新型コロナウイルスの影響で競技や応援の仕方もこれまでとは全く違う形となった2020年の運動会。
ソーシャルディスタンスを保ちながら運動会を行うため登場したのは、なんと長さ2mもあるリレー用のバトンや、生徒たちが組まない組体操など様々な工夫の数々。
めざましテレビ「ココ調」班が今年、運動会を行った全国小・中・高50の学校にアンケートを行ったところすべての学校が何らかの感染対策を行ったと回答。

相模原市立宮上小学校・平 和枝校長:
コロナ対策はもう全てですよ。ディスタンスを保ってやります
先生たちにとっても、“初めて”だらけの運動会は試行錯誤の連続だったようだ。

相模原市立宮上小学校体育主任・飯田大貴先生:
いや~もうホントにプレッシャーが…今もう気持ち悪いですよ
そこで、アイデアで乗り切る2020年ならではの「ソーシャルディスタンス運動会」を徹底調査する。

現地に行かず運動会の様子をライブ配信
早速、10月2日に運動会が行われたさいたま市の東岩槻幼稚園へお邪魔してみると…
ココ調スタッフ:
運動会があると伺いましたが、保護者の方が一人もいません
東岩槻幼稚園・関根規雄園長:
運動会はインターネットを通じてライブ配信で行うことになっていますので、園には保護者の方は来ていないんですね

毎年、保護者など約800人規模で運動会を開催していたが、今年は密を避けるため、保護者の来場は禁止。代わりにライブ配信を行うことに決定。

実際、自宅で見ている保護者はどのように応援しているのか?
佐野さんご家族に協力頂き、自宅にカメラを設置しその様子を見させてもらった。
午前10時30分に運動会が始まり、ライブ配信もスタート。

瑠実華ちゃんの父親:
全然画質キレイだね。すごくキレイ
まずはお姉ちゃんの「瑠実華ちゃん」の出番。すると…
瑠実華ちゃんの母親:
あれみーちゃん(瑠実華ちゃん)かな?
瑠実華ちゃんの父親:
どれ?
瑠実華ちゃんの母親:
左側の後ろから3番目の子、靴下長い子いるじゃん
実はお父さん、娘の姿がすぐに見つけられるようにと、2人に長い靴下を履かせた。

ところが瑠実華ちゃんの周りにも長い靴下を履いている子供がいて、作戦失敗。
それでも…
瑠実華ちゃんの母親:
次だよ
瑠実華ちゃんの父親:
次みーちゃんだ
瑠実華ちゃんの母親:
頑張れ!みーちゃん
瑠実華ちゃんの父親:
みーちゃん速かったんじゃない?けっこう
画面の向こうで頑張る娘の姿がバッチリ確認できたようだ。
瑠実華ちゃんの母親:
とっても良かったです頑張っている表情も見えたので…
瑠実華ちゃんの父親:
本音は正直やっぱり直接行きたいですけど、接触を控えるという意味ではすごく良かったのかなと…

長さ2mのバトンを使ったリレー
さらに、相模原市立田名北小学校では競技で感染対策。
相模原市立田名北小学校・佐々木隆校長:
棒ではなくリレーで使うロングバトンです。
通常のリレーではバトンの受け渡しで距離が近くなってしまうため、バトンを長くして「ソーシャルディスタンス」リレー。
その長さは2m。通常のバトンの約7倍にもかかわらず、重さはわずか255gと超軽量。ウレタンとビニールテープで作った子供たちの手作り。

相模原市立田名北小学校・佐々木隆校長:
今年はできないではなくて今年の運動会にしかできないことは何か?職員が発案をし、子供たちが一生懸命作ってくれました

実際にリレーに参加した子供たちは…
小学5年生・女子児童:
これで走れるのかっていう驚きがすごくありました。長すぎてどこを持ったらいいのかなとか 風とかが吹くとちょっと走りにくいけど でも今年しかできないような運動会になってみんなが楽しめてよかったなと思いました

一方、札幌市立伏古小学校のリレーで使っていたのはバトン代わりのリング。中継地点のコーンにリングをかけたら、次の選手がスタートするまさに「ソーシャルディスタンス」リレー。

人文字パネルを520枚作り直した
一方、福岡県立春日高等学校では、生徒が自ら感染対策。
福岡県立春日高校 総務長・梅本遥加さん:
一番工夫したのは、人文字パネルです
創立当時から行われているという「応援合戦」の色付きパネルで作る人文字は毎年、注目を浴びる運動会のメイン種目。

福岡県立春日高校 総務長・梅本遥加さん:
例年はこの大きさで文字を作っています。2020年は2019年の2倍の大きさにして新しくパネルを作り直しました
これまで使っていたパネルは、縦45cm×横50cm。この横幅を倍の1mにすることで、ソーシャルディスタンスを保ちながら、文字もしっかり見えるように、段ボールで全て作り直した。

福岡県立春日高校 総務長・梅本遥加さん:
準備の途中は本当にできるのだろうかという不安が常にありました
作り直したパネルの数、何と520枚。約3000枚の段ボールを全校生徒が集めて回り、1カ月かけて作り直したそう。
福岡県立春日高校 生徒会長・川口心音さん:
色んな意見はあったけど、改めて学校が本当に一つになって成長した、より良い方向に持っていけたなとすごく感じます

学年ごとに競技をする時間帯を完全に分ける
そして、先週末に運動会が行われた相模原市立宮上小学校では…
相模原市立宮上小学校・平 和枝校長:
密を避けるというところで午前中に低学年と中学年、そして午後に高学年という3部構成で運動会を実施しています
なるべくグラウンドにいる人数を減らすため、2学年ごとの完全入れ替え制を導入。

さらに、子供たちの待機場所には1m四方の枠を作り、ソーシャルディスタンスをわかりやすくする一工夫も。

相模原市立宮上小学校体育主任・飯田大貴先生:
校庭が広くないので、この中でどれだけソーシャルディスタンスを 保てるかっていうところだったので、まずは校庭の距離を測ってから、これくらいだったら入るなっていう計算で昨日ここまでしました
実は運動会前日、グラウンドでは夕方まで距離と位置を調整しながら1mの枠を作る先生たちの姿があった。

相模原市立宮上小学校体育主任・飯田大貴先生:
子供も不安な部分もあるかなとは思いますが教員がサポートして、あとは子供たちを信頼して…
さらに、競技にもソーシャルディスタンス。2019年、6人で並んで走っていた徒競走は1レーンずつ間隔をあけて、4人に減らすことで距離をキープ。

子供を応援する保護者も基本は無言。拍手のみの応援に限られている。
保護者A:
1位だったのに心の中で喜びました、初めての1位がちょっと大きな声で応援できなかったのが残念です

さらに、運動会の目玉種目「組み体操」も…
横山ルリカ リポーター:
組み体操ですが、それぞれ踊っていて全く組んでいませんね
2019年、扇やピラミッドなどを作っていた組み体操は「新・組体操ソーシャルディスタンス」という演目に変更。一人で動きを表現する方法を約3カ月かけて考案。

ここまで徹底して、運動会を行ったそのワケは…
相模原市立宮上小学校・平 和枝校長:
1学期色々な行事を一つも行うことができなかった。2学期になって何としても運動会やりたかった

保護者B:
本当に遅くまで職員室の電気がず~っと点いていたのでコロナの間も頭が下がります。ホントにありがたいです
保護者C:
運動会自体ができないと思っていたので、その成果がやっぱり見れると感動しました

今年運動会を行った小・中・高50の学校にアンケートをしたところ人数制限や時間短縮を行っている学校が多いという結果に。
例えば兵庫県三木市立みなぎ台小学校では玉入れの際に密を避けるため、足元に置いた輪の中にある玉のみを拾って投げるという工夫を凝らしたそうだ。

(「めざましテレビ」10月7日放送分より)