2月22日は島根県が定めた「竹島の日」。

日本固有の領土でありながら、韓国による不法占拠が続く島根・隠岐の島町の「竹島」の領土権を確立し、この問題についての国民の理解を広げることを目指して、2005年、島根県が制定した。
政府の対応に大きな進展がない中、島根県は条例制定後20年にわたり、独自に竹島に関する調査研究や子どもたちへの教育にも取り組んできた。

県独自に客観的「証拠」を収集 国際世論に訴え

島根県が独自に立ち上げた「竹島問題研究会」
島根県が独自に立ち上げた「竹島問題研究会」
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「竹島の日を定める条例」の制定から20年、問題解決への動きが鈍い政府をよそに、島根県は国際世論に訴えるため、独自に客観的な「証拠」を集め、竹島問題を国内外に周知する取り組みを進めてきた。

その一つが、県が独自に立ち上げた「竹島問題研究会」だ。

下條正男・竹島問題研究会座長(拓殖大学名誉教授)
下條正男・竹島問題研究会座長(拓殖大学名誉教授)

下條正男座長(拓殖大学名誉教授)は「客観的な事実について文献を通じて知っていただく。まさにこれは『竹島の日』制定の意義と同じことだと思う」と研究会創設の目的を説明する。

国際法や地理学などの専門家がメンバーとなり、竹島に関する古文書や古地図などの収集、分析、竹島で漁を経験した人の証言の収集などを進め、その成果を公表している。

韓国で現地調査も
韓国で現地調査も

立ち上げ当初には、韓国を訪れ現地調査も行った。

韓国側の主張に地道に反論

韓国で調査する舩杉力修・島根大学教授
韓国で調査する舩杉力修・島根大学教授

研究会の委員を務め、韓国・ウルルン(鬱陵)島での調査に同行した島根大学の舩杉力修教授は「客観的な研究を行うと決めて、今日まで続いているのは大きな意義がある」と指摘する。

地理学専門の舩杉教授は、主に古地図の研究を通じて、韓国側の主張に対して客観的な根拠を提示し、反論してきた。

竹島の領有権が日本にあることを国際世論に訴える重要な役割を担っているが、研究会の反論に対し、韓国側がさらに反論。

多くの論文が韓国側から発表され、研究会による検証、反論が追いつかないのが現状だという。

舩杉力修・島根大学教授
舩杉力修・島根大学教授

舩杉教授は、島根県も調査研究を継続する必要があるとしたうえで、「国家レベルで、政府機関が責任を持って反論していかないと、いつまでたっても国際司法裁判所(ICJ)に行けない」と指摘。韓国の主張に的確に反論し、日本の正当性を国際世論に訴える態勢を政府が早急に整えるよう求めた。

教育にも「竹島問題」次代に託す

一方、島根県は「竹島問題」を「教育」現場に取り入れる試みも進めている。

条例制定後、2009年に県内の小中学校で竹島について教える授業が開始。

現在は県立高校にも取り入れられ、若い世代が竹島問題について知る機会を増やした。

取り組みの一つとして、2011年からは「竹島や北方領土について考える中学生作文コンクール」が開催され、次代を担う中学生に竹島問題を国際的な領土問題としてとらえてもらう機会をつくった。

表彰式で中学生からは「自分にできることを考え続けて、お互いが話し合うと韓国に日本の主張が届くと思う」、「領土問題一つで関係が悪化してしまうということもあるので、政府が慎重になるのもわかる。だからと言ってもうそろそろ(解決に向けて動いても)いいんじゃないかという気持ちもある」といった声が聞かれた。

「独島は我が地」韓国では徹底教育

韓国の小学校の領土教育(2006年撮影)
韓国の小学校の領土教育(2006年撮影)

若い世代の間で竹島問題への理解が徐々に広がるその一方で、韓国では以前から「領土教育」が徹底して行われてきた。

教室で「ハワイはアメリカ領土、対馬は知らない島、独島(竹島の韓国名)は我が地」と歌い上げる子どもたち。

19年前、韓国の小学校で取材した「領土教育」の授業の様子だ。

当時、小学4年で年間10時間、「竹島は韓国の領土である」と子どもたちに徹底して教えていた。こうした「領土教育」を国が主導して行う韓国との「竹島」に対する認識の差は歴然だ。

問題解決へ「諦めたら終わりです」

高校で領土問題を考える授業
高校で領土問題を考える授業

こうした現状を受けて島根大学の舩杉教授は、2024年度に領土問題、特に竹島の問題にスポットを当てる授業を初めて開講した。

「地理学から領土問題を考える」をテーマに、松江市内の高校と連携した特別授業を実施。

大学生が教壇に立ち、竹島について学んだことを高校生に教えることで、若い世代の関心を高める狙いだ。

舩杉力修・島根大学教授
舩杉力修・島根大学教授

舩杉教授は「人材を育てていければ、10年、20年経った時に成果が出てくると期待している。諦めたら、条例制定前の何もない時代に戻ってしまう。諦めたら終わりです」と話し、問題解決に向け、次の世代への教育の重要性を強調した。

「竹島の日」制定から20年。

島根県が解きほぐそうと挑んできた竹島をめぐり絡まった糸。

新たな日韓の絆として結び直すには、政府の積極的な対応が欠かせないはずだ。

(TSKさんいん中央テレビ)

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