花粉がピークを迎え、耳鼻科が混み合うこの季節、スキマ時間で受診できる「オンライン診療」の利用者が急増中だという。診察料は直接受診より約1000円高いが、処方薬は自宅に届き、病院での待ち時間や移動負担を減らせる利点がある。一方、向精神薬を不適切に処方する例も発覚しており、厚労省は規制強化を検討している。

花粉症のオンライン受診が全国的に拡大

東京・千代田区のクリニックフォア飯田橋では、医師がパソコンに向かって、オンラインで診療を行っている。

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クリニックフォア飯田橋 田島敬也院長:
具体的には、どういった症状がありますか?

患者:
まず一番が鼻水と鼻づまり。あとは、目のかゆみもちょっとあるかなって。

この日は、花粉症の症状を訴える患者を診察していた。

患者:
日中はできるだけ眠たくならないような薬をお願いします。

クリニックフォア飯田橋 田島敬也院長:
1日1回、夜寝る前に飲む薬で、ビラノアって薬なんですけど、比較的眠くなりづらい薬の中で結構強めの薬になるので、こちらで処方しようかなと。

こちらの男性は、1年で既に4回ほど利用しているという。

花粉症で受診した患者:
特にこの(花粉症の)時期って、病院混むじゃないですか。混んでるところに行きたくないというのもありますし。やっぱり待たなくて良いのが一番楽。

受診できるのは、花粉症だけではない。

ニキビで受診した女性:
出掛ける時も、メイクしたくなるじゃないですか。そういう時にニキビとかに負担かけたくなくて、あまりメイクしたくないから、自宅で受けられるのは利点。

クリニックフォア飯田橋では、オンラインでの花粉症受診者数が前年比で2.8倍と急増しているという。

クリニックフォア飯田橋 田島敬也院長:
オンラインの利用者は、オンライン診療の認知度が上がっている影響もあって、うちのクリニックでは去年に比べて2倍程度増えている。

実際の受診の流れ

花粉症の症状が出始めた番組スタッフが実際に受診した。

オンライン診療の予約画面
オンライン診療の予約画面

まず、予約前に保険証の写真を撮ってアップロードする。そして、治療したい症状と受診したい日時を選択し、その後問診表を入力すれば予約が完了する。時間は平日の場合、7時から24時まで受診可能だ。

診察前にメールが届き、予約時間に添付されたURLにアクセスしてオンライン診療が始まる。

クリニックフォア飯田橋 田島敬也院長:
病院からの処方のもので、今使ってる薬、過去に使った薬で何かありますか?

番組スタッフ:
花粉症はビラノアを飲んでいました。

診察は約5分で終了。診察後は支払い画面が出て、クレジットカードなどで決済する。薬は自宅など指定の場所に配送される。今回は、診察の翌日に自宅に配送された。

料金や適した症状・難しい症状は

青井実キャスター:
ここまでシステマティックになっているなら便利ですよね。 

小山内鈴奈キャスター:
ただ、どんな症状でも受診できるのか気になりませんか?

青井キャスター:
突き指したとか、骨折したとかね。

SPキャスター パトリック・ハーランさん:
レントゲン撮らなきゃいけない時とかね。

小山内キャスター:
料金も含めてお答えしたいと思います。
まず、オンライン診療が可能な症状は、花粉症、慢性疾患(片頭痛・気管支ぜんそくなど)の継続処方、アトピー性皮膚炎、発熱などがあげられます。一方で、オンライン診療が難しいものは、直接的な治療が必要(骨折・点滴など)、精密検査が必要(心臓の異変)、緊急性がある(意識状態の悪化など)ものなどです。
そして料金ですが、今回スタッフが花粉症の症状で診療を受けた際の料金は、初診料やシステム利用料などを含め、診察料が2200円。薬代は2カ月分で2930円、配送料は無料で、合計で5130円となります。
実際に病院で受けた時は診察料が約1000円ですので、オンラインでの差額はプラス約1000円になります。

宮司愛海キャスター:
ちょうど今の時期、飲み慣れている薬を出してもらうだけでいいと思うことがあるので、そういうニーズにはマッチするのかなと思います。一方で、自己判断が危険な場合もありますから、定期的に対面でかかりつけ医にかかるのも大事なのかなと感じます。

青井キャスター:
対面医療との差額が1000円だから、交通費とか考えるともしかしたらトントンなのかなと思ったり。ただ、昔の人間としては先生に会って色々聞きたいなというか。

SPキャスター パトリック・ハーランさん:
でも、毎回同じような処方出してもらってるんだったら、年一ぐらい対面式で、その後はオンラインで。これからこのサービスの数が増えれば、競争で料金も下がってくるんじゃないかなと思いますね。

小山内キャスター:
一方で注意が必要な事もあります。厚労省が調べたところ、基礎疾患の問診がないにも関わらず向精神薬を処方するなど違反の恐れがある事例が、2023年1月から3月の3カ月で1740件発覚したという事で、厚労省は規制強化を検討しています。
(「イット!」3月17日放送より)