今、大人気の銘菓、長野県伊那市の老舗菓子店の「伊那のまゆ」。SNSをきっかけに爆発的に売れ、オンラインショップを休止する事態になっています。店も「創業以来初めて」と話していて、うれしい悲鳴をあげています。
■老舗店の菓子が爆発的人気に
伊那市の老舗「越後屋菓子店」。午前9時の開店を前に5人ほどが列を作っていました。
お目当ては―。
客:
「10個入と5個入りを1つずつください」
「伊那のまゆの5個入り1つと10個入り3つと15個入り1つ」
全員が購入したのが銘菓「伊那のまゆ」。ホイップクリームが入ったもなかをチョコレートでコーティングしたお菓子です。
地元では土産品などとしてもともと人気でしたが、2025年に入り爆発的に売れています。
客:
「この前は10時くらいでもうないということで、お店が閉まっていたので、きょうはちょっと早めに来ました」
越後屋菓子店 5代目社長・竹村裕さん:
「(一時は)店開けるときに20人以上並んでいたんですけど、そういうことも初めてですね、創業以来。なんだこの列は…という感じで」
店も困惑する事態に―。
なぜ、こんなに売れているのでしょうか?
■珍しいお菓子を 1960年ごろ開発
越後屋は1882(明治15)年創業。当初はようかんや大福といった和菓子を扱っていました。
「伊那のまゆ」は1960年ごろ4代目の竹村新太郎さんが開発しました。かつて養蚕業が盛んだった伊那市の歴史から着想を得たそうです。
越後屋菓子店 5代目社長・竹村裕さん:
「どこにでも売っているお菓子を売っていてもしょうがないということで、珍しいお菓子をということで『伊那のまゆ』というお菓子を考えて売るように」
発売から60年以上、地元から愛されるお菓子に―。
今も5代目の裕さんと2人の息子が作り続けています。
越後屋菓子店 5代目社長・竹村裕さん:
「他にないお菓子ってよく言われますね。お土産に喜んでもらっている」
作り方は昔とほとんど変わっていません。
自家製のホイップクリームを「まゆ」の形に似たもなかで挟み、バランスを考え、ビターな味わいのチョコレートでコーティング。
10分ほど冷蔵庫で冷やせば完成です。
味は-。
購入した人:
「いただきます。おいしい!うわ、うまい!」
「甘すぎない!これはあまり(他に)ないね」
■インフルエンサーの投稿で爆発的人気に
もともと人気だった「伊那のまゆ」ですが、爆発的に売れ始めたのは2カ月ほど前です。
きっかけは―。
越後屋菓子店 5代目社長・竹村裕さん:
「2カ月ほど前にSNS、TikTokやX(旧ツイッター)に載ったら、ワッと注文が来て、あれあれ、どうしたんだろうと言ったら、知り合いからメールが来て『載っていたよ』と」
4月下旬ごろに「インフルエンサー」がSNSに投稿、その後、他の人たちも次々と投稿しました。
なぜ、インフルエンサーが注目したのかは分からないということですが、店だけでなくオンラインショップでも注文が殺到。売り上げは4倍以上となりました。
■オンラインショップでの販売を休止
1つ1つ手作りのため限界があり、今はオンラインショップでの販売を休止しています。
越後屋菓子店 5代目社長・竹村裕さん:
「6月7月って1年で一番暇な時期なんですよね。この時期にこんなに売れるなんて思いもしないで。まあ大変でね、いろいろなものが品切れになって、あたふたしている」
店での販売も1人50個までと制限しています。
■「多くの人に楽しんでもらえたら」
取材したこの日も県の内外から次々と客が訪れていました。
市内から:
「(買えて)うれしいです。おいしそうだったので、食べるのも楽しみです」
名古屋から:
「有名すぎてネットで買えないというので、現地(店舗)に来て、実際に買えるか不安だったので良かったです」
現在は越後屋のほか、東京の銀座NAGANO、駒ヶ根市のショッピングセンター「ベルシャイン駒ヶ根店」で購入可能です。
越後屋菓子店 5代目社長・竹村裕さん:
「うれしい反面、労働時間も長くなってしまので、もう少し落ち着いてくれるとちょうどいいかな(笑)」
「伊那のまゆ」が売れ過ぎるという「創業以来初の事態」となった越後屋。店もうれしい悲鳴をあげています。
越後屋菓子店 5代目社長・竹村裕さん:
「今のところ買いたい人に買ってもらえていないので、そこが申し訳ない部分。昔から日本中こんなお菓子はないとよく言われる。多くの人に楽しんでもらえればうれしい」