で1ポイント貯まりますし、通販サイト「LOHACO」で買い物をすると、還元率が3%になります。


――ちなみに青山さんはTポイントを使ってる?

Tポイントカードは持っていません。
Tポイントが貯まるお店で買い物をする頻度が少ないためです(上記の見切りをつけた方がいい人に該当します)。


――ちなみに青山さんが今最も勢いがあると思うポイントサービスは?

楽天スーパーポイントです。
ポイントサービス 「楽天ポイントカード」の導入について、4月には約5000店舗を展開するゼンショーグループと提携を発表し、6月には約1300店舗を展開する壱番屋と合意。
さらに、JR東日本とキャッシュレス化の推進に向けて連携するなど、立て続けに大型契約を実現しています。

消費者が上手にポイントを使い分ける「ポイ活」が、Tポイントに悪影響を与えているとは意外だった。
そして続々登場するスマホ決済アプリも、利用者や利用可能な店舗が増えてくればまた勢力図が変化していくのだろう。
行動パターンによって合う合わないがあるとのことなので、少しでもトクしたい人は、どのポイントが自分に一番いいのか調べ直した方がいいかもしれない。


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