秋田市の川に浮かぶ黒い物体。
その正体は、対岸を目指して川を泳ぐクマです。
クマはその後、川沿いにあるレジャー施設に現れたといいます。
さらにこの2時間ほど前には、レジャー施設の1km圏内で道路を横断するクマが防犯カメラに映っていました。
新たなクマ被害は、4日も各地で発生しています。
午前3時半ごろ、秋田市の住宅の敷地内で新聞配達をしていた77歳の男性がやぶから出てきたクマに襲われ、顔や手にけがをしました。
現場の住人:
新聞が来ていないと電話したら、クマにやられちゃったと。それで新聞を今月休ませてくださいと。誰も配達に来たがらないと。
秋田県内ではこれまでに4人が犠牲となり、56人の負傷者が出ています。
クマの目撃情報が相次いでいた秋田市の千秋公園では2日、クマ2頭を捕獲。
4日午前9時過ぎ、立ち入り規制が解除されました。
しかし、クマが捕獲されて安堵したのもつかの間、公園に緊張が走りました。
規制解除からわずか4時間ほどで、再び立ち入りが規制されてしまったのです。
数日前に周辺でクマの目撃情報があった男鹿市のスーパーでは、クマの侵入を防ぐため出入り口の自動ドアを中止し、横にある手動の扉のみ開放しているといいます。
買い物カートを押したままでは手動の扉から出られず、一度カートを置いて扉を開ける買い物客の姿もあり、「今のクマは人間が思っている以上に手足が器用。ちょっと不便だけど、安心を一番に考えてもらえればと思う」「ここまでしないと(クマが)入ってきてしまうのかと思ってびっくりした」と話していました。
スーパーセンターアマノ男鹿店・藤田伸一次長:
どうしてもカートを使うお客さまが多い店ではあるが、クマが出たから仕方がないという声をいただいている。
自動ドアを手動に変更する対策は、秋田県内の公共施設や道の駅、飲食店など、多くのところで行われていました。
4日、青森県では自動ドアから建物に侵入するクマが出没。
西目屋村の役場に侵入したクマは、何度も自動ドアに激突しました。
正面玄関の自動ドアに体当たりしながら役場に侵入したクマですが、立ち去る際も自動ドアにぶつかっていました。
各地で相次ぐクマ被害。
番組が入手したのは、クマが鳴く様子を捉えた動画です。
山の中から聞こえてくる「くわ、くわ」という鳴き声。
声の先に恐る恐る近づくと、そこにいたのは子グマでした。
長野・上田市でこの動画を撮影した男性は、「一番近いのはシカだと思う。シカの声に似てる、でもこんな感じではない…という感じで。クマだとは思わなかった」と話します。
ほとんど聞くことがなく、謎に包まれているクマの鳴き声。
別の動画では、親グマの後を追う子グマが「めぇ~めぇ~」と、ヒツジのように鳴いています。
専門家によると、こうした子グマの鳴き声が聞こえた場合は、危険なサインだと指摘します。
岩手大学農学部・山内貴義准教授:
一番危険なのは、子グマが母親を呼ぶために犬や猫のような甲高い声で鳴く。子グマがいるということは近くに親グマがいる可能性は高い。襲われる可能性が十分にあるので、いち早くその場から退散する。
環境省によりますと、2025年4月から9月までに北海道と九州、沖縄を除いたクマの出没件数は、約2万800件に上っていることが分かりました。
過去最多だった2年前を大きく上回るペースとなっています。