大阪・梅田エリアの繁華街の路地で、問題となっていた売春を目的とした客待ち行為。
道路を黄色に塗るなど対策をとったことで、一時は客待ちの女性が減りましたが、再び増えてきたことから、警察は今週、一斉摘発に踏み切りました。
しかしきのう=7月31日には早くも路上に立つ女性の姿が。
交渉が成立したのか、声をかけた男性と女性が歩いていく様子も確認されました。
“いたちごっこ”となっている現状を取材しました。
■”売春客待ち”約2年前から増加 1日「3~5人」答える女性も
大阪・梅田エリアの繁華街・太融寺町にある路地。
夕暮れになると路上に立つ女性たちの姿が…女性は、売春を目的に客待ちをしていたとみられます。
この路地に女性が増えたのは2年ほど前からです。
(Q:いくらくらいでやっている?)
【女性】「相場くらい」
(Q:なんで立ってる?)
【女性】「まあいろいろ」
(Q:稼ぎたくてみたいな?)
【女性】「そうそうそう」
(Q:どれくらい1日(客)とってます?)
【女性】「3~5人くらい」
売春を目的に路上で客待ちをする行為は違法で警察は度々、パトロールや摘発を行ってきました。
しかし、摘発してはまた現れるいたちごっこの状態に…
■「道路を黄色に」対策で一度は女性が姿を消すも…
そこで去年12月新たな対策として行われたのが、「道路を黄色に塗る」こと。
「目立つ場所を嫌がる人間の心理」を利用し、道路を明るい黄色に塗り替え、“絵柄を飾る”という対策をとったのです。
効果が出たのか多い時には10人ほどいた女性の姿は路地から消えました。
しかし、地元の防犯協会は、徐々に女性が集まるようになってきたと話します。
【曽根崎防犯協会北野地区 藤野雅文支部長】「4月になってきて、以前ほどではないが、1人、2人と立つようになってきた。(警察に)検挙して釈放された女性がまたここに立ち続ける。ジレンマというか」
■対策後初の”一斉摘発”「同棲するホストの売上に貢献するためだった」話す女も
そこで警察は今週、地面を黄色く塗った対策をとって以降、初めての一斉摘発に踏み切りました。
【記者リポート】「2人の捜査員に連れられてきました。顔を隠して足早に歩いてきます」
19歳から23歳の5人を売春防止法違反の疑いで逮捕しました。
そのうち1人は、「同棲するホストの売上に貢献するためだった」と話しています。
■一斉摘発から2日後も路上には客待ちの女性の姿が
一斉摘発から2日後。この路上に立つ女性はいなくなったのか。取材班が7月31日にこの場所をのぞいてみると…
【記者リポート】「黄色い道の上で男性と女性が話をしています」
逮捕者が出たにも関わらず、路上に立つ複数の女性の姿が見られました。
警察官も定期的にパトロールを行い、女性に声をかけますが、他の女性たちは警察に気づいたのか、その場から静かに立ち去るようにも見えました。
そして、立っていた女性たちが集まり取材班の近くに。わずかに聞こえてきたのは売春に関する情報共有や、一斉摘発についてのものとみられる会話でした。
【路上に立っていた女性】「平日5万くらい、この前まで10万くらい稼いでたのにさ」
【路上に立っていた女性】「なんかいっぱいされた(捕まえられた)らしいじゃん。すぐ捕まえるじゃん」
■「なぜ今も?」取材には「何も答えたくない」
一斉摘発から2日経ったこの日、路上に立つ女性の姿は7人ほど。なぜ今も客待ち行為を続けるのでしょうか。
記者が直接、話を聞くと…
(Q:関西テレビで取材してて)
【女性】「じゃあ大丈夫、本当に大丈夫」
(Q:人通りって変わってます?)
「しらん。無理だろって。あきらめろって。無理やで無理やで」
(Q:黄色く塗られてるところの取材してて)
【女性】「ノーギャラじゃ…お金もらえない。何も答えたくない。お金もらわないとそんなんしゃべれない」
そして、先ほどまで黄色い道に立っていた女性に声をかけた瞬間…
【女性】「記者?記者、情報回ってるからやめたほうがいいで。なんも言わんよ、帰り」
すでに記者が取材していることも女性たちの間で共有されているようでした。
地域の治安悪化につながりかねない売春目的の客待ち。いたちごっこはいつまで続くのでしょうか。
■「環境に慣れ 女性の支援も必要」と専門家 元検事「”実刑の可能性”認識の必要」
なぜ売春目的の路上客待ちは戻ってきたのか、犯罪学や心理学に詳しい滋賀大学の島田貴仁教授に聞くと、「数カ月は一定の効果があったが、新しい環境に慣れたのではないか」ということです。
今後の対策としては、「場所のイメージを変え続けることや、客待ちをする女性の指導・支援も必要では」ということです。
元検察官の亀井弁護士は、「場所」は重要なポイントだと説明しました。
【亀井正貴弁護士】「もともと『客待ち』というのは、売春していることが公衆に分かることを前提としていますので、 検挙する場合でも、どの場所であるか、 服装がどうか、仕草ということで立証していくんですね。その意味では使われている場所というのは重要なんですよね。
もう一つは指導ということなんですけども、一旦検挙しても一般的には最初は不起訴とか罰金ぐらいで済むんですけども、積み重なっていくと、正式な裁判されて、執行猶予付きの有罪の可能性が出てきて、最終的には実刑の可能性があるんですね。繰り返すと非常に危ない領域に入るということを認識せしめる必要があると思います」
(関西テレビ「newsランナー」 2025年8月1日放送)