岩手県北部に位置する洋野町。2006年に旧種市町と旧大野村が合併して誕生したこの町は、2026年1月1日に20周年を迎えます。今地名に込められた意味を探しながら、町の歴史と風景をたどります。

洋野町の中心部・種市の名前の由来について、長年にわたり岩手県内の地名を調べてきた宍戸敦さんは次のように説明します。

宍戸敦さん
「種市の『種』は『棚』と考える。洋野町の地形は大野海成段丘(おおのかいせいだんきゅう)があり、かつて海に沈んでいた平らな地面が隆起して連続した棚田のような形を形成している土地が「棚」の意味として種市という地名の由来になったのではないかと考える。元々、種市の中心部は内陸部の方で、地形が合致している」

また、洋野町の由来について洋野町役場総務課の向井商浩さんによると、「沿岸の種市町と内陸の大野村が合併するにあたり新しい町名を全国から募集したところ、たくさんの応募があった。種市町の広々とした『海』、大野村のなだらかな『野原』をイメージした洋野町という名前が決まった」ということです。

現在も種市庁舎と大野庁舎の両方が本庁舎として機能する「分庁舎方式」を採用。水産業が盛んな種市には水産商工課、農業や酪農が中心の大野には農林課を配置し、地域の特色を活かした行政運営を続けています。

「2026年1月1日で洋野町は誕生20周年を迎える。これまでの20年は旧町村の歴史・文化・産業など地域の特色を大切にしながら、両地域が1つの町として少しずつまとまりを深めてきた。20年経って皆さんに洋野町が浸透してきたと思う。『オール洋野』で頑張っていきたいと思う」と話す向井さん。

2つの地域が合併し力を合わせ歩みを進めてきた洋野町。
町の海岸沿いには、サーファーに人気の「江戸ヶ浜」があります。穴の開いた岩「窓岩」が象徴的な景観をつくります。この「江戸」という名前にも意味があります。

宍戸敦さん
「『江』は川、『戸』は出入口を意味するので、川の出入り口という意味になる。似たような地名に『水戸』もそういうところで水の出るところ、川が海に流れ出る場所を指す地名。江戸ヶ浜は内陸部から海に流れ落ちるという意味。近くには川尻川があり、川尻という地名も同じ意味を持っている。江戸ヶ浜と川尻は関係があると考える」

海と大地、そして川の流れ。
この場所の風景と歴史から、洋野町の二つの顔と、共に未来を築く力強い歩みが見えました。

岩手めんこいテレビ
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