市販の洗剤などに効果あり...新型コロナの検証結果が発表

新型コロナウイルスの予防対策として、勧められていることの一つが衛生管理の徹底だ。どこにウイルスが潜んでいるか分からないこともあり、手洗いはもちろんのこと、着用した衣類や購入した商品までも、清潔に保つことが望ましいと状況といえるだろう。

厚労省もサイトで、アルコール消毒に加え、ドアノブなどの共用部分においては薄めた市販の家庭用塩素系漂白剤で拭くことを呼びかけている。

(参考記事:家族が新型コロナに感染したらどのように看病する?家庭内で注意すべき8つのポイント

ただ、市販の洗剤やハンドソープにどこまで予防効果があるのか、不安に思うこともあるのではないだろうか。そんな人たちに耳よりな情報がある。

北里大学大村智記念研究所の研究チームが、市販の洗剤など、エタノールや界面活性剤成分を含み、消毒効果が期待できる製品を新型コロナウイルスに接触させたところ、製品の説明書に従って使えば、ほとんどの製品でウイルスの不活化を確認できたと発表したのだ。

衛生管理を一層気を付けるようになった人もいるはず(画像はイメージ)

研究は、新型コロナウイルスの治療薬の早期探索などを目的とした「COVID-19対策北里プロジェクト」の一環として行われたもの。研究結果の公開とサンプルの提供に同意を得た、国内複数企業の洗剤やハンドソープなど、計22製品を調査した。

実験ではまず、国立感染症研究所から提供された新型コロナウイルスをもとに、ウイルスの液体をごく微量の3マイクロリットル用意。そこに、説明書通りに薄めた製品の液体27マイクロリットルを混ぜ、常温で一定時間放置して接触させる。
※放置時間は手指の洗浄用などの製品で1分、衣類の洗濯用などの製品で10分とした。

その後、混ざった液体を6日間培養して、ウイルスの中心を構成するRNA(リボ核酸)の数に増加が見られない場合は、不活化の効果があるとした。製品ごとにこの検証をしたところ、調査対象となった22製品のうち21製品で、ウイルスの不活化が確認できたという。

検証結果の一覧。ほとんどの製品に不活化効果が確認された(提供:北里研究所)

エタノールは濃度50%が分かれ目に

研究ではさらに、エタノールの効果も検証。水道水で調整した、濃度が10%、30%、50%、70%、90%のエタノールを用意して、同様にウイルスの液体と接触させて反応を確認した。

そうしたところ、接触時間が1分だと、濃度が50%、70%、90%のエタノールには不活化の効果が確認できた一方で、濃度が10%、30%のエタノールでは不活化の効果が確認できなかった。エタノールとウイルスの接触時間を10分に延ばしても、結果は変わらなかったという。

エタノールは濃度50%で違いが出た(提供:北里研究所)

研究チームはこれらの検証結果から、市販の洗剤などは説明書に従って使うことエタノールは濃度が50%以上のものを1分接触することを守れば、ウイルスにも有効と考えられるとした。

市販の洗剤やエタノールが、ウイルス対策として一定の効果があることは分かった。それでは、実生活でどう使えばいいのだろうか。そして、ウイルスの「不活化」とはどういうことなのか。

研究チームの一員である、北里大学大村智記念研究所感染制御研究センター・花木秀明センター長、北里大学大村智記念研究所ウイルス感染制御学Ⅰ研究室・片山和彦教授に伺った。

説明書の用途や分量を守ることが大切

――なぜ、市販の洗剤などの効果を確かめた?

除菌用エタノールが入手困難となっていることを受けての取り組みです。医療現場や研究所だけではなく、お店の商品棚からもエタノールを含む製品が姿を消しているので、身近で安定して入手できる製品がどこまで役立つのか、お知らせできればと考えました。


――新型コロナウイルスにおける不活化とは?

ウイルスが感染力を失うことを表します。消毒や死滅といった言葉と、だいたい同じ意味に捉えてもらっても問題ありません。


――洗剤、ハンドソープ、除菌スプレーなどの製品を使うときの注意点はある?

普通に使えば効果があるので、説明書の用途や分量を守ることが大切です。手を洗うための製品は手洗いに、トイレ清掃用の製品はトイレに、洗濯用の洗剤は洗濯にということです。必要以上に薄めたり、違った用途で使うことは避けたほうがよいでしょう。


――ウイルスの不活化が確認された製品とそうでない製品、違いはどこにある?

残念ですが、今の時点では分かりません。さらに研究を進めています。今回は一部の洗濯用洗剤で不活化効果が不十分という結果でしたが、そうした製品も不活化効果を持つワイドハイターを加えることで、不活化効果に期待ができるでしょう。
 

エタノールはしっかり接触させよう

――感染予防を目的としたとき、エタノールの濃度はどうすればいい?

エタノールの最低濃度は環境によっても変わりますが、私たちの試験結果だと、50%以上の濃度で1分間接触すれば大丈夫という結果が出たので、そこを守っていただければと思います。


――エタノールを使うときのポイントはある?

エタノールを霧吹きでシュッシュッと吹きかければ、安全!...ではありません。手指消毒をする場合はぬれた手が完全に乾くまで、手洗いの要領でもみ込んでください。拭き取りに使用する際はゆっくり、しっかり拭き取ります。エタノールでウイルスを不活化させるには、一定時間の接触が大切です。瞬間的に不活化するわけではないので、注意してください。
 

もみ込むなどして、しっかり接触させることが大切という(画像はイメージ)

――今回の研究結果はどう受け止めればよい?

新型コロナウイルスは、手指消毒、手洗い、トイレ掃除、一般的な拭き取りなどでキチンと消毒できるウイルスだと思います。使用方法の範囲内で正しく使えば、十分な効果があるので、皆さんの日常生活の中での感染予防に役立ててください。

新型コロナの研究の進み方は、過去に類を見ないほどの速度

――新型コロナウイルスについて、他に研究していることはある?

「COVID-19対策北里プロジェクト」 として、新型コロナウイルスの救命に繋がる治療薬、ワクチン、検査法(抗原検査、抗体検査)を研究しています。今後も医療用消毒薬の検証や、製品に含まれている有効成分別のウイルス不活化効果を研究して、発表する予定です。


――感染予防のために、呼びかけたいことはある?

現在、世界中の医療関係者や研究者は、新型コロナウイルス感染症を押さえ込むために必死で研究を進めています。研究の進み方は、今まで過去に類を見ないほどの速い速度です。救命に繋がる薬が見つかり始め、治療法も進歩しています。ワクチンの研究も進んでいます。

しかし、私たちが今できるのは、自分が感染しないようにすること、感染してしまった場合、感染を広げないようにすることです。皆さん一人一人のご協力が感染拡大を防ぐと思います。
 

北里研究所のウェブページより。寄付でプロジェクトを支援することもできる

市販の洗剤やハンドソープなどでも、新型コロナウイルスを抑えられるのは心強いが、それは正しい使い方を守っていることが前提だ。不用意な感染を招かないためにも、衛生用品は必要以上に薄めたりせず、既定の用途を守ることを心がけてほしい。
 

【11日追記】
日常生活での「エタノールの1分間接触」のやり方について、ユーザーの方からの質問もあり、改めて研究チームに詳しく聞きました。

――エタノールは乾きやすいが、手指に1分間接触させるにはどうすればいい?

エタノールを手指全体にたっぷりとかけて、もみ込むことです。エタノールは揮発性で乾きやすいのですが、丁寧にもみ込むと1分間は接触させることができます。残量にもよりますが、病院などの入口に置かれているプッシュ型のエタノール容器ですと、ワンプッシュでも十分な量が出ます。

医療従事者が手指を洗ったり、消毒するときには、まずは手のひら、手の甲をもみ込み、次に手のひらに爪を立ててこすります。右手の爪なら左手の手のひらに、左手の爪なら右手の手のひらといった具合です。その後に手首、手指の間をもみ込みます。

このように消毒すると、1分間は接触できると思うので参考にしてください。
 

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