11月、高知県では17年ぶりに「はしか」の感染が確認されました。12月1日までに4例の感染が判明していて流行が心配されています。予防と対策について専門家に聞きました。
県によりますと、11月14日、関東地方に滞在していた香美市の男性がはしかに感染していたことが判明。その後、男性が入院していた医療機関に勤めていた3人の陽性が判明しました。過去の病気と思われがちな「はしか」ですが、なぜ、このタイミングで流行の兆しをみせているのでしょうか。
話を伺ったのは、高知市にある近森病院の感染症内科部長の石田正之医師です。実は「はしか」、日本では2015年、WHO・世界保健機関から、国内で定着したウイルスが存在しない「排除状態」にあるとの認定を受けています。石田医師は日本国内だけで生活している人がはしかを発症することはまずないと指摘します。
近森病院・感染症内科部長 石田正之 医師:
「もしかかるとすれば、自身が免疫がない状況で、はしかがはやっている国からもらってくるか、はしかが流行している国から旅行で日本に来られているとか」
石田先生によりますと、海外では「はしか」が流行している国はまだまだ多いといいます。
石田正之 医師:
「世界規模でみれば、年に大体20万人くらいがはしかで亡くなっている現状がある。世界という規模で見れば、はしかがまだ流行していたりとか、自分たちがもらう可能性は十分ある」
それでは「はしか」にかかるとどんな症状が現れるのでしょうか。
石田正之 医師:
「最初の症状としては、発熱とかいわゆる風邪症状。あと、比較的特異性が高いといわれているのは、(目の)結膜炎。3日から4日くらいでいったん症状が落ち着くが、もう一度発熱する。熱が出るタイミングで、皮膚に特徴的な皮疹が出るのが典型的な経過」
そして、「はしか」に注意が必要なのは、発症する前から感染力があることです。
石田正之 医師:
「インフルエンザや新型コロナが感染力が強いと思われるかと思うが、新型コロナより2、3倍の感染力がある。空気感染なので、直接的な接触がなくても、同じ場所を共有していたのであれば、感染する可能性はあります」
それでは「はしか」にかからない有効な手立てはあるのでしょうか。
石田正之 医師:
「正直有効な対策は限られていて、一番確実なのは予防接種になる」
予防接種は1回では不十分で、2回接種を推奨しています。石田医師によりますと、2000年4月2日以降に生まれた人はワクチンを2回受けている可能性が高い一方、1972年10月1日から2000年4月1日生まれの人は1回、それより前に生まれた人は接種していない可能性が高いそうです。
石田正之 医師:
「根本的な治療がないだけに、合併症が起きてしまうと、場合によっては致命的になる。だからこそ、治療より予防。かからないことを重要視してほしい」
石田先生は、過去に「はしか」にかかっているか、ワクチンの接種歴を確認してほしいとしています。石田先生が勤める病院でも、接種の体制を整えています。
竹久祐樹 記者:
「こちら、麻しん(はしか)と風疹用の混合ワクチンです。近森病院では麻しん(はしか)の流行に備え、ワクチンの在庫を多く確保しているそうです」
ワクチンは生後12カ月以降であれば、どのタイミングでも受けられます。一方、インフルエンザも例年より早く流行していて、マスクの着用や手洗いといった基本的な対策の徹底を呼びかけています。