2025年6月に他人の住宅に無断で押し入り、9歳の女の子にわいせつな行為をしたとして逮捕・起訴された元島根県職員の男に対する裁判の初公判が、8月20日に松江地裁で開かれ、検察は、拘禁刑2年6か月を求刑した。
裁判で検察側は、偶然見かけた女子児童を尾行し、自宅を突き止めた後、抵抗した場合に脅すためのカッターナイフを購入して用意するなど計画性があり、被害児童に一生取り返しがつかないトラウマを植え付けた厳罰に処すべき犯行と指摘した。
住宅に侵入…9歳女児にわいせつな行為に及ぶ
不同意わいせつと住居侵入の罪に問われているのは、元島根県職員の39歳の男だ。
起訴状などによると男は、現職だった2025年6月、県東部で他人の住宅に押し入り、家にいた9歳の少女に対し胸をさわるなどのわいせつ行為を行ったとして逮捕・起訴された。
計画的で悪質な犯行…検察は拘禁刑2年6か月を求刑
松江地裁で20日開かれた初公判で検察は、犯行に至るまでに被害者児童を尾行し、パンフレットの配布人を装って住宅を訪ねるなど、計画的犯行で悪質だとして、拘禁刑2年6か月を求刑した。
検察側の冒頭陳述をもとに、被告の男の犯行に至る経緯を振り返る。
偶然見かけた女児を尾行…わいせつな行為を計画
当時島根県職員だった被告は、6月5日に休暇を取得し仕事を休み、パチンコや飲食店で食事をするなどして過ごしていた所、車を運転中に女子児童を見かけ、この児童にわいせつな行為をしようと考えたとしている。
そして児童を尾行し、自宅を突き止めた後、パフレットを配布する者を装うため、コンビニエンスストアに置かれていたパンフレットを入手して用意。
抵抗された場合に備え ホームセンターでカッターナイフ購入
児童が大声を上げたり、抵抗したりした場合に脅しておとなしくさせるために、ホームセンターでカッターナイフを購入したという。
そして被害児童の家のインターホンを鳴らし、当時1人で留守番していた児童に扉を開けさせて侵入、児童にわいせつな行為をしたとしている。
逃走手段確保や親の不在を確認したうえで犯行に及ぶ
そして犯行の際に男が、すぐに逃走できるように被害児童の家の近くに車を止めたほか、パンフレットで顔を隠しながらインターホンを鳴らし、被害児童に親が在宅しているかを確認してから犯行に及ぶなどしていて計画的犯行だったと指摘した。
またこの犯行により、児童が受けた恐怖感、不快感、不安感は想像もできないほど大きく、現在も不安な生活を余儀なくされ、以前の幸せな生活が破壊されたこと。一生取り返しのつかないトラウマを植え付けられ、被害者の家族も仕事ができる状況ではなくなるなど、以前の生活ができない状態であるとし、被告に峻烈な処罰感情を持っているとしている。
被告の動機は醜悪…家族は峻烈な処罰感情
また被告に対しては、児童を性欲のはけ口として利用する動機は醜悪で、成人の女性だと抵抗されて失敗するとの考えから、抵抗力に乏しい児童をターゲットとして選び、性欲のはけ口として利用した犯行だと述べた。
弁護側は、被告が被害者家族に250万円の賠償金を支払っていることや再発防止に向けた言葉を口にしているなどとして、情状酌量を求めた。
被告の男は、2024年度に経験者枠で採用されたが、今回の事件で逮捕起訴されたことで、7月11日付で懲戒免職となった。
当時の県の聞き取りに対して、「善悪の区別がつかず軽はずみな行動であった。いかなる処分も受けるつもりでいる。たくさんの方にご迷惑をおかけし申し訳ない」と話していたという。
判決は、8月28日に言い渡される。
(TSKさんいん中央テレビ)