保健師を志す学生たちが、災害時の避難所運営についてゲームを通して学びました。講師は災害対応のプロフェッショナル。いったい、どのようなゲームなのでしょうか。
【学生】
「そもそも『受付』をどの辺にするか、とかから考えないといけないのか…」
「そうね」「トイレは混みそうだからこっちは開けておきたい」「確かに…」「倉庫も何か使うのかな…」
学生たちが取り組んでいるのは『避難所運営ゲーム』です。
卓上に広げた図面は避難所となった体育館。そして手元のカードには架空の住民情報が書かれています。
【学生】
「アトピーがあります」「アオノさんは…ぜんそく持ち」
『持病』や『障害の有無』『家族構成』や『配慮すべきこと』などを整理しながら〈誰をどこに配置すれば安全に過ごせるか〉考えていきます。
ここは熊本市北区にある熊本保健科学大学。保健師を養成する大学専攻科として今年度、九州で初めて開設された『公衆衛生看護学専攻科』です。4年制の大学を卒業し、看護師の資格を持つ20人が1期生として学んでいます。
この日は厚生労働省の災害派遣医療チームDMATの池田 初男さんを講師に招き、〈阿蘇地方でマグニチュード8.0の地震が発生した〉という想定で避難所運営を疑似体験しました。
【学生】
「トイレが使えなくなりました。会議会議…」
「トイレが使えないことをお知らせしよう」
次々と浮かび上がる課題が『お題』として出され、学生たちは協力し合って解決策を考えます。
約3時間の演習の間、学生たちが〈自ら考える〉ことを尊重していた講師の池田さん。
そこには、こんな思いが…。
【災害派遣医療チームDMAT事務局 池田 初男さん】
「(避難所運営に)答えはない。毎回、対応は違うし、私もたくさん失敗した経験があるので押しつけはしない。臨機応変にアイデアが出るのが一番いい。私は毎回『答え』を作らない」
【学生】
「みんなで話し合いながらできたので勉強になった」
「感染症対策とか物資がないとかライフラインが途絶えていたりとか普通(平時)の対応とは違うと感じた」
「『自分も体験するかもしれない』と思いながらやっていた。いろんな方が来られるので、その人たちに応じたケアができる保健師になりたいと思った」
行政職員である保健師を志す学生たちにとって避難所運営は近い将来、直面するかもしれない身近な課題です。
講師のリアルな経験に基づいた〈ゲーム〉を通して要支援者への配慮や衛生管理など避難所運営の難しさを実感し、さらに学びを深めた様子でした。