エサ代の高騰に悩む動物園で、捨てられるはずだった野菜が活用されています。
農家と動物園との間を結ぶ方法とは?
ネギをおいしそうに食べるチンパンジー。
ニホンザルも夢中でかじっています。
このネギ、実は長崎県雲仙市から運ばれた規格外のネギ、つまり廃棄されるはずだったネギです。
◆到津の森公園 飼育展示係 吉森安英さん
「普段ネギをあげていないので、たまにあげるとうれしいと思う」
福岡県北九州市の「到津の森公園」に雲仙から、このネギをはじめさまざまな規格外野菜を格安の運送費で届けているのは、カンガルーマークでおなじみの「九州西濃運輸」です。
通常ならばエサを運ぶためには専用のトラックを用意する必要があり、数万円の費用がかかります。
しかし、かかるのは宅配便程度。
配送ルートを活用することで安さを実現しています。
九州西濃運輸は福岡県と長崎県の間に週6日の配送ルートをもっていますが、ほとんどの便で小さなコンテナ2つ分ほどのスペースが空いていました。
それを社会貢献の一環として活用しています。
配送ルートの途中で農家に立ち寄り、処理費がかかっていた廃棄予定の規格外野菜を集め、捨てられるはずだった野菜を安い運送費で到津の森に届けています。
◆九州西濃運輸 営業推進部 森部英人 次長
「既存の輸送の輸送網を活用しているので、改めて費用がかかったり車を用意したりということがないので、負担なく取り組ませていただいている」
農家・運送会社・動物園が連携して行っているこの取り組み。
園では物価高で上がり続けるエサ代を抑えられると大歓迎です。
◆到津の森公園 飼育展示係 吉森安英さん
「私たちからすると形は関係ない。規格外で廃棄されるものは品質はすごくいいもので、ありがたい」
到津の森ではゾウやキリン、鳥類など約80種、470匹の生き物を飼育。
昨年度のエサ代は2211万円に上りました。
20年前と比べると上昇率は約40%。
動物たちの健康に欠かせないエサ代が経営を圧迫していますが、この取り組みで、エサ代の高騰、食品ロス、野菜の廃棄費負担という悩みを解決することが期待されています。
◆到津の森公園 飼育展示係 吉森安英さん
「動物をたくさん飼育しているので、エサ代だけは削れない。エサ代が増える分にはしょうがない。他のところで賄っていかなければいけない」
物価高が続く中、決して削ることができない飼育動物のエサ代。
そうした中、活用されることがなかった野菜が運送会社の協力もあり、動物たちの健康を支える存在に変わっています。
こうした動きは、福岡市動物園でも始まっていて、11月から「コストコ久山倉庫店」で店頭に並べることができない野菜を西濃運輸が配送する取り組みが始まりました。