続いては特集、藤松アナウンサーです。
きょうは、こちらの魚に関する話題をお伝えします。
実はこの魚、漁業が盛んな川南町で”厄介者”と言われている魚なんです。
いま、この魚を地域資源に転換しようとする動きが広がっています。

(藤松舞アナ)
「川南町で漁師を困らせている魚がいるそうなんですが...行ってみましょう」
「厄介者の魚がいると聞いてやってきたんですが」

(川南町産業推進課 稲田陽介係長)
「はい、います!」
(藤松舞アナ)
「これは?」
(川南町産業推進課 稲田陽介係長)
「サメです!」

川南漁港ははえ縄漁でとれるマグロを中心に種類豊富な魚が競りに並びます。
そんな中、近海ではここ5年ほどでハンマーヘッドシャークなどの「サメ」が一気に増えているといいます。

その理由について、サメの研究者で沖縄美ら海水族館・館長の佐藤圭一さんは...

(沖縄美ら海水族館 佐藤圭一館長)
「ここ数年は比較的海水温が日本全体でも高くなる傾向があったので、もしかすると熱帯や温かい海を好むサメが北上した可能性はある」

それにより、一年を通して起きているのが深刻な「漁業被害」。
漁師歴60年の高谷さんは...。

(漁師 高谷千秋さん)
「”全部”(サメに)食べられる」

サメが漁場の魚を食い荒らし仕掛けなどの道具も切断。漁に出てても赤字になる日がほとんどで、燃料代などを含めると1日で少なくとも3万円の赤字になるといいます。
(漁師 高谷千秋さん)
「漁師はやっていけない。自分たちは苦しい」

サメは大量に仕掛けにかかる一方で、アンモニア臭が強く下処理に手間がかかり、値段もつかないことから漁師の収入にはつながっていません。
そのため、漁師は大量のサメを海へ戻しているのがほとんどです。

(川南町漁業協同組合 俵伸二組合長)
「資源だからうまく使って(サメを)釣っていかないと他の魚もなかなか釣れない。サメをどうにかしないといけない」

そこで、今年1月に町や漁協などが連携協定を結び、サメの活用方法を模索。
約1年かけて湯がきや照り焼きなど30品目の試作を行いました。
そして、今年4月に完成したのが...サメのフライです。

(川南町漁協直売所「通浜」 勝本雄樹店長)
「大変でしたね。料理してどれが一番臭みがでるのかなから始まって...。一番臭みがない、臭みが抜けていたのがフライでしたね」
「身がふわふわしているので、柔らかい、フライには最適」」

そして10月5日、川南町で毎年行われている食のイベントです。

(川南町漁協直売所「通浜」勝本雄樹店長)
「ちょっと多めにいれたけどどうかな?」

(HOSTEL LEASH 笹川晃代さん)
「ありがとうございます」

川南町でゲストハウスを運営する笹川さんが、サメのフライを使ったアレンジ料理を考えて販売しました。
サメの淡白な味を生かして濃厚なタルタルソースを合わせたハンバーガーです。

(藤松舞アナ)
「サメの身がふわふわでしっとりしています。臭みも全く感じないです」

この日は用意した200個すべて完売。多くの人が初めて「サメ」を味わいました。

(川南町民)
「おいしい」
(延岡市から)
「え!フカや」「これフカ!」
(川南町民)
「5個ぐらいいける」

”多くの人にサメを味わってもらいたい”10月28日、町と漁協、直売所の4人が訪れたのは、県内屈指の観光地にあるAOSHIMAYA。

(宮崎交通店舗開発推進部 福嶋弘樹部長)
「本当に疑心暗鬼だったが食べたらおいしい、クセがない。オリーブオイルやバジルソース、フレンチにあうなどいろんな楽しみ方ができる。可能性はかなり広がった。本当に大きなギャップでした」

AOSHIMAYAでサメのフライを扱ってもらえることになり、この日は価格や卸し方について協議が行われました。
協議が終わり協議に参加したシェフは…。

(青島屋 椎誠副料理長)
「手軽に観光客に食べてもらえたらありがたいと思っている。ハンバーガーやホットドック、これからいろいろ挑戦していきたい」

手探りでも着実に重ねてきた努力が実を結び、広がり続けるサメの可能性...。

(川南町産業推進課 稲田陽介係長)
「普通に食卓に並ぶようになるのが理想。川南町に来たらどこでも食べられるとか、宮崎県内どこでも食べられるとかそういった状況になるといい。厄介者から人気者になってくれるといい」

川南漁協によりますと、サメの漁業被害は川南町だけでなく県内他の漁港でもあるということです。
今後、この取り組みが県内全体に広がって漁業者の所得や海洋環境の向上につながることを期待したいと思います。

テレビ宮崎
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