名古屋市の広沢市長は、京都市で殺処分が予定されている野生のシカの受け入れを検討することを明らかにしました。名古屋城のお堀では2頭のシカが暮らしていますが、“絶滅の危機”に瀕しています。

■名古屋城にはわずか2頭…絶滅の危機に“新プラン”

秋分の日の23日、多くの人で賑わう名古屋城。そこに姿を見せたのが、お堀に住むシカ「やまむらちゃん」、母親の「もみじちゃん」と2頭で暮らしています。

しかし、母親のもみじちゃんは人間でいうと60歳。あと5年ほどでシカの平均寿命に達するといいます。

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名古屋城のシカは絶滅してしまうのか。そんな中、22日の市議会であるプランが浮上しました。

浅井正仁名古屋市議:
「京都『宝が池公園』のシカを助け、名古屋城で引き取ってあげてはどうでしょうか」

京都からシカを名古屋城へ連れてこようというのです。

■年内に“殺処分”のシカ救えるか 受け入れには課題も

京都市左京区の宝が池公園とその周辺では、10年ほど前から野生のシカが急増しています。

京都府猟友会洛北支部の担当者(2022年):
「シカ!逃げる雰囲気もないもんね。(人がいても)平気ですわ」

カメラを向けても、シカは平然と草を食べ続けています。

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公園から飛び出してきたシカと衝突する交通事故などを受け、猟友会は市と連携して捕獲檻を設けましたが…。

京都府猟友会洛北支部の担当者(2022年):
「設置してから1カ月で6頭くらい餌を食べに来とったんやけど、5頭捕獲、それから後は来ない。1頭逃がしたやつが仲間うちでしゃべっているのか知らんけども」

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京都市は2024年、2年間かけて宝が池公園のシカを全頭殺処分する方針を発表しました。およそ80頭のうち、すでに40頭あまりのシカが捕獲されていて、年内には残り全ての捕獲が完了する見込みです。

浅井正仁名古屋市議:
「京都のシカは、このままだったら殺されるんですよ。このシカさんもね、『助けて』って言ってるんですよ」

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京都の殺処分寸前のシカたちを、絶滅が危ぶまれる名古屋城で受け入れることで、どうにか救えないか。広沢市長は前向きな答弁をしました。

広沢名古屋市長:
「11月には保護できるように調整し、12月をめどにできるだけ早く名古屋城に迎え入れることができるよう、課題解決に向けて最大限努力してまいります」

広沢市長は、京都市による殺処分より前、12月をめどにした受け入れの検討を明言しました。

お堀のシカは、今や知る人ぞ知る名古屋城の楽しみ方の1つです。京都からシカを迎え入れるビッグプロジェクト、課題は多くあります。

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名古屋城総合事務所の担当者:
「野生のシカということですと、まず捕獲をどうするのか、捕獲する時に麻酔を使うのか、ケガのない状態で捕獲できるのか、輸送はどうしたらいいのか、そういったような課題があります。名古屋城側でも受け入れ態勢をしっかり整えないといけない」

果たして、ビックプロジェクトの行方は…。京都のシカたちに残された時間は、あと3カ月しかありません。

■徳川御三家の“縁”も…名古屋城とシカの歴史

現在は2頭まで減ってしまった名古屋城のシカですが、その歴史は江戸時代・尾張徳川家までさかのぼります。

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戦前には12~13頭いたそうなんですが、戦争で全頭死んでしまいました。

しかし、1952年に地元・名古屋の東山動物園からヤクシカが3頭やってきて、その後は大繁殖して、1978年ごろには56頭まで増えピークを迎えました。

その後は野犬に襲われるなど激減し、平成の初めには11頭にまで減りましたが、1991年、絶滅のピンチを受け和歌山城からシカ3頭がやってきました。当時の新聞記事などによりますと、徳川御三家の縁で紀州徳川家の城から3頭がやってきたそうです。

そして、名古屋城のシカはまたも2頭まで減り、絶滅の危機を迎えています。果たして年内に京都からシカがやってくるのでしょうか。

東海テレビ
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