アメリカ軍の訓練移転に向けた整備などが進む、鹿児島県西之表市の馬毛島。

着工から3年が経ち島は大きな変化を遂げました。

作業員の増加によって種子島の経済にもある変化が生まれています。

種子島から西に約12キロ離れた西之表市の馬毛島。

1月11日、基地整備に反対する市民らが工事の進捗を確認するため島に上陸しました。

漁師・濱田純男さん
「馬毛島の風景が完全に壊されてしまっている。馬毛島周辺で漁業を営んでいる。自分たちの話は何にも聞かないで工事が進んでいる。こういうやり方は許されるのかな」

アメリカ軍の訓練移転や自衛隊施設の整備に向けた工事が始まって3年。

市民らの間で賛否が分かれる状況は着工当初から変わらず、西之表市の八板市長もその立場はあいまいなままです。

西之表市・八板俊輔市長
「賛成、反対の二者択一の立場を表明することで問題が解決する状況にない」

Q.何が解決しない?
「いろんな問題ですよ。(立場を表明して)それで事が全部うまくいくのかという意味」

この3年で変わらないものがある一方、馬毛島はその姿を大きく変えていました。

轟木康陽記者
「着工から3年が経つ西之表市の馬毛島です。以前と比べて緑がなくなり、工事が進んでいるのが確認できます」

2025年末に上空から撮影した映像を着工1ヶ月と比べると、島の広い範囲で土がむきだしになり、数多くの構造物が姿を現しています。

計画されている施設の配置図と照らし合わせてみると、交差する2本の滑走路はその形がはっきりと分かるようになり舗装も進んでいました。

また、島の中央部には12月整備された管制塔とみられる施設も確認できます。

「燃料施設」の建設予定地ではタンクのような構造物が作られていました。

島の仮設宿舎も約4200室に上り、2025年10月時点で工事関係者は馬毛島と種子島あわせて約6000人とピークに達しました。

元々無人島だった馬毛島で、4000人近い人が生活する中、島には娯楽施設も整備されたとある工事関係者は打ち明けます。

工事関係者
「カラオケルームとダーツとビリヤードがあって、そのほかにトレーニングジムもある。(馬毛島)小学校の跡地を利用してグラウンドの貸し出しをしていて、野球をやりたい人は有志で集まってやったり」

作業員の住環境の整備も進む一方で、海がしける時期は長期間にわたり燃料を運ぶ船が着岸できないこともあるそうです。

工事関係者
「軽油の在庫が少なくなると、まず重機がストップになる。宿舎の維持も燃料で発電しているので、本当にしけの期間が長引くと全島避難が考えられる。1回そこのギリギリまで行ったことがある。(去年の)10月くらいかな」

基地整備に伴う変化は約2000人が馬毛島へ行き来する種子島でも続いています。

着工当初から宿泊施設が不足しているという声が相次ぎ、目立つようになったのは宿泊用のコンテナです。

2025年から島内で約300室のコンテナの運営を始めたこちらの会社では、宿泊客のほとんどを工事関係者が占めているといいます。

西之表市でコンテナを運営「住まっぷ」・柏井貴志会長
「徐々に(利用者が)増えてきている。今後2年間くらいは工事関係者がピークと(ゼネコンから)聞いている」

しかし、受け止めは宿泊施設によって異なっているようです。

西之表港にほど近い老舗ホテルでは、工事関係者の利用が多いキャビンとカプセル型の客室に2025年から少し空きが出始めたといいます。

種子島あらきホテル・荒木政臣専務
「馬毛島に宿舎が整ったことが一番大きい理由なのでは。(馬毛島に)宿舎が整ったことでここの滞在が少し減ったのでは」

2025年の夏、種子島観光協会が島内の1市2町の宿泊施設を対象に行ったアンケートでは、半数ほどの宿泊施設で約50%以上の空室率となっていて、特に西之表市ではその動きが顕著だといいます。

また、2020年に創業したこちらの不動産会社では取り扱っている賃貸物件の家賃が馬毛島の工事の影響などで、最大で3割ほど上昇したものの、2025年からは上げ幅が落ち着いてきたといいます。

種子島不動産・砂坂次義社長
「3年契約、2年契約がちょうど今終わる時期だから、(家賃を)上がるよりも下がるのではという見通しを立てている」

基地工事による需要と供給のバランスに変化の兆しが見られる中、老舗のホテルの荒木専務は今後を見据えこんな言葉を口にしました。

種子島あらきホテル・荒木専務
「『アフター馬毛島』というのはどうしても頭の片隅に常にあった。大体8割強が馬毛島の客となったときに、それが0になったときに、どこまで一般の観光客やビジネスの方々を戻せるのかと考えたら少し心配」

馬毛島の工事が終わり、工事関係者が島を離れた後の経済、「アフター馬毛島」。

荒木専務を中心に、種子島の自治体や民間事業者18団体で、2025年からこのアフター馬毛島を見据え観光客の増加に向けた会議が始まりました。

荒木専務
「国際観光地になって様々な国の方々に来てもらいたい。商売をしている人たちではなくて、地元、種子島に住んでいる人たちの生活の質の向上を望めるような、そういう観光地になれれば」

馬毛島の着工から3年。

これまで一定の恩恵を受けてきた西之表市ですが、工事が終わった後の副作用は一体どれほどになるのか。

島の実情に詳しいある人物は将来を懸念します。

馬毛島の実情に詳しい男性
「工事が終わって種子島の人たちはどうなっていくのか。ちょっとしたバブルじゃないですか。これまで稼いだ人が途方に暮れる島になっていくのか」

工事関係者がピークを迎えた今、西之表市の経済は大きな転換点を迎えようとしています。

鹿児島テレビ
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