日韓の「時限爆弾」

韓国最高裁が日本企業に賠償支払いを命じた、いわゆる「徴用工」訴訟の判決から10月30日でちょうど2年です。前日には、菅政権の発足後、初となる日韓外務省の局長協議が行われましたが、韓国側は「日本政府と被告企業に誠意ある姿勢を求める」と強調し、立場の溝は埋まりませんでした。両政府が打開策を見出せぬ中、日韓の対立を決定づける「時限爆弾」=日本企業の資産現金化はいつ実行されてもおかしくない状況です。韓国では2021年春にソウルと釜山の2大都市の市長選、翌年に大統領選を控えています。つまり年明け以降は政治の季節に突入し、韓国が日本に歩み寄る決断を下すことはますます難しくなるわけです。徴用工問題の解決に向けて残された時間は、もはや多くありません。(ソウル支局 川崎)

タイの"CIA"

タイで続く反政府デモ会場に誰よりも早く現れる存在が最近、注目を集めています。それがこちら…「屋台」です。このところ反政府デモは当局の規制を逃れるために、集会場所を直前まで公表しない「ゲリラ」戦略をとっています。しかし「屋台」の人たちはネット情報をもとに場所を推測し、同業者と連絡を取り合いながらデモ会場にいち早く現れます。人気商品はタイのソーセージや肉団子、シューマイなどの軽食で暑い国には欠かせないアイスクリームも大人気。商売は大繁盛です。また集会は「デモ行進」をするスタイルも増えていますが、「屋台」は一緒に行進するなどこれにも機敏に対応。ビジネスチャンスを一秒たりとも逃がさない、その情報収集能力の高さから「CIA」などと呼ばれています。(バンコク支局長 佐々木)

意見は真っ二つ

大統領選挙は終盤に突入し、市内は抗議デモに備えた準備が進んでいます。バイデン氏勝利の予測が増えていますが、前回の選挙でトランプ大統領勝利を的中させた数少ない専門家の間でも、意見が真っ二つに割れています。バイデン氏勝利と見る専門家は「現職大統領は実績を上げることこそ重要なのに、挑戦者のごとく振る舞い続けた」としてトランプ大統領の敗北を予測。「新型コロナウイルスの感染拡大で形勢が逆転した。これほど劇的に変わった例はない」と指摘します。一方、トランプ大統領勝利を明言する専門家は、「感染拡大の影響はない」と一蹴、大統領への支持は「今も落ち込んでいない」と自信をのぞかせます。「アメリカの選挙地図がどのように塗り替えられるのか」、勝敗の行方はもちろん、決着のし方も大きな焦点です。(ワシントン支局 瀬島)

期日前投票に大行列

強い雨が降る中、この一画をぐるりと取り囲むようにできた長い列、アメリカ大統領選挙の期日前投票に並ぶ人の列なんです。ニューヨーク市では長いと数時間にも及ぶこの待ち時間が大問題となっています。デブラシオ市長も自ら列に並んで投票し、選挙管理委員会に改善を訴えたことから、選管は急きょ投票時間の延長を決めました。投票を済ませた人は今回、感染対策のため機械投票に使ったこのオリジナルのスタイラスペンをお土産でもらえます。何よりも自らの意思を示す1票のために投票所を訪れ、貴重な時間を惜しみなく費やす有権者の姿からは、大統領選への関心の高さが伺えます。(ニューヨーク支局 新庄)

ヒスパニック系住民の票の行方

今トランプ大統領が姿を見せました。絶対に落とせないアリゾナで支持者たちに結束を訴えます。決戦の日が迫る中、トランプ大統領が力を入れる「激戦州」の1つがアリゾナです。これまでほとんどの選挙で共和党が勝ってきましたが、年々増え続けるヒスパニック系の住民が、トランプ大統領の国境の壁や人種問題への姿勢に反発して民主党バイデン氏の支持に回っています。
国境沿いに住むバイデン支持者のグラッドさんは、これまで選挙に行かなかったヒスパニック系の投票者を増やすため、投票の仕方が分からない人の相談に乗ったりするボランティアをしています。彼らの一票が、アメリカの行方を大きく動かそうとしています。(ロサンゼルス支局長 益野)

2度目のロックダウン

新型コロナウイルスの感染者の急激な増加を受け、フランス政府は2度目の原則外出禁止に踏み切りました。まさかの“再ロックダウン”に市民の間には衝撃が広がっています。これを受け10月30日午前0時から、外出は生活必需品の購入などに限られ、理由を書いた証明書が必要になります。パリ市内の飲食店は春の原則外出禁止の際に大きな打撃を受けたうえ、最近も夜の外出規制で午後9時以降の営業を禁じられていて、店主からは不満の声があがっています。「(マクロン大統領が)そんなにお金や補助金があるんなら我々のレストランを買えばいいさ!またお店をどうやって開けばいいんだ?」この規制は少なくとも4週間、12月1日まで続けられます。(パリ支局 藤田)

「禁断の策」導入

サッカーのプレミアリーグも経営難で、「禁断の策」導入です。世界で最も裕福といわれたプレミアリーグも新型コロナウイルスで収益が激減、ついに1試合2000円ほどで有料配信を開始しました。クラブ側は無観客でスタジアムに入場出来ないサポーターのためとしていますが、「高すぎる!」、「なぜシーズン途中から?」などと批判が殺到。観戦費用2000円をチャリティーに寄付する反配信キャンペーンも起き、1試合でおよそ270万円が集まりました。しかし、来季以降も観客を100%入れての開催が見込めない中、「背に腹は変えられない」との嘆きも聞かれます。(ロンドン支局 小堀)

豪華客船の墓場

トルコに、豪華客船の墓場と見まごうような光景が広がっています。西部イズミル近郊の海岸に集められた大量の多数の大型高級クルーズ船。船体の一部はむき出しで解体が進められています。これらの船は新型コロナウイルスの感染拡大で世界的にクルーズ旅行が減少し、本来の寿命よりも早く引退させられた、いわばスクラップ船なんです。1つの船の解体作業には半年以上かかりますが、船内に残された高級家具や調度品はまだまだ使えるため、多くのホテル業者が買いに来るといいます。海運業界が不況になると活発化するのが、船のリサイクル。トルコはその再生の一翼を担っています。(イスタンブール支局長 清水)

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武漢の闘いをテーマに

こちら武漢市内では新型コロナウイルスとの闘いをテーマにした展覧会が開かれています。平日にもかかわらず多くの人が見学に訪れています。感染が最初に拡大した武漢市で10月半ばに始まった展覧会。会場に入ると、習近平国家主席の写真が数多く掲げられ、習主席の指導のもとで感染抑え込みに成功したと大々的に宣伝しています。この展示会場は感染が拡大した当初、臨時の病院として使われていて、置かれているベッドも実際に使用された物です。また、当時の治療の様子を再現したCGのほか、医療関係者が記した日記や身に着けていた防護服なども展示されています。発生初期は隠蔽批判もあった武漢ですが、感染抑え込みの成果をアピールし、指導部への求心力を高める狙いがあるとみられます。(北京支局 木村)

仲間と共に

個室などで1人孤独にうけるイメージが強いオンライン授業ですが、上海ではその孤独が苦手という人たちが集まる無料の自習室が登場しました。利用しているのは、外国留学が決まっていながら新型コロナウィルスの影響で現地に行けない学生たち。9月のオープン以来、120人以上が登録しました。多くは自宅でのオンライン授業ではなかなか身が入らない、効果が上がらないと悩む人たちで、利用者からは「まわりが勉強しているので、手を抜きづらい」という声もあがっていました。同じ状況の仲間が近くにいることで相乗効果が期待でき、しかも無料と、利用者にとってはダブルでお得と言えそうです。(上海支局 森)

【取材:FNN海外特派員取材班】

国際取材部
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