ことし発表されたデータによると、現在大学生の食費は全国平均で月におよそ2万6000円。これを1日に換算するとおよそ850円。
3食きっちり食べたら1食280円で過ごしているという計算だ。
物価高の中で、何とかやりくりしている学生を支える大学の“100円ラーメン”や、格安学生寮の食事を支える80歳の名物寮母さんを、関西テレビの秦令欧奈アナウンサーが調査した。
■100円ラーメンに行列!学生の財布事情を直撃
まずは京都市北区にある佛教大学へ。構内には長蛇の列が!
秦令欧奈アナウンサー:めちゃくちゃ列をなしています。何で並んでいるんですか?
学生:学食のラーメンが100円で食べられるんです。
佛教大学は、経済的に困窮する学生を支援するために、なんと100円で食べられる特別ランチを期間限定で始めたのだ。
秦令欧奈アナウンサー:階段2階分まで、列ができています!
この日用意された72食はオープン直後に完売! 味の評判を聞いてみると...
学生:マジでめっちゃうまい。
学生:貝だしラーメンです。汁までおいしいんで、週3〜4回ぐらい食べてます。
秦令欧奈アナウンサー:飽きません?
学生:飽きないぐらい美味しいんですよ。

■学生の財布事情を直撃 1カ月の食費が1万2000円の学生も!
ここで秦アナウンサーは、学生たちのふところ事情を調査。
秦令欧奈アナウンサー:今お財布にいくら入ってますか?
学生:今一番少ない…2000円ですね。
学生:このご時世、親もちょっと苦しいので、仕送りが減っていて。その分バイト増やしたりして生活費に当ててます。
学生:1カ月(の食費が)1万2000円でどうにかしてます。
秦令欧奈アナウンサー:全国の学生の食費平均2万6000円なんですよ。
学生:自炊なんですけど、1週間で3000円までって決めてやってます。
秦令欧奈アナウンサー:1週間で3000円!どうしてそこまでストイックに?
学生:学費とか全部自分で払ってて、仕送りもらってないので。
多くの学生が生活費を切り詰めて頑張っている。

■月7万5000円で朝晩2食付き!学生を支える78年の伝統
京都には、もうひとつ学生や保護者のお財布にとても優しい施設があった。
静かな住宅街にあるのは、創業から78年の学生寮「京都学生グリーンハイツ」。
出迎えてくれたのは、80歳の寮母の西川勝子さん。食堂を紹介してくれた。
西川勝子さん:ここは学生さんの朝晩のお食事を。そしてちょっとくつろぐためのリビング的な感じ。
寮の朝食は午前7時から9時30分まで。学生たちは自分の登校時間に合わせて、各々好きな時間に食べに来る。
この日の朝食は、だし巻き卵に、ウインナー、小松菜のおひたし。栄養バランスの考え抜かれた献立です。朝食中の学生に話を聞いてみた。
秦令欧奈アナウンサー:早起きですね。
京都大学理学部1年 関口雄哉さん:皆さんの方が早起きじゃないですか。いつも6時前後ぐらいに起きてます。
秦令欧奈アナウンサー:朝ごはんは絶対に食べる感じなんですか?
京都大学理学部1年 関口雄哉さん:食べますね。元気出なくなっちゃうので。
秦令欧奈アナウンサー:将来の夢を聞きたいんですけど。
京都大学理学部1年 関口雄哉さん:数学者です。
秦令欧奈アナウンサー:かっこいい…。

■様々な年代の若者が暮らす寮
他の学生にも将来の夢を聞いた。
秦令欧奈アナウンサー:マンガ学部!マンガ家さんを目指し...
京都精華大学マンガ学部2年 宮沢ももかさん】:いや、マンガ学部の中で、マンガを書かないコースです。
秦令欧奈アナウンサー:ってことは何を書いてる?
京都精華大学マンガ学部2年 宮沢ももかさん:イラスト。
秦令欧奈アナウンサー:好きなメニューありますか?
京都精華大学マンガ学部2年 宮沢ももかさん:たまに出るフレンチトースト。ちゃんと甘いフレンチトーストにウィンナーがついてて、しょっぱいと甘いが両方あってうれしいです。
この寮には、京都大学、京都精華大学、同志社大学などに通う大学生が30人、さらに高校生が3人と、様々な年代の若者が暮らしている。

■朝4時半起きの80歳寮母!愛情たっぷりの手作りご飯
秦令欧奈アナウンサー:何が一番大変ですか?
高校生:朝。
秦令欧奈アナウンサー:朝自分で起きてる?
高校生:うちはお母さんが朝携帯して、起きなかったら西川さんに。
西川勝子さん:スマホ持って走ってる。
寮母の西川さんは朝から大忙しだ。
秦令欧奈アナウンサー:朝食がずらーってありました。これ何人分ぐらい作ってらっしゃるんですか?
西川勝子さん:朝は25〜26人分。
秦令欧奈アナウンサー:何時から作り始めてるんですか?
西川勝子さん:4時半に起きて、5時頃から始めてます。
秦令欧奈アナウンサー:毎日4時半ですか?
西川勝子さん:そうです。毎日4時半。
秦令欧奈アナウンサー:それつらくないですか?
西川勝子さん:つらいけど頑張らないと。嫌な日もある、確かに…。

■エアコン完備の6畳ワンルームが4万8000円
学生が暮らす部屋は6畳のワンルーム、エアコンも完備されている。
秦令欧奈アナウンサー:家賃はおいくらですか?
西川勝子さん:4万8000円です。全て公共料金も入れて、トイレのペーパーも全部、お風呂、水道代もいらない。
秦令欧奈アナウンサー:それは安いですね。
西川勝子さん:いただくのは電気のメーター分だけ。1年で2万円いくかどうか。
それに西川さんが愛情込めて作った朝食・夕食がついても、月額およそ7万5000円という格安の学生寮なのだ。

■12年前に亡くなった夫の思いを継いで
実は西川さん、何かあった時にすぐに対応できるよう、この寮の中に住んでいる。
西川さんの部屋には、12年前に亡くなった夫・元治さんの遺影が置かれていた。
元々この寮は、元治さん(ご主人)のお母さんが始めたもの。夫婦で引き継いでからは40年二人三脚でやってきた。
秦令欧奈アナウンサー:ご主人が亡くなられて続けるか、続けないかって迷った?
西川勝子さん:1カ月半ぐらいの闘病で逝ってしまったので、どうしようかなと思ったんですけど、今いる学生さんを卒業させるまで頑張ってみようと思って。
卒業して行かれたら新しい人が入ってきはって預かってしもた。そしたらまた卒業するまで頑張らなあかんなと思って。
そうしてるうちに、面白いし楽しいし、学生さんたちも喜んでくれるし。じゃあもうちょっと頑張ろうっていう感じ。で、気づいたら12年っていう。

■人気のスコッチエッグに秦アナも大感激!
午後、キッチンを訪れると、既に夕食の準備が始まっていた。今日のメインは学生さんから絶大な人気のスコッチエッグ。
秦令欧奈アナウンサー:これだけの食材を、どうやって集めた?
西川勝子さん:お店回るんです。何軒も。1日に3軒、多い時で4軒はまわります。
夕食の時間、勝子さんが4時間かけて作ったスコッチエッグのお味は...。
秦令欧奈アナウンサー:いただきます。うまーい!パン粉がざくざくなんですけど、お肉がすんごいなめらか。黄身のとろーり感、この食感の変化も面白いし、味の相性としても抜群ですね。

■「楽しくやってます」寮に住む大学生
秦令欧奈アナウンサー:お店で食べるならいくら出しますか?
京都大学総合人間学部1年 清水琉星さん:僕安い店しか行かないんですけど、2000円とかですかね。
秦令欧奈アナウンサー:住み心地は?
京都大学総合人間学部1年 清水琉星さん:もう最高です。ここ来る前が自宅から大阪の岸和田から通ってたんですけど。
西川勝子さん:往復5時間やな、確か。
京都大学総合人間学部1年 清水琉星さん:今なら往復1時間とかなんで、1日4時間増えた同然っていう感じで、楽しくやってます。

■80歳の寮母さん「1年、1年頑張る」
学生たちのために美味しいご飯を作り続ける勝子さん。その原動力は?
西川勝子さん:『おいしい』とか言われるともっとおいしいの考えてみようかなとか、びっくりさせてみようかなとか、そういう風に思って頑張れる。
秦令欧奈アナウンサー:何歳までやられるつもりとかありますか?
西川勝子さん:まず1年、1年。1年単位で続けられたらなと思う。
物価高や学費の負担に苦しむ学生たち。
そんな若者たちを支える西川さんのような方がいることで、未来を担う彼らが安心して学びに集中できている。
(関西テレビ「newsランナー」2025年10月31日放送)

