被爆体験を語る人の高齢化が深刻となるなか、長崎では2025年、小さな後継者が生まれました。
「核のない世界を」と願う被爆者の思いを繋ぎます。
長崎の被爆者・三田村静子さん(83)です。
原爆の体験を手作りの紙芝居で伝え続けています。
被爆者・三田村静子さん:
今からの子供たちに私の思いをさせたくない。
1945年8月9日、三田村さんは爆心地から5km離れた自宅で被爆しました。
被爆者・三田村静子さん:
3歳8カ月、きょうだい4人。ごはんを食べていて…ピカーっと。
熱さや爆風の記憶はありません。
しかし、きょうだいや戦後に生まれた姪や娘までもが原爆の放射線の影響と思われる病気で次々と命を落としたことが、三田村さんを平和活動へと駆り立てました。
83歳になった三田村さんには2025年、小さな、しかし、心強い後継者が生まれました。
東京に住む小学5年生・細井奏志さん(11)です。
細井さんは2年前の春、偶然、三田村さんに長崎原爆資料館を案内してもらいました。
長崎市では高齢化する被爆者の体験を語り継ぐ事業が進められていて、細井さんは最年少の「交流証言者」として活動を始めました。
細井奏志さん:
もっと原爆の愚かさや悲惨さを多くの人に伝えなきゃと思った。
三田村静子さん:
次代の子供たちがしっかりと(体験を)引き受けたら日本に戦争はないと思う。
戦争も核兵器もない世界へ、被爆者の願いが若い世代へとつながっています。