釧路湿原周辺でのメガソーラー建設が問題となっている北海道釧路市で新たな動きだ。
設置を許可制とする条例案が市議会で可決された。
開発に歯止めはかかるのだろうか。
釧路市議会が条例案を可決―その詳細とは
釧路市議会は9月17日午後5時35分ごろ、メガソーラーの設置を許可制とする条例案を可決した。
出力10キロワット以上が対象だ。

タンチョウやオジロワシなど5種の希少生物が生息する可能性が高いエリアを「特別保全区域」と定め、事業者に生息調査や保全計画の作成を義務づける。
命令に従わない場合は建設を許可せず、事業者名を公表するなどとしている。
条例は10月1日に施行され、2026年以降に着工する事業に適用される。

釧路市内で増えるメガソーラーに市民は
資源エネルギー庁によると、釧路市内で出力1000キロワットを超えるメガソーラーは、2025年3月末の時点で25件設置されている。
2017年6月末には8件だった。

今回の条例の制定について釧路市民は。
「賛成です。タンチョウなどいろいろな生物が、工事などで少なくなっていくのはちょっと。釧路の財産ですから」
「遅いと思います。ラムサール条約を決めた時点で考えられなかったのか」(いずれも釧路市民)

隣まちにも影響―専門家は
釧路市の隣まちの鶴居村でも、メガソーラーを巡る動きが。
タンチョウの撮影スポット周辺の民有地約7.5ヘクタールを村が購入する方針を固め、土地の所有者と価格交渉などを進めている。
周辺で一時メガソーラーの建設計画が持ち上がったことから、景観保持を目的としたものだ。
村は「法的拘束力のない既存の条例などで対応するのは難しい」としている。

条例の制定や土地購入などの地方自治体の動きについて、環境保全に詳しい専門家は。
「市町村単位で規制しようと、条例を制定するのは大変なこと。行き過ぎた国土開発をチェックするには法律で取り締まり、悪徳業者が出ないようにすべき」(山梨大学 鈴木猛康名誉教授)
国レベルでの規制が必要だという。
政府のエネルギー基本計画では太陽光発電を推進する方針が示されている。
「現実問題としてエネルギー計画自体を見直す時期にある。いろいろな地域で疲弊が起きていることに、目をつぶってはいけない」(鈴木名誉教授)
無秩序な開発に歯止めをかけ、貴重な生態系を守っていくことができるのか。
環境との調和のあり方が、いま問われている。
