中国・武漢市で発生し、感染が世界に拡大している新型コロナウイルスによる肺炎。

日本でも、来日した中国人観光客や武漢からのチャーター機で帰国した日本人などから新型コロナウイルスの陽性反応があり、感染が確認されている。

今、心配なのが自分もウイルスに感染するかもしれないということだろう。その対策は厚生労働省が公式サイトで「新型コロナウイルスに関するQ&A」を公開しているように、一般的な衛生対策としての咳エチケットや手洗いなどを推奨している。
また、不特定多数の人が乗車するバス・タクシー会社では、車内にアルコール消毒液を準備する対策をしているところもある。

(関連記事:【新型コロナウイルス】 疑問に答えるQ&A…厚労省や首相官邸が公開中
乗客も乗務員も不安…バス・タクシー会社の新型コロナウイルス対策の今
 

見た目そっくりな2種類の「消毒用エタノール」の違いとは?

このような状況であることから、既にドラッグストアなどに駆け込み、マスクや消毒液を買い求めた人も多いはず。
こうした中、同じ企業の商品で、見た目がほぼ同じなのにも関わらず、価格が違う消毒用エタノールが店頭に並んでいたことがネット上で話題になっていた。それが「消毒用エタノール」「消毒用エタノールIP」だ。

そして「この違いは殺菌力の強さ」と思って、高い方の消毒用エタノールを購入した人もいるかもしれないが、実は違う。
大阪市の製薬会社・健栄製薬の公式サイトでは、「消毒用エタノールと消毒用エタノールIPの違い」と題して、この2つの消毒液を紹介しているのだ。
 

希望小売価格(税抜)は消毒用エタノール(500mL)が1330円、消毒用エタノールIP(500mL)が955円。(画像提供:健栄製薬)
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効果は同じなのに値段が違う理由は酒税法の関係

同サイトによると、「消毒用エタノール、消毒用エタノールIPともに含まれているエタノールは天然のサトウキビが原料で、器具や物品の消毒はもちろん、人の肌にも安心して使える」という。

ただ、この2つには成分で微妙な違いがある。

「消毒用エタノールには、エタノール(C2H6O)76.9~81.4vol%含まれています。これに対して、消毒用エタノールIPにはエタノール(C2H6O)76.9~81.4vol%に加え、添加物としてイソプロパノールが含まれています」と紹介しているのだ。

成分が少し違うだけで、なぜ価格が違うのかというと、酒税法が関係していた。

「エタノールは、第一級アルコールの一種。それに対してイソプロパノールは第二級アルコールの一種であるため、酒税がかかりません。酒税がかからないということは、低価格で提供できるということ。消毒用エタノールIPには添加物としてイソプロパノールが含まれているため、消毒用エタノールと効果効能はほとんど一緒であるにも関わらず酒税がかかりません。そのため、多くの場合、消毒用エタノールよりも低価格で提供できるのです」

 

 
 

消毒のポイントを担当者に聞いた

成分が違っても殺菌効果は同じで、使い方も変わらないというが、今回の新型コロナウイルス対策にも有効なのだろうか? 健栄製薬の担当者に話を聞いた
 

ーー消毒用エタノールは、新型コロナウイルス対策にも有効?

はい、厚労省が公開する「新型コロナウイルスに関するQ&A」でも「手など皮膚の消毒を行う場合には、消毒用アルコール(70%)が有効」としていますので、インフルエンザウイルスと同様に新型コロナウイルスの感染対策となると考えています。

ーー成分がちょっと違うけど、このふたつの殺菌効果は本当に同じ?

はい、消毒用エタノールIPには添加物としてイソプロパノールが含まれていますが、効果はほとんど変わりません。2つとも同じように、皮膚や器具、物品の殺菌・消毒に使うことができます。

ーーちなみに、消毒のポイントや適切な量ってある?

菌が死ぬのに15秒ほど掛かると言われていますので、この時間で乾いてしまわない量でお願いいたします。また除菌の頻度などは明確に決まっていませんが、特にドアノブやエレベーターのボタンなど多くの人が触る箇所を中心に、これらに触れる前後にこまめにしていただきたいです。


 


消毒用エタノールは、新型コロナウイルスにも有効だといいうことなので、こまめに手や物の消毒に使い、感染対策として活用してほしい。

 

「感染拡大…新型コロナウイルス」特集をすべて見る!
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プライムオンライン編集部
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