ドローンの操縦を学ぶスクールの卒業生たちによる、災害支援とは。
雨空へと飛び立つドローン。
海を臨む工業地帯を自動操縦で飛行します。
ドローンスクール東京「防災航空隊はちどり」マスターインストラクター・板倉渓太さん:
自動で設定するとカメラだけを動かすことに集中できるので、機体動かしながら、カメラ動かしながらだと何かあったとき、発災時とかに見たいところをよく見られなかったとか。
これは災害時の情報収集を想定した“訓練”。
そして彼らは、ドローンスクールが組織した卒業生による防災支援チームです。
全国11カ所にスクールを展開し、これまでに6000人以上の卒業生を輩出しているドローンスクール東京。
運営するハミングバードは、これまでに東京・神奈川・千葉の12の自治体と災害時にドローンで支援をする協定を結んでいます。
ハミングバード・鈴木伸彦社長:
社会貢献といいますか、何かしらのお役に立ちたいというところがあり、その中で災害支援は非常に大きなポイントになっている。
自治体がドローンに対して期待することはそれぞれ。
東京23区で最も広い大田区は、「警察・消防・自衛隊・区の職員だけではまかなうことができないところを、ドローンでいかに早く情報を収集していただくか」と大田区・長谷川敬防災計画担当課長は話します。
東京湾に面する港区では、「災害時にレインボーブリッジが通行できなくなったり、孤立したような状態が生まれたときに何らかの物資を運搬できないか」と港区・井上茂防災課長は話しました。
課題は住民の孤立。
すでにハミングバードと、海を隔てた台場地区や高層マンション屋上への物資運搬訓練を行っています。
こうした中、インストラクター自身が被災した場合の操縦士不足の懸念などから、2024年6月、スクール卒業生による「防災航空隊はちどり」を結成しました。
ドローンで正確な飛行と撮影を行う訓練では、バケツの底に描かれた円は正面から撮影しないときれいに見えません。
国家資格を持つ番組スタッフが、センサーで自動では止まってくれない“ブレーキオフ”の状態で挑戦。
目標の至近距離まで迫ろうとすると、接触して墜落するリスクが。
番組スタッフが5分以上かかったのに対し、1年以上訓練してきたはちどりの隊員は2分未満。
また、現場で機体が目視できない状況も想定し、機体や目標に背を向けて操縦する隊員も。
ドローンスクール東京「防災航空隊はちどり」隊長・佐和田俊彦さん:
現場に入ったときにさまざまな状況でわからないことだらけで、初めての場所で飛ばすわけですから、二次災害を起こさないために場慣れしていくしかない。
はちどりの隊員は22人。
年齢も仕事も、参加した理由もバラバラです。
「はちどり」隊員は「元々防災に興味があって、防災士(の資格)を最初に取得しまして。ドローン(の資格を)取った後に防災航空隊結成というメールが来まして、『これは防災に直結するな』と思って」「自分の好きなことをやりながらみんなの役に立てるような活動があわせてできるので、大変いい活動をさせていただいている」などと語りました。
いつ来るかもしれない「そのとき」に備え、技術を磨く隊員たち。
しかし課題は少なくありません。
ハミングバード・鈴木伸彦社長:
(災害が)本当に起こったときにどうするか。どこまで「はちどり」が機能できるか正直まだわかってない。その辺の部分を突き詰めて訓練を行える環境をつくっていきたい。