長崎市出身のノーベル賞作家カズオ・イシグロさんのデビュー作「遠い山なみの光」が映画化された。全国での上映に先立って11日に長崎市で試写会があり、主演の広瀬すずさんと吉田羊さんが作品への思いを語った。また地元の大学では学生と一緒に「朗読会」に臨み、学生からの相談を受ける場面もあった。

「語り継いでいかなければいけない」

盛大な拍手を受け登場したのは、俳優の広瀬すずさんと吉田羊さん、それに監督を務めた石川慶さんだ。

長崎での試写会に臨んだ
長崎での試写会に臨んだ
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長崎での試写会に臨んだ。

映画「遠い山なみの光」(C)2025 A Pale View of Hills Film Partners
映画「遠い山なみの光」(C)2025 A Pale View of Hills Film Partners

映画「遠い山なみの光」は、日本人の母とイギリス人の父をもつニキが、かつて長崎で暮らしていた母親・緒方悦子の記憶をたどる物語。悦子は戦後復興期、1950年代の活気溢れる長崎での思い出を語りますが、そこには秘められた嘘と隠された真実が…。

広瀬さんと吉田さんは母・緒方悦子を演じた。

広瀬すずさん
広瀬すずさん

広瀬すずさん:戦争というものに対して認識はあっても、身近にあるような存在ではない自覚があった。自分たちも語り継いでいかなければいけないことだと思った。

吉田羊さん
吉田羊さん

吉田羊さん:色んな見方ができる映画で、見ていただいた時に出会う自分の気持ち、記憶と向き合う時間を持っていただけたらうれしい。

映画は第二次世界大戦の惨禍と、戦後急激に変化する日本を生き抜いた女性の姿を鮮明に描いている。

石川慶監督
石川慶監督

石川慶監督:戦後80年、記憶がどんどん遠くなってくるときに、一旦僕らでしっかり受け取って新しく語りなおさないといけない。そういう思いを込めて作った映画。

3人は舞台挨拶に先立って平和公園を訪れ、原爆犠牲者に花を手向け、平和を祈った。

原作をもとにした「朗読会」

この日は、英語学科がある活水女子大学で原作の朗読会が開かれた。

活水女子大学での原作の朗読会
活水女子大学での原作の朗読会

広瀬さんが朗読したのは稲佐山が登場するシーン。この映画には英語で会話する場面も多くある。広瀬さんと吉田さんが日本語で、学生が英語で読み上げた。

学生は
学生は

朗読した活水女子大学・桝田優花さんは「有名な女優さんと朗読会ができたことはとても宝物。女優さんもゆっくり読まれてて、私が読んだシーンも映画の中でとても大事なシーンだと思ったので、心を込めて読んだ」と語った。

「自分が頑張れば意外と環境が変わる」

朗読会の後には、学生からのお悩み相談も。

学生からのお悩み相談も
学生からのお悩み相談も

“海外に興味があるものの、地元・長崎を離れたことがなく一歩踏み出せない”という相談に、二人は…

広瀬すずさん
広瀬すずさん

広瀬すずさん:自分が頑張れば意外と環境が変わったり、人が応えてくれたりとか、自分にも活力が生まれたりとか、そういった変化を少しずつ感じながらやっと東京に慣れて13年ぐらい。結構時間かかりました。一歩勇気を出すのもすごく素敵なことなので応援しています。

吉田羊さん
吉田羊さん

吉田羊さん:年齢に反比例するのが記憶力だと常々思った。長崎もとても素敵な街だけど、長崎を出て他の街で暮らすことでしか見られない景色があるし、さらに海外に出れば異なる文化や価値観に触れることができる。そして視野が広がる。それは将来的に自分を助けてくれる。

「遠い山なみの光」は9月5日全国ロードショー
「遠い山なみの光」は9月5日全国ロードショー

朗読会に参加した学生は「骨から違いすぎて、どうしようって感じだった」と感激しっぱなし。「長崎に住んでいる身として映画を観てみたいなと、お話を聞きながらすごく思った」と、映画の公開を待ちわびていた。

映画「遠い山なみの光」は9月5日、全国で公開だ。

■作品タイトル:遠い山なみの光
■公開表記:9月5日(金) 全国ロードショー
■配給:ギャガ
(C)2025 A Pale View of Hills Film Partners

(テレビ長崎)

テレビ長崎
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