シリーズ「鹿児島この一年」。
23日は食料品に公共料金など私たちの生活を取り巻く、さまざまな値上げの1年を振り返ります。
【Q.今年を振り返ると?】
「自分のものは後回しにしてお金をおさえて」
「好きだったお菓子もやめておこうとか」
「夕飯のおかずが一品減った」
まさに身につまされるような町の声。
経済の専門家は…。
九州経済研究所 福留一郎経済調査部長
「かなり落ち着くどころか、むしろ加速して値上げが続いた1年」
思えば2025年の値上がりは4月、新年度と共にやって来ました。
ビールや調味料など値上げの波が次々と押し寄せ、食品の値上げは4000品目以上にも上りました。
民間の調査会社帝国データバンクによりますと、ひと月の値上げが4000品目を超えるのは2023年10月以来のこと。
さらに値上げは夏にかけても断続的に続き、10月には、ひと月で3024品目に及びました。
生活を直撃するさらなる事態でした。
「自動販売機で頻繁に買っていたが、これからは買えない」
「お酒を飲むので、値上がりを感じている」
「野菜もちょっと庭で作っています」
これに対して店ではー。
「今こそ値下げ」のポップ。
例えば流通大手のイオンは、自社の規模を活かした大量発注や生産、物流コストを削減しプライベートブランド「トップバリュ」の食料品から日用品まで60品目を値下げしました。
少しでも安い商品を求めて、消費者の行動にもある変化がー。
今や、スーパーに匹敵する品揃えを誇るドラッグストアの売り上げが全国的に伸びているそうです。
九州経済研究所 福留一郎経済調査部長
「いろんなものが全て揃えられる利便性、大量に仕入れている価格の安さ。ドラッグストアは節約志向が強い中で『勝ち組』の業態」
2025年の値上がりを象徴したのがコメでした。
2024年の夏から続く「令和の米騒動」。
夏の猛暑に加えてコロナ明けのインバウンド客の増加やパンや麺の値上がりを受けて、米の需要が増えたことがきっかけでした。
2025年3月には全国平均の販売価格が、5キロで4000円台を突破しました。
そこで政府が決断したのが備蓄米の放出です。
多田百合香記者
「開店時間を30分早めて、今オープンしました」
県内でも6月から備蓄米の販売が始まり、スーパーには長い行列ができました。
備蓄米を買った人
「やっぱり嬉しいです」
「今日は買えたので良かった。早くきょう食べたいと思います」
大量の備蓄米の放出でコメの価格はようやく下落傾向になりましたが、2025年の新米が出始めると、価格は上昇へと転じます。
9月以降はまたも5キロ4000円を上回る価格で推移。
「令和の米騒動」は2026年もまだ続きそうです。
そして、2025年の値上げはこんなところにも…。
JR九州としては、実に29年ぶりとなる運賃の値上げです。
在来線の初乗り運賃が今までの170円から200円になるなど、全体でみると15%アップ。
新幹線の特急券や通勤・通学定期も値上がりしました。
また、南国交通や鹿児島交通も路線バスの運賃を改定し、初乗りが10円から40円ほど値上がりしたほか、両社が共同運行する空港連絡バスも1400円から1500円になりました。
種子屋久高速船も値上げに。
また国の補助金が終了したことで、九州電力の電気代も一般家庭で約500円負担が増えました。
物価高騰の波は新聞にも押し寄せました。
発行部数約22万部の地方紙南日本新聞は、紙代や電気代の値上がりを受けて6月から購読料を月額3400円から4000円に。
値上げは2019年以来、6年ぶりです。
そしてー。
坪内一樹キャスター
「平川動物公園のチケット売り場です。きょうから入園料が値上げされました」
鹿児島市の96の公共施設の使用料も、10月から値上がりしました。
こうした中、安くなったものもありました。
田中慎介記者
「こちらで表示されているレギュラーガソリンの価格はリッターあたり148円。店の人も『いつ以来か覚えていない』と話すインパクトのある数字です」
12月31日のガソリンの暫定税率廃止を前に、政府は11月から段階的に補助金を引き上げ、半世紀に渡って続いた暫定税率は実質的に解消しました。
ガソリンに続き、2026年、値段が落ち着いてくるものはあるのでしょうか。
九州経済研究所 福留一郎経済調査部長
「食料品の値上げは現時点でわかっているものは来年は1000品目。大方の見方として、現時点では来年(値上げは)収束していくのではないか」
様々な工夫と節約で“値上げ”に対応してきた2025年。
まもなくやってくる新しい年を前に、、街の人たちの胸には切実な思いと期待が入り交じっていました。
「マイナスをプラス思考で考えて、絶対笑顔を忘れない」
「子供たちとかいろんな人が笑って過ごせるように」