大きな柿の木の上に座り込み、たわわに実った柿を器用にもぎ取り食べるクマ。
3日午後2時半ごろ、宮城・大崎市の国道沿いにクマが出没。
撮影者は親戚の家に車で向かう途中にクマを発見し、慌てて撮影したといいます。
撮影者:
車で運転中に何げなく木の上を見上げてみたら、たまたま柿の木の上にクマがいて。木になっていた柿の実を前足で上手に取って食べていた。民家の庭先にある柿の木で、4~5メートルぐらいの高さだと思います。漂うオーラというか、そういうのはかなり脅威に感じました。
柿を食べ終えたクマは木から降りると道路を渡り、山に帰っていったといいます。
さらに5日午前6時ごろ、秋田・仙北市の美術館の監視カメラが捉えたのは、悠然と歩き、敷地内に入り込んできたクマの姿です。
大村美術館の副館長:
今年はちょっと多すぎるぐらい多い感じ。映像の続きを見ると、クマが立ち去った直後に犬の散歩をしているおじいちゃんおばあちゃんが何人もウチの前を通るんですけど、それが映っていたんで、クマと遭遇していた可能性はあります。
秋田県ではクマの出没が相次いでいることを受け、5日から県内全ての小中学校や高校などの周辺で、爆竹を使ったクマの追い払いを始めました。
5日朝、秋田市内にある中学校の通学路では、委託された警備会社の職員が木々でうっそうとしている場所を巡回。
そして、クマが近寄ってこないよう爆竹を鳴らしました。
環境省は4日、2025年度の上半期に全国のクマの出没件数が2万792件だったと発表しました。
2024年の同時期の1万5832件を大幅に上回り、統計開始以降で最悪のペース。
また、上半期のクマの捕獲数も6063頭と最多でした。
都府県別で見ると、岩手の4499件が最も多く、秋田4005件、青森1835件と続き、東北地方だけで全体の6割を超えています。
こうした中、5日朝も富山市の国道沿いではクマの目撃情報が相次ぎ、周辺をパトロールしていた市の職員や猟友会がクマを発見しました。
富山市は周辺住民に外出しないよう呼びかけなどを行ったうえで、午前9時過ぎ、緊急銃猟を許可しました。
そして午前10時半ごろ、やぶの中のプレハブに潜んでいたクマ1頭を駆除しました。
クマの出没が相次ぐ中、秋田・にかほ市では「クマといい距離プロジェクト」と題した、ふるさと納税を活用した取り組みを進めています。
寄付金の一部を使い、クマと人間の生活エリアの境界付近に放置された果樹などを伐採。
クマが人里に近づく危険を減らすことが目的です。
秋田・にかほ市の担当者:
駆除されるクマを少しでも減らしたいという思いがあり、共生策を進めている。
また、石川・小松市でも森にクマの餌となるドングリの木を植えるプロジェクトを企画し、寄付を募っています。
全国のクマの出没件数が過去最悪ペースとなり、列島各地で相次ぐクマ被害。
午後2時過ぎ、秋田・鹿角市では陸上自衛隊の車両が続々と集まり、物々しい雰囲気になっていました。
2025年度、すでに1万件を超えるクマの目撃情報が寄せられる異常事態となっている秋田県。
クマに襲われ亡くなった人は4人に上り、56人がけがをしています。
さらなる被害を食い止めるべく、5日、秋田県と陸上自衛隊が協定を結びました。
陸上自衛隊 第9師団・松永康則師団長:
クマによる被害は秋田県において“危機的な状況”であると認識している。
秋田県・鈴木健太知事:
被害を局限できるように、県としても各市町村と綿密に連携しながら陸上自衛隊の活動をしっかりバックアップしていきたい。
これを受け、陸上自衛隊は5日から鹿角市に入り活動を開始。
住民らも見守る中、山林に箱わなを運搬し、設置に向けた準備が進められました。
自衛隊は、箱わなの運搬や設置の他、駆除されたクマの運搬などの支援を行う予定です。
秋田県との協定に伴う自衛隊の活動期間は、5日から11月30日までとなっています。