福島県立博物館では、8年間の化石研究で30近い功績を残している。主に、学芸員の猪瀬弘瑛さんは、昆虫やアンモナイトなど脊椎の無い化石から大昔の生き物の共生関係などを研究を、同じく学芸員の吉田純輝さんは恐竜の鳴き声を知る鍵となる喉の化石などを初めて発見した。
その吉田さんが所属する研究チームは、2025年9月17日に新たな成果を発表。それが「頭突き恐竜」の世界最古の化石だ。

頭突き恐竜 最古の化石!?
特徴的な頭の形で映画やゲームにも登場する恐竜…その名はパキケファロサウルス類。「頭突き恐竜」として知られている。しかし、化石の発見例はごくわずかで、生きていたころの姿などは謎に包まれた恐竜グループだった。

モンゴル・ゴビ砂漠で、福島県立博物館の吉田純輝(よしだじゅんき)学芸員が所属する研究チームが行った発掘作業。ここで「大発見」が!
これまでに見つかっているパキケファロサウルス類の化石よりも、少なくとも1400万年以上前、白亜紀前期の地層から“最古”となる化石を発掘した。※白亜紀前期(約1億1000万年前)
吉田さんは「この時代、この地層からみつかるとは思っていなかった」と語る。
謎多き恐竜の解明へ
その名も「ザヴァケファレ・リンポチェ」。学名には「ドーム頭の恐竜の起源にして、尊い宝」という意味が込められている。
首以外のほとんどの骨格が見つかったことも珍しく、まさに大発見!さらに興味深いことに、脚の骨の調査などから発掘された化石は2~3歳程の若い個体と判明。ドーム状の頭は身体が成長する前から非常に発達していたことが分かった。

吉田さんは「パキケファロサウルス類の先祖と言ってもいいかなと思える化石が見つかった。しかし、まだまだ謎が多いグループに変わりない。このグループがどういう環境や他の動物恐竜たちと相互関係があって進化してきたのか分かればいい」と語る。
レプリカを期間限定で特別公開
今回の研究成果については、権威あるイギリスの科学誌「Nature」でも公開されていて、福島県立博物館の学芸員の論文が掲載されるのは初めてだという。
福島県立博物館では、2025年9月18日から10月19日までの1カ月間、化石のレプリカを期間限定で特別公開している。

吉田さんは「まずは見ていただいて、色々なことを自由に感じ取ってもらったり興味を持ってもらえたりすればうれしい」と話していた。今後も謎を解き明かす新たな発見があるか注目だ。
(福島テレビ)