兵庫県東部に位置する丹波篠山。
黒豆や栗、ボタン鍋など秋の味覚が豊富で、毎年多くの観光客で賑わうこの地域は、近年移住先としても注目を集めています。
■全国1位の秘密!移住者が急増する丹波篠山
インターネットを通じて空き家の所有者と利用希望者をマッチングさせるシステムの「空き家バンク」。契約成立数は2年連続で全国1位。その魅力を探るため、大東駿介さんが丹波篠山を訪れました。
【大東駿介さん】「この山あいの土地でのどかさもあるけど、若者が移住してきていて新しい街づくりもしている。これいいわ」
大東さんが最初に訪れたのは、江戸時代に宿場町として栄えた福住地区。古い家屋を改装したおしゃれな店が点在し、情緒ある町並みが広がります。
地元出身の夫婦が営むケーキ店のオーナーは「このエリアは特に移住者が多い」と話します。
【店主】「自然が豊かで、都会からそんなに遠くないというか、大阪とか京都からも1時間ぐらいで来れたりする」
子育て環境についても「子どもたちは虫が嫌いだったけど、今はカエルをつかんだりして強くなっています」と地元ならではの魅力を語りました。
■「まるでジブリの世界」 時が止まったような一日一組限定の宿
福住地区の街道沿いには、まるでジブリの世界に迷い込んだような趣のある宿が。
築250年の油問屋だった古民家を改装したホテルは、1日1組限定という贅沢さが特徴です。
【大東駿介さん】「この街、ジブリの世界疑似体験みたいな…」
【大東駿介さん】「となりのトトロやん!」
かつての蔵や倉庫を活かしながら、趣向の異なる5つの部屋を用意。古い建物の魅力を残しつつ、快適な空間に生まれ変わっています。
オーナーの安達さんは14年前に大阪から移住し、ホテル経営のほか、空き家の仲介やイベント企画など地域活性化に取り組んでいます。
【安達さん】「町全体のことをこうやるっていう仕事のなかで、ここもやってるみたいな感じ」
15年ほどの間に40〜50件もの新しい店が開業したという福住地区。その理由は宿場町としての歴史にも関係があるようです。
【安達さん】「私も来た時もそうなんですけど、閉鎖的じゃなかったというか」
【大東駿介さん】「宿場町としての人間性というか、そういうものがちゃんと残ってたんですか?」
【安達さん】「めちゃくちゃあると思います」
■幻の黒枝豆!10月限定の絶品グルメ
丹波篠山の秋の味覚といえば「黒枝豆」。
旬の時期は、10月上旬から11月上旬までのわずか1カ月ほどしかなく、「幻の枝豆」とも呼ばれています。
丹波たぶち農場では黒枝豆の収穫体験を実施。年間約1万人が訪れる大人気の体験プログラムです。
【田渕さん】「僕らが作ってるのは黒枝豆の中でも丹波黒っていう品種なんですけど、それが10月の上旬から11月の頭ぐらいまでしか枝豆として取れない」
そのまま育てると12月には「おせちに使う黒豆」になります。黒枝豆が完全に成熟すると黒豆になるのだそうです。
■「週ごと」に味が変化する黒枝豆
大東さんも実際に収穫させてもらうことにしました。収穫体験には、1万人が訪れるほどの人気だそうです。
特筆すべきは、黒枝豆の味わいが収穫時期によって変化すること。10月上旬から下旬にかけて、どんどん甘く大きく、ふっくらと育っていきます。
【田渕さん】「10月の下旬に向かってどんどん甘く大きくふっくら黒くなっていくんで、1週間ごとに味も別の商品になっていく」
【大東駿介さん】「そんな繊細なんや。シーズンによって味わいが、楽しみ方が違うってことですね」
大東さんは収穫したての黒枝豆と、去年の10月末に収穫した黒枝豆で作ったご飯を試食。その美味しさに感激しました。
【大東駿介さん】「季節の食材ってありますけど、ほんまにこの1週間で味わいが変わるっていう、さらにそこの突き詰めた面白さがありますね」
■江戸時代から続く黒豆の名店
1734年創業の小田垣商店は、黒豆を使った商品の加工販売を行う老舗です。
4年前にリニューアルした本店には、庭園を眺めながらくつろげるカフェスペースも。
黒豆茶や煮豆など人気商品を食べた大東さんは「シンプルやけど優しい甘み。お豆の風味、何よりもこの食感がめちゃくちゃいいですね」と感動の様子。
黒豆茶や黒豆きな粉のソフトクリームパフェなど、黒豆の魅力を存分に生かした商品が人気を集めています。
丹波の黒豆は江戸時代から全国的に有名なブランドで、約300年前には水戸光圀公が丹波篠山から献上された黒豆を納豆にして食べたという記録も残っているそうです。
年貢として納められていたこともあった「丹波の黒豆」。お米の代わりに献上されるほど価値の高い食材でした。
■1粒1粒の選別にこだわる職人技
商品の品質を支えるのは、職人たちによる黒豆の選別作業です。
機械では判別できない微細な傷や割れを、熟練の職人たちが手と目だけを頼りに1粒1粒丁寧に選り分けています。
【従業員】「小さな傷でも、煮る時には大きく膨れ上がりますので割れちゃう」
【大東駿介さん】「一見したら普通の綺麗な豆やけどこれは気づかへんな」
選別する豆の音を「気持ちいい」と表現する小田垣商店の社長。丹波篠山の秋の味覚を守る彼らの技術と情熱が、ブランドの価値を支えています。
自然と歴史が織りなす風景、そこに根付く人々の温かさ、そして四季折々の豊かな食文化。移住者が増加し続ける丹波篠山の魅力を、大東さんは全身で感じることができたようです。
(関西テレビ「newsランナー 大東駿介の発見!てくてく学」 2025年10月30日放送)