1年で最も寒さが厳しいとされる「大寒」。この時期に産まれたタマゴが、特別な存在として注目を集めています。「栄養価が高く、味が濃厚」と評判の「大寒たまご」を求めて、長野県内の直売所には開店前から行列が。さらには、限定スイーツも登場し、縁起物として人気を呼んでいます。
開店前から行列 特別な「大寒たまご」
二十四節気のひとつ、「大寒」。今年は1月20日から2月3日まで。1年の中で最も寒さが厳しい時期とされています。
大寒の初日、1月20日。安曇野市のタマゴ直売所「たまごの駅」に、開店前から行列ができていました。
「きょう大寒の朝に産まれたタマゴが欲しくて伺いました」「寒たまごを大寒の日に買いたくて来ました」お客さんたちのお目当ては、大寒に産まれた「大寒たまご」。この時期はタマゴがおいしい、いわば「タマゴの旬」といわれています。
たまごの駅は、松本市で養鶏場を営む会田共同養鶏組合の直営店。店では、13年前のオープン当初から大寒の時期に産まれたタマゴを「大寒たまご」として売り出しています。特に大寒の初日に産まれたタマゴは「特別大寒たまご」として、ひときわ人気を集めています。
店内の一番目立つところに、どどんと山積みにされた特別大寒たまご。午前10時の開店と同時に、お客さんたちが次々と手に取っていきます。
なぜ「旬」なのか 寒さが生む濃厚な味わい
なぜ冬のタマゴは特別なのでしょうか。
たまごの駅の山崎店長は、「ぼくたち、養鶏業界では、今が『タマゴの旬』ですね」と語ります。「気候が寒いと、ニワトリが栄養を蓄えるために餌をたくさん食べる。餌を食べると、栄養はたくさんになり、旨味もタマゴにうつる。(冬場は)水を飲む量が少ないので、水分量が減り、旨味が凝縮される。大変おいしいタマゴができる」
寒さという厳しい環境が、ニワトリの体内で栄養と旨味を凝縮させるのです。
開店直後、特別大寒たまごを購入したお客さんは喜びを隠せません。「うれしい。すごい買っちゃって。良かったです。10パック買えました。卵焼きもいいけど、オムライスもいいな。子供が大好きなので」「ご近所、親戚にも少しずつ分けていただきたいなと思います」「(スーパーより)高くてもこっちに来ちゃう。味が濃厚。黄身が濃厚」
実食 プルンとした黄身、ほんのり甘い白身
併設の食堂では、人気のたまご食べ放題定食のほか、購入した商品もその場で食べることができます。
大寒当日に産まれた特別大寒たまごを割ると、黄身がプルンと盛り上がり、白身もツヤツヤと輝いています。口に含むと、黄身の濃厚さがトロ〜っと広がり、白身にはほんのり甘さがあります。
山崎店長は、「やっぱり、大寒たまごっていうものを世間に知ってもらいたい。冬場はタマゴの旬なので、一番おいしいんだということを消費者に分かってもらえることが1番の狙い」と話します。
大寒たまごは、2月3日の節分まで販売されています。
神社で祈祷 縁起物としての価値をプラス
一方、同じく大寒初日の午前9時。安曇野市の穂高神社に、地元の洋菓子店スタッフが、この日の朝に産まれた大寒たまごを持って訪れました。
貴重な「大寒たまご」は、縁起の良い食材ともいわれています。「あづみ野菓子工房 彩香」では、15年前から大寒たまごを使ったバウムクーヘンの製造をはじめ、4年前から神社で祈祷を行っています。
萩原隆之さんは、「もともとご利益のある、縁起の良いとされている大寒たまごを、さらにご利益がパワーアップするために、穂高神社にお参りさせていただいています」と説明します。「昔から貴重な大寒たまごなので、『開運食』『無病息災』とも言われている。おいしい、健康、開運につながるようなバウムクーヘンにしたい」
8000個のタマゴが、3000個の限定バウムクーヘンに
安曇野市の洋菓子店、あづみ野菓子工房 彩香に、神社で祈祷を受けたタマゴが運ばれてきました。仕入れた数は約8000個。
「(洋菓子店にとって)タマゴはすごく重要。特にバウムクーヘンはタマゴの良さが左右するお菓子。今の時期はタマゴの味が濃いのでバウムクーヘンも濃厚になります」と萩原さん。
生地には、大寒たまご、県産の小麦、米粉などが入ります。作る数は3000個。パティシエが専用の機械で、一層ずつ丁寧に焼き上げます。23層で完成するバウムクーヘンは、1時間で6本が焼きあがります。
大忙しの大寒 「皆さんに幸せが訪れるといい」
パティシエの佐藤英寿さんは、「明日は48本焼きます。普段の5〜6倍焼くので集中しながらやっています」と真剣な表情で作業に取り組んでいました。
太い1本から10個分のバウムクーヘンがとれます。「最初は200個限定。それが好評で500個、1000個、2000個になり、3000個で定着した。この時期が、バウムクーヘンの1番良く売れる季節」と萩原さん。
きれいな色、年輪模様が美しいバウムクーヘンは、しっとりとした食感と口どけの良さが絶妙。程よい甘さなので、タマゴのコクをしっかり感じられます。
萩原さんは、「縁起の良いタマゴということを話していただいて、『今年良い年にしよう』『今度、良いことあるといいね』とかそういった会話が家族やお友達の中で食べながら生まれることを望んでいますし、皆さんに幸せが訪れるといいなと思っています」と願いを込めます。
大寒バウムは、限定3000個。売り切れ次第、終了です。