参院選大敗の責任をめぐり、進退を問う声が強まる中、石破首相が頼ったのは、小泉純一郎元首相ら元自民党の重鎮だった。
“異例の会食”で語られたこととは、いったい何だったのか…?
“異例の会食”で何が語られたのか
山崎拓元自民党副総裁:
(先に)石破さんがいました。末席に座っていました。
参議院選挙大敗の責任をめぐり、進退を問う声が強まる中、石破首相が頼ったのは…小泉純一郎元首相ら元自民党の重鎮だった。

2時間47分の“異例の会食”。その知られざる内幕とは…

山崎拓元自民党副総裁:
(小泉)進次郎さんの話にはね、僕はできるだけ触れたくなかったんですよ。禁句ですよ!
会食を公にした狙い
8月24日午後5時前。

都内のホテルでカメラが捉えたのは、小泉純一郎元首相。

この日、石破総理サイドの呼びかけで行われた会食に、小泉元首相、山崎拓元自民党副総裁、武部勤元自民党幹事長、そして、赤沢経済再生担当大臣の5人が同席した。

政治ジャーナリスト・田﨑史郎氏:
石破さんは、そもそも会食をあまりしない人なんですよ。石破さん自身が、なんで飯食いながらやらなきゃいけないの?その石破さんが誘うっていうのは異例なんです。
歴代の総理と比べ、極端に会食が少ないという石破首相。
政治ジャーナリストの田﨑史郎氏は、“異例の会食”の狙いについて…
政治ジャーナリスト・田﨑史郎氏:
(小泉元首相らと)会っていることを見せることに意義があるんだと思います。

自民党内で“石破おろし”は本格化している。
笹川博義農水副大臣:
自民党が、だって衆院と参院で負けたんだろ。総裁が責任あるかないかっていうのは、あるに決まってる。

石破政権の副大臣らからも、辞任覚悟の総裁選の前倒し要求が噴出。
田﨑氏によると、小泉元首相らとの会食には、こうした動きを牽制する狙いがあるという。

政治ジャーナリスト・田﨑史郎氏:
密会しようと思えば、公邸に裏口から入ってもらって話せばそれでいいんです。(会食を公にした)狙いは何かと考えると、(小泉元首相が)自分の理解者だというふうに見せたいという思惑だろうと…。
では“異例の会食”で、一体何が語られたのか?
山崎氏に、ある人物から連絡が…
ディレクター:
フジテレビのMr.サンデーです、よろしくお願いします。
山崎拓元自民党副総裁:
座っていい?
ディレクター:
はい、お座りいただいて。
Mr.サンデーの取材に応じたのは、元自民党副総裁の山崎拓氏。
“異例の会食”を取り持ったキーパーソンが、その内幕を語ってくれた。

キーパーソン語る 石破首相2時間47分
「異例会食」の内幕
会食から遡ること10日。
福岡で暮らす山崎氏に、ある人物から連絡があったという。
山崎拓元自民党副総裁:
赤沢さんですね。
ディレクター:
赤沢(経済再生)大臣ですか?
山崎拓元自民党副総裁:
ええ。わざわざ福岡に見えたんだよね。
ディレクター:
福岡に直接ですか
山崎拓元自民党副総裁:
(午前)6時過ぎの便に乗ってこられた。よほどのことですよ。
石破総理の腹心として、日米関税交渉で多忙を極める赤沢大臣の突然の来訪。
そして頼まれたというのが…。
山崎拓元自民党副総裁:
小泉元総理ですよ、小泉純一郎。小泉さんを囲む会食。
小泉元首相を交えた会食のセッティングだったという。
その10日後、約束の10分前に日本料理店に到着したという山崎氏。
するとそこには…

山崎拓元自民党副総裁:
(先に)石破さんがいました。彼が一番に来ましたよ。末席に座っていました。
ディレクター:
どんなご様子でした?
山崎拓元自民党副総裁:
もちろんリラックスしておられたけど。
石破首相は、一番に店に到着すると、末席に陣取り、待っていたという。
最後に到着した小泉元首相が上座の真ん中に座り、その両脇に、山崎氏と武部氏、下座側に、石破総理と赤沢大臣が着席。
会食は、日本酒を酌み交わしながら、和やかな雰囲気で始まったという。
実は、このメンバーでの会食は、初めてではない。
それは、2024年5月14日…。
山崎拓元自民党副総裁:
私が呼んだんですよ。石破さんは。まだ総裁選立つのか迷ってたからね。小泉さんは、総理総裁になる心構えというのを説教風で石破さんに話をされた。
23年前、石破氏を初入閣させた当時の小泉首相。

2024年、総裁選への出馬を迷っていた石破氏にアドバイスを送り、これが出馬のきっかけとなったという。
それから1年余り…総理総裁として窮地に立つ石破氏との間でどんなやりとりが繰り広げられたのか?
この日、話題の中心となったのは、やはり、今後の進退について…
小泉純一郎元首相:
自分は(首相を)5年半やった。その間(任期の間)しっかりやれ。
石破首相:(うなずく)
話題にしないようにしていたこと
小泉元首相の激励に、無言で耳を傾けていたという石破首相だが…“ある一言”で、和やかな空気が凍り付いたという。
石破首相:
進次郎さんには大臣になってよくやってもらってますよ。
小泉純一郎元首相:
うん、そうか。
なぜか、「進次郎」という名前に微妙な表情を見せたという小泉元首相。
山崎拓元自民党副総裁:
(進次郎の話は)禁句ですよ。話題にしないようにしたの!
山崎拓元自民党副総裁:
なぜかというと、去年の5月には(小泉元首相は)「俺は進次郎は総裁選挙に出さない」って言ったんですよ。それを石破さんに言って、彼を(会食に)呼んだんですよ。(それなのに総裁選に)出ちゃったから、進次郎さんが、親の言うこと聞かなかったわけですよ。
気まずい空気の中、必死で話題を変えたという山崎氏。

政治ジャーナリストの後藤謙次氏は、石破首相が進次郎氏の名前を挙げたのには狙いがあったのではと推察する。

政治ジャーナリスト・後藤謙次氏:
小泉進次郎という農水大臣が、今ポスト石破首相をめぐる党内抗争の焦点の一人なわけです。つまり小泉さんが出ることが、今の総裁選の前倒しを巡る議論にも相当な影響を与えると。もちろん、この局面では(総裁選に)出ないでほしいと。それをお父さんの口から聞いてみたいと、その思いは非常に強かったと思いますね。
「石破さんも、自分の信念を貫きなさい」
そんな微妙なやりとりの中…
山崎拓元自民党副総裁:
(会食中に)世論調査が僕の携帯に入ったんですよ。
届いたのは、内閣支持率の上昇を伝える大手新聞社の世論調査。
山崎拓元自民党副総裁:
こんな数字が出ましたよ!
石破首相:(ニコリと喜ぶ)
意外な世論の動きに石破首相は、笑顔を見せたという。

そしてこの日、小泉元首相が石破首相に最も熱く語ったというのが、「郵政解散」の体験談。
小泉純一郎元首相:(2001年)
私の内閣の方針に反対する勢力、これはすべて抵抗勢力であります。
小泉純一郎元首相:(2001年)
私のほうから自民党をぶち壊します。

当時、郵政民営化に反対する自民党議員を「抵抗勢力」と呼ぶと、衆議院を解散。

「自民党をぶっ壊す」というスローガンのもと、「抵抗勢力」の公認を取り消し、刺客候補を放つと、世論の強い支持を受け、衆院選を圧勝した。
小泉純一郎元首相:
(圧勝後)誰も抵抗する者はなくて、シャンシャンと郵政民営化法案は通ったんだよ。
石破首相:(ニコニコ黙って聞く)
小泉純一郎元首相:
石破さんも、自分の信念を貫きなさい。
石破首相:(うなずく)

山崎拓元自民党副総裁:
ヒントにはなったと思いますけど。
ディレクター:
ヒント?
山崎拓元自民党副総裁:
“解散総選挙”のヒントにはなったと。

「解散総選挙」のヒント…これは何を意味するのか?

政治ジャーナリスト・後藤謙次氏:
最も過激な解散権行使をした小泉さんとの場を設定することによって、この石破おろしの背景には、衆議院解散という舞台もあるんですよということを表に出したかった。それが最大の狙い。
ディレクター:
前倒し総裁選に対して、影響を与えたと思いますか?
政治ジャーナリスト・後藤謙次氏:
思います。自分はここで解散になったらとても生き延びられないと思ってる人たちが、こんなとこでバカなお祭りに協力することないだろう。なんと言われても、傍観者として通そうという人も出てきたことも事実だと思います。
“石破おろし”をめぐり、揺れる自民党。石破総理の決断ははたして…
政治ジャーナリスト・田﨑史郎氏:
総裁選の前倒し、石破さんも出馬する。勝ち負けが出る。その結果については皆さんが従う。ということ以外にしこりを残さないような方法っていうのは思いつかないですね…。
(「Mr.サンデー」8月31日放送より)