超短期決戦となった衆議院選挙。そのドタバタの中で結成した「中道改革連合」は、近畿でどのような選挙戦を展開しているのでしょうか。
自民党との連立政権から離脱した公明党と、立憲民主党が「中道改革連合」の結成を発表したのは衆院選公示の11日前。
候補者の選挙戦に密着すると、かつての“敵”が応援演説で謝罪する場面や、党名を押し出さずに選挙活動をする候補者も。選挙戦の舞台裏を取材しました。
■ポスターに上から新たな党名のシール貼るドタバタ選挙戦
「中道」と書かれた新しい名刺を配るのは、大阪10区で中道改革連合から出馬した尾辻かな子さんです。
尾辻さんの選挙戦は、長年10区で活動してきた辻元参議院議員と共に、「新党」を浸透させることからスタートしました。
選挙事務所を取材してみると、ポスターにあった「立憲」の文字は、上から貼った紙で隠され…選挙中に配るビラは、新たな党名のものがギリギリで間に合いました。
【支援者】「ドタバタ、大変ですね。少なくとも題字の所とか全部変えないといけませんから、その前の『立憲』のビラをだすわけにもいかない」
■斎藤共同代表がかつてのライバルを応援
大阪10区には、日本維新の会の池下卓さん、自民党の加納陽之助さん、参政党の井上誠也さんも出馬していて、過去2回の衆院選では、維新が議席を獲得しています。
今回、中道は立憲を支援する日本最大の労働組合の全国組織「連合」と、公明の支持母体の「創価学会」という2つの大きな組織票を見込めるようになり、与党・維新からの議席奪還なるか、大阪で注目の選挙区となっています。
選挙戦初日には、斎藤共同代表が応援に駆け付けました。
【中道改革連合 斉藤鉄夫共同代表】「苦しんでいる人と共に苦しむ、そういう姿勢にあふれた人が尾辻かな子さん。当時は与野党に分かれていましたけども、そのように感じた尾辻かな子さんです。なんとしても勝たせていただきたい、なんとしても勝たせていただきたい、なんとしても勝たせていただきたい」
■「心からお詫び」かつてのライバルが応援演説で謝罪する場面も
一方、かつてライバルだった党と手を組むことについて、辻元参院議員は応援演説で謝罪の言葉を述べました。
【立憲民主党 辻元清美参議院議員】「私はかつてこの大阪10区で、公明党の候補者の方と激しい選挙戦を展開した経験がございます。その中で公明党や応援する方々のお心を深く傷つけてしまうような言動をしてしまったこと、この場で斉藤代表の前で、皆さんに心からお詫び申し上げます」
■『中道』としての選挙戦に様々な声「理解ができない」「より公明党らしくなった」
中道としての選挙戦に、「立憲の尾辻さん」を応援してきた人たちの反応は様々です。
演説会場では「変わらず応援する」という人が多い一方、街で聞くと厳しい声も…
【街の人】「複雑なものがある。くっついたり離れたり理解ができない。これからどういうふうにしていくのか選挙終わってからなのかな。それだったら遅いでしょ」
公明党の支持者はどう思っているのでしょうか。
【公明党の支持者】「より公明党らしくなった。自民とくっついてる時は色々モヤモヤがあったんです。いまこそ公明党らしいっていうか」
【公明党の支持者】「公明党は裏切りしてないけど、自民党には相当裏切られてきてます。ほんと、我慢して我慢して…。迷いはないです、全然」
■「中道」の政策面でのほころび…政策の変更はどう説明?
日本維新の会の池下候補が突くのは、「中道」の政策面でのほころびです。
【日本維新の会 池下卓候補】「その候補者が今まで何を訴えて、何をしてきたのか。それが今の政策と合致しているのか。有権者の方にしっかりと見ていただきたい。選挙が終わった後に、本当にその政党のままいけるのかという具合に私は疑問に思っています」
立憲は長年、「原発ゼロ社会の実現」を党の柱にしてきましたが、中道の綱領では、公明の立場に寄せる形で「条件付きの原発再稼働」を容認するなど、これまでの立場からの転換が目立ちます。
候補者は、政策の変更を有権者にどう説明するのでしょうか。
【中道改革連合 尾辻かな子候補】「(原発について)綱領を見ていただいたら、『原発に依存しない社会をつくる』と書いてありますので。物の言い方は少し変わってますけれども、方向性として目指してるものは私たち同じであるというふうに考えています」
■「中道」として戦うことに葛藤した候補者も
一方、「中道」として戦うことに葛藤した人も。立憲民主党の元代表・泉さんは今月20日、「合流に迷いがあった」とSNSで打ち明けました。
【中道改革連合 泉健太候補】「まあ…いっぱい迷いました、悩みました」
選挙区は、参政党の樋口智さん、日本維新の会の木村元紀さん、日本共産党の西山頌秀さん、自民党の繁本護さん、中道改革連合の泉健太さんの5人が立候補する京都3区。
公示の前日、準備に追われる中で心境を聞くと「僕は特に立憲の代表をやっていたので、人一倍、強い思い入れがある政党です」と泉さん。
(Q:中道に行かない選択肢も?)
【中道改革連合 泉健太候補】「それも正直言えば、考えました。だけど大きな流れとか大きな争い、競い合いの中に当事者として入って国を大きく動かすんだということで最終的には決断しました」
葛藤はあったものの「公明党と意見が違うとは思っていない」ということです。
■「中道」を前面に押さず選挙活動をする候補者も
一方、参政党の大奈さん、中道改革連合の山井和則さん、共産党の上條亮一さん、自民党の園崎弘道さんの4人が立候補した京都6区で、前職として他の候補を迎え撃つ中道の山井さんですが…。
【記者リポート】「山井さんの選挙事務所です。自身の顔と名前はしっかり張り出されていますが、『中道』という文字はほとんど見当たりません」
【中道改革連合 山井和則候補】「今回だけでなく私は今まで9期当選していますけれど、ずっと基本的には個人を全面に押し出してやってきましたので。政党って残念ながら変わったりするじゃないですか。だから国民の方々も政党以上に、やっぱり政治家の人物本位、個人本位で選ぶ方が多いですので」
“新党”アピールより、“自分”という看板を掲げる戦略のようです。
突然の解散総選挙で激変した選挙区での戦い方は様々。
その中でも一体何を目指すのか、有権者はその1票に託すことができます。
(関西テレビ「newsランナー」2026年1月29日放送)