■クマに襲われ藪の中に引きずり込まれた登山者
8月14日、夏山シーズンを迎え、多くの登山客でにぎわっていた北海道・知床半島の羅臼岳で、ひとりの男性登山者が命を落とすという衝撃的な事故が起きた。
被害に遭ったのは26歳の男性。標高約550メートル付近を友人の男性とともに下山していた際、突然ヒグマに襲われた。
男性は太もも付近から大量に出血し、藪の中へと引きずり込まれたという。
■損傷の激しい遺体…近くに3頭の親子クマ
翌日、捜索隊が登山道を進むと、現場付近で血に染まったシャツや財布などを発見。
さらにその先の茂みの中から遺体が見つかった。下半身は猛獣によるとみられる激しい損傷を受けていた。
また、遺体の近くには親子とみられる3頭のクマの姿も。危険を避けるため、ハンターによって3頭とも即座に駆除された。
しかし、本当にこのクマが男性を襲ったのかどうかは、まだ明らかではなかった。
■DNA鑑定で”男性を襲い死亡させた個体”と判明
北海道の研究機関が鑑定を進めた結果、19日になって、男性の衣類に残されていた毛や唾液のDNAと、駆除された母グマの肝臓のDNAが一致したことが判明した。
道は、このクマが男性を襲った個体であると断定した。
2005年に世界自然遺産に登録された北海道・知床。登録以降、登山者がクマに襲われ死亡したのは初めてのケースとなる。
観光客によるクマへの餌やりなど、非常識な行為が目撃されることもあり、人とクマの共存のあり方が改めて問われている。