福岡市で男女2人が刃物で刺された事件で、警察は15日、このうち男性に対する殺人未遂の疑いで30歳の無職の男を緊急逮捕しました。
男は「殺そうと思って刺した」と容疑を認めています。
TNCが入手したドライブレコーダーの映像です。
時間は15日午前2時半すぎ、画面の右側には福岡県春日市内のコンビニエンスストアに警察車両が集まっている様子が映っています。
車が引き返してさらに近づいた映像には大勢の警察官の姿がみえます。
この中に、男女2人を刃物で刺した疑いで行方を追われていた男がいたとみられ、その後、警察署に任意同行されました。
事件が起きたのはこの前日、14日の午後5時ごろでした。
◆記者リポート(14日)
「現場はブルーシートが張られた場所とみられます。手前では鑑識作業の準備を始めています」
福岡市中央区の「みずほPayPayドーム」1階駐車場のエレベーターホールで44歳の男性が男に包丁で胸を刺されたのです。
◆刺された男性を見た人
「スタッフの男の人がおなかを手で押さえていた。大きい絆創膏のようなものを貼られていた」
刺された男性は隣の商業施設内に劇場を構えるアイドルグループ「HKT48」のスタッフでした。
そのオンラインイベントが開催される中、男性が男に「関係者以外がいてはいけませんよ」と声をかけたところ、無言でいきなり左胸を刺されたといいます。
◆記者リポート(14日)
「入り口付近に血痕が見えます」
犯人の男はそこから商業施設に移動し、ドームでのライブ帰りに友人と待ち合わせをしていた27歳の女性の背中も刃物で刺しました。
刺し傷は肺まで達し女性は重傷ですが、先に刺された男性と共に命に別条はありません。
そして男はそのまま逃走しました。
◆男を目撃した人
「(逃げている人が)『刺された』と言って『こいつナイフを持っている』と。逃げていた人を追いかけていた男(犯人)がいた」
Q.男の印象は?
「落ち着いた感じでスタスタと。淡々と歩いていた感じ」
◆記者リポート(14日)
「いま現場付近に、警察犬が到着しました」
現場周辺には警察犬も投入され、捜査員たちの端末には逃げた男とみられる画像が送られていました。
警察による懸命の追跡が続く中、事件発生から9時間がたった15日午前2時すぎ、事態が大きく動きます。
現場から10キロ以上離れた、福岡県春日市内にあるコンビニエンスストアの公衆電話から男が「事件を見た」と110番通報してきたのです。
男はその電話の中で、「自分が犯人だ」という旨の話をしたため、警察が駆け付け、店内にいた男の身柄を確保しました。
そのときの様子が冒頭の映像です。
◆記者リポート(15日)
「男は事件現場から約12キロ離れたこちらのコンビニに歩いて入り、店の前にある公衆電話から警察に電話をしたとみられています」
男の身柄が確保されたコンビニのオーナーは当時の様子について…。
◆男を目撃したオーナー
「(男の)上着はパーカーか何かでフードをかぶっていた。(持っていた)カバンはちょっと大きめ。ぱっと見は普通の人」
男は、糸島市の無職、山口直也容疑者(30)。
犯行を認めるような発言に加え、凶器とみられる包丁2本を持っていたことから男性スタッフへの殺人未遂容疑で緊急逮捕されました。
Q.(山口容疑者は)どんな人?
◆同じアパートに住む人
「僕もあまり見たことがない」
アパートで1人暮らしをしているという山口容疑者。
捜査関係者によると山口容疑者は男性と面識があった可能性が高く、「殺そうと思って刺した」などと殺意を持って刺したことを認めているということです。
一方で、刺されたもう1人の女性は、「山口容疑者との面識はない」と話しています。
警察は女性に対する殺人未遂容疑も視野に動機の解明を進めています。