木原官房長官は8日の記者会見で、自衛隊機が中国軍機からレーダー照射を受けたことをめぐり、中国側が「自衛隊機が中国機を深刻に阻害した」と主張していることについて、「自衛隊機は安全な距離を保ちながら任務にあたっていた」として、「中国側の指摘はあたらない」と反論した。
日中の緊張が高まっている。
「挑発行為と受け止めるべき」
8日朝、いつもと変わらず、笑顔で官邸に入った高市首相。

一方、永田町では怒りの声が相次いだ。

小野寺安全保障調査会長:
挑発行為と受け止めるべきだ。

稲田元防衛相
武力の威嚇につながりかねない問題な行為。

6日午後、沖縄本島沖の公海上空で、中国軍の戦闘機が自衛隊機にレーダーを照射。

高市首相:
中国側には強く抗議し、再発防止を厳重に申し入れするということを行った。

しかし、中国側は「日本側が悪意を持って訓練空域に侵入した」と猛反論。
この中国側の主張に対し、日本政府はさらなる反論を行った。
ロックオンの危険な状態
8日の閣議では、こんなシーンが…。

小泉防衛相、木原官房長官、茂木外相の3人が険しい表情で立ち話。
日中間の緊張が、急激に高まっている。
7日午前2時に緊急会見を開いた、小泉防衛相。

小泉防衛相:
遅くにお集まりいただき、ありがとうございます。中国軍機による自衛隊機へのレーダー照射事案について、ご報告いたします。

防衛省によると、事態が発生したのは6日の午後4時半ごろの沖縄本島沖の公海上。

中国軍の空母「遼寧」からJ-15戦闘機が飛び立ち、領空侵犯を防ぐため航空自衛隊のF-15戦闘機が緊急発進した際、2度にわたり、断続的にレーダーを照射されたという。

レーダーの照射はミサイルを誘導するためのもので、照準を合わせると、いわゆる「ロックオン」の危険な状態。

高市首相:
今回のレーダー照射というのは、航空機の安全な飛行に必要な範囲を超える危険な行為です。中国側には強く抗議し、再発防止を厳重に申し入れすることを行いました。
高市首相は中国側に、強く抗議したことを明らかにした。
これに対し、中国外務省が反論。

中国外務省:
現在の状況下で、日本が「レーダー照射」の問題を騒ぎ立てることは、白黒を逆転させ、国際社会をミスリードするものだ。これは完全に下心(別な意図)がある行為である。
すると8日、木原官房長官が中国側の主張に“再反論”した。

木原官房長官:
自衛隊機は安全な距離を保ちながら、対領空侵犯措置の任務にあたっていたと報告を受けており、中国側の指摘はあたらない。
中国側の主張を全否定した。
一方、高市首相は午後の国会で補正予算案の審議に出席。

高市首相:
日中間の様々な対応を行うことに、日本側はオープンであり、中国側の一連の措置による影響を含め、引き続き状況を注視し、適切に対応していきます。
自民党は“レーダー照射問題”について、緊急で会合を開き、中国を強く非難した。

自民党・小野寺安全保障調査会長:
間違いなくレベルは格段に危険な方向に上がってしまった。そしてこれは、挑発行為と受け止めるべきだと思っています。
不測の事態になりかねない、中国軍の危険なレーダー照射。
中国外務省は会見で…。

中国外務省:
艦載機が飛行訓練中に捜索レーダーを起動することは、各国の通常の手法であり、飛行の安全を確保するための正常な操作である。
レーダー照射は、攻撃準備以外の目的でも使えることを強調した。
一方、政府関係者は、「捜索のためであれば、今回のように断続的に照射を行う必要は無い」と、中国側の主張を否定した。
(「イット!」 12月8日放送より)
