2020年、和歌山県の海で占い師の女らが男性信者2人を自殺させた事件で、遺書を偽造した罪などに問われた信者の女の裁判が始まり、女は起訴内容を認めました
自らを「創造主」と名乗る占い師の浜田淑恵被告(63)は2020年、和歌山県の海で、信者だった寺本浩平さん(当時66歳)と米田一郎さん(当時51歳)を入水自殺させた自殺教唆などの罪に問われています。
浜田被告の信者だった寺崎佐和子被告(47)は、2人が自殺した後、遺書を偽造して、警察に提出した罪などに問われています。
起訴状などによると、偽造した遺書には、「コロナ不況で全く仕事が取れなくなり、挽回できず、私の夢は打ち砕かれました」「私の死後に必要となるあらゆる手続き、やり取り等の権限を寺崎さんに一任します」などと記された文書に、ペンのようなもので自殺する以前の日付と寺本さんの名前が記載されていたということです。
きょう=1日は寺崎被告の初公判が開かれ、黒のパンツスーツ姿にマスクをして法廷に現れた寺崎被告は、検察が読み上げる起訴内容を前を向いて聞き、「間違いありません」と認めました。
検察は冒頭陳述で、浜田被告から「警察に行くなら浩平(寺本さん)の遺書を持って行った方がいい」と言われて、寺本さんの遺書を偽造したほか、浜田被告の指示で、寺本さんの不動産の所有権を浜田被告の三男の名義にしようと、寺本さん名義の委任状を偽造した」と指摘しました。
寺崎被告は、保釈中にカウンセリングに通っていて、弁護側は今後の裁判で専門家の尋問による情状立証を求めました。
次回の裁判は、9月10日に弁護側の立証と被告人質問などが行われる予定です。
■「躊躇したら沈めあう」信者2人をコードで結ばせ”入水自殺” 自殺教唆の罪に問われる
起訴状によると、占い師の浜田被告は2020年7月31日ごろ、信徒だった寺本浩平さん(当時66)、米田一郎さん(当時51)に対し「本日、決行します」「お互いにコードでつないで入水する。コードを持っていきましょう」などと述べて2人に自殺を決意させ、同じく入水自殺をしようと決意している信者の滝谷奈織被告(59)と共に、2人に鎮痛剤を摂取させ、「死ぬことに躊躇したら互いに沈めあうよう」と言い、全員で和歌山県の海岸から入水し、2人を死亡させた自殺教唆と自殺幇助の罪に問われています。
滝谷被告は自殺幇助の罪に問われていて、1日夕方、初公判が行われる予定です。
■「創造主」と名乗り精神的な”支配”関係か
警察によると、浜田被告は自らを「創造主」と名乗っていて、スピリチュアルカウンセリングを行っていたということです。
浜田被告は信者に対して精神的な支配関係があったとみられていました。
当時の警察の調べに浜田被告は「(自分の)交際相手に悪いものがとりついたので救いたいと思った。自分(寺本さんと米田さん)の命を絶ち、交際相手を救うことを話すと賛同してくれた」と話していました。
■死亡した信者は”献金”続けていた 自宅を死亡後に”贈与”
死亡した信者の寺本さんは2008年の夏ごろ浜田被告と知り合い、その後、不動産を売却したり、知人から借りたりして浜田被告に献金を続けていたとみられます。
さらに寺本さんは死亡する3年前、自分が死亡した場合に浜田被告の親族に自宅を贈与する契約を結んでいて、実際に死亡した後、自宅は浜田容疑者の親族に渡っていました。