今夏も全国的に40℃を超える猛暑が続く中、津波避難のあり方について新たな課題が浮き彫りになっている。災害発生時の避難環境の整備が急務だと、防災専門家は警鐘を鳴らす。

■真夏の災害避難で浮かび上がった課題
「今回、改めてこの真夏と津波避難ということで課題が浮き彫りになったと思う」と語るのは、東京大学大学院の客員教授で防災行動や危機管理の専門家・防災マイスターの松尾一郎氏だ。
全国的に40℃を超えるような猛暑の中での避難は、想像以上に過酷なものとなる。特に問題となるのが避難所の環境だ。松尾氏は「クーラーもないところに避難するって話は、避難したくても避難できないと思う」と指摘する。実際に今回の災害でもそうした事例が複数報告されているという。

■避難所環境の改善が急務
危険な状況下であっても、避難環境の悪さから「無理に避難しない」という選択をする住民が少なからずいることが問題だと松尾氏は語る。特に夏季の災害時には、空調設備の整っていない避難所では熱中症のリスクが高まり、新たな健康被害を招きかねない。
「途中でクーラーがない避難所から避難していただくような対応をした市町村、これは大したものだと思う」と松尾氏は評価する一方で、「やはり避難所は避難環境をよくしていく、クーラーも設置する、トイレ環境も整える」と、避難所の環境整備の重要性を強調した。

■「新たな避難方策」の確立を
松尾氏は、今回の事例を教訓として「今回のことを検証した上で、次の災害に生かす新たな避難方策を是非目指してほしい」と提言する。
災害は繰り返し発生するものであり、長期的な視点での対策が不可欠だと指摘した。
現在も続く猛暑の中で避難生活を送る人々に対しては「熱中症対策をしっかりして過ごしていただきたい」と呼びかけた。

■ 専門家の知見を今後の対策に
猛暑と災害という複合的な危機に対応するためには、避難所の環境整備を含めた総合的な防災体制の再構築が求められる。クーラーの設置やトイレ環境の改善など、基本的な生活環境の確保が避難行動を促進する重要な要素となる。
松尾氏の指摘は、気候変動によって激甚化する災害と猛暑の両方に直面する現代社会において、従来の防災対策の見直しが急務であることを改めて示している。行政や地域社会が連携し、「新たな避難方策」の確立に向けて取り組むことが、今後の災害被害の軽減につながるだろう。

福島テレビ
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